目的の反対側ホームに一本の電車が入線して来た。
此処で運転士の交代となるのか、先頭車両の運転席から運転士が降りて来た。
女性だった。
「ふぅ〜〜」
と一つ溜息を吐いて。
歳の頃は30代で、お綺麗な方だった。
「何と素敵で格好良いのだろう」
電車の運転士は人命を預かるとても気を使う大変な仕事である。
最近はJRに限らず、女性の職員が多くなった。
列車の運転士は、色んな事に気を配らねばならない。
走行中の速度と異音、信号の確認、線路上と踏み切りの異変、自身の体調、其の他諸々.....。
タクシーやバス、列車、飛行機、船。
其れを操る者は、徹底した健康管理と云うか自己管理をしなければならない。
吾に出来るだろうかと考えてみたが、出来ない。
ちょっとした事で心が折れ、睡眠障害を発生させるのだから適応していない。
自己管理が出来ない吾には人命を預かれる器量は無い。
色々な仕事が在る。
死に物狂いでやれば何でも出来ると云うが、其れは間違いである。
人が仕事を選ぶのだが、人を選ぶ仕事も在る。