こないだとりあげたオルティスの呪いのジャージーの記事、日本のマスコミではどれくらいフィーチャーされているのかと、なにげなく調べてみたらZAKZAKにこんな記事があった。
http://www.zakzak.co.jp/spo/2008_04/s2008041203_all.html
ヤンキースの地元NYポスト紙が、1面スクープとして新たにレッドソックスに掛けられたとする呪いについて報道。「呪い! 埋められたTシャツが新スタジアムに訪れるREDSOXにPOX(痘)を植え付ける」などと恐ろしい見出しになっている。【ボストン=米沢秀明】
なんぢゃそりゃ?
結果から言うなら、またまたまたまたフジサンケイ・グループの「ウルトラ大誤訳」だ。
ここでいう「POX」というのは伝染病のことではなく「呪い」という意味だ。中世の人たちがペストなどの伝染病が黒魔術や呪いによってもたらされていたと信じていたことに由来する。
「SOX POX」とすれば韻を踏むので見出しにはもってこいなのでそうしてるだけだ。
ついでに言うと英語ってのは同じ意味の言葉でもいろんな単語を使って文章を仕上げるのが賢くみえる…ってむかし時事英語講座のセンセー言ってた。
そもそも「痘」なんて言い方は日本語としてもヘンだろ。「天然痘」とか「水痘」とかいうコトバはあるけど「痘を植え付ける」…って。
種痘の予防接種かっつーの。逆に喜ばれるわっ(爆)
で、ここでのいちばんの間違いは呪いをかけられたのはヤンキースタジアムのほうだってこと。多分、多くの読者が日本語だけ見ても意味がわかんねーよと思ってたはず。
SOX POX ON YANKEES(ヤンキースにかけられたソックスの呪い)
この関係はPOXの意味がわからなくってもわかるんぢゃねーのか?
誤訳研究の権威?別宮貞徳氏もたしか日本語としておかしいものは誤訳の可能性がある…っていってたけど、それは大原則だと思う。
あと今回みたいに“ついでの裏話”みたなニュアンスを出しつつ、無理矢理な要約調になっているのも要注意。自信のない筆者が走って逃げ切ろうとしている可能性あり。
プロだったら自信ないときは載せんなよ。
それと新聞の見だしの語はコトバ遊びが多用されるので、こないだのSlice and Diceみたいに誤訳率は本文と比べれば高くなる傾向がある。
友好関係を結んでいるコネチカットのピーターくんがいつの日か日本のメディアに取材されますように…との思いから、このブログも仲間として印象よくするために毒抜きしなきゃという意味で、以前書いたマスコミの揚げ足とりな記事は非表示にしてたりしたけどもうやめた。
だってさ、おいらもそうだったけど、英語に興味を持ち始めたころって、英語そのものにひたすら向き合うんじゃなくって、映画のセリフとか歌の詞とか、それこそこの新聞の見出しはマザーグースから来てるんだよ…とかそういうところで学んでいくものだ。
メジャーリーグがきっかけで海外のサイトをのぞくようになった子なんてかなりいるはず。だから個人ブログならいざしらずプロが手を抜いてるのはいかんよ。
っていうか英語学習者ぢゃなくってもメーワクだよ。
現地にいて記事書いてるんだったら誰にでも聞けるだろ。うらやましい環境だよ。ついでにフジサンケイグループの記者なんてさぞや給料いいんだろうな。こちとらワーキングプアでい。
最後はヒガミだ(涙)
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