仕事を終えて、連日の暑さと職場の無関心に疲弊した身体を引き摺ってアパートのドアを開けると、淀んだ空気が押し寄せて来る。
狭い4畳半の一人掛けの椅子に座ってエアコンのスイッチを入れ、長い溜め息を吐く。
室内の温度は34℃を示している。
「はぁ、其れにしても此の暑さは何時迄続くのだろうか.....」
と独り言を云いながら服を脱ぎ捨て、浴室に向かう。
湯は溜めず、シャワーのみで全身を洗う。
身体を拭き上げ部屋に戻ると、いい塩梅で涼しくなっている。
冷蔵庫の冷えたお茶を一息に飲み干した。
生き返った。
スマホのradikoを立ち上げ、聞いていると。
自民党の総裁選、立憲民主党の党首選、公明党の山口那津男氏が今期で退任するとか、政治ジャーナリスト等が姦しい。
誰がなろうと、吾の様な下々の愚民には一向に恩恵は無く、生活水準が向上する事は無い。
薄給からは掛かる費用は出て行くばかりである。
「老後の資金に2000万は無いと生活出来ぬ」
と何処ぞの政治家が云っていたが、何処にそんなカネが在ろうか.....。
蓄えをしようと貯めてはみるものの、或る程度貯まったと思ったら図ったかの様に出て行く。
誰かが吾の通帳を見透かしているのではないかと疑いたくなる程である。
2千万など手も届かぬし、2千円でも吾にとっては大金である。
他人の端金は、吾には大金である。
生きると云う事は、毎日同じ事を繰り返して行く事なのだが、好循環の繰返しなら結構ではあるが、悪循環の繰り返しは何処かで終わらせたい。
人生途上の高低差(波形)は小さい方が穏やかに過ごせる。
と、そんな事に思いを巡らせてみたり、
アダルト動画を鑑賞してみたり、
愛車を駆り出して、アテも無く疾走して現実逃避に奔走する毎日である。