人間には角はない。だがシカの霊魂には角がある。
それは、それが必要な時期だからである。
その美しい姿は、神が与えてくれたものだ。存在というものは、生まれたままの自分の力だけでは、ここまで美しくはなれない。
なぜ、シカという存在に、この美しい角があるのかを、考えてごらんなさい。
あれはまるで、王者の冠のようだ。あまりにも美しく、立派だ。
神はあの角をシカに与えることによって、シカに教えているのだ。おまえはこのようにすばらしい男なのだと。わたしはそのようなものとして、おまえを作ったのだと。だから立派に男をやれと。戦えと。
あのシカの霊魂にとって、あのすばらしい角は、そのような神の愛の姿なのである。そしてそれは、それがもうシカの霊魂にとって必要ではなくなったとき、消えていくのである。