今年もワールドシリーズが終わったので新聞の見出しチェケをしてみようと思う。
…って今年もタイムリー感ゼロだな(苦笑)
今回も例によって、画像付きなので参照しながら読んでいただければ幸いだ。画像は一番下にあって往復するのは大変だろからウインドウ2つ(タブでもいいけど)開いて片方で画像表示しながら見てくれ。一応、書いた順に並べてある。
根性のある方は印刷してくれてもいいかも。Macなら3メートル、Windowsでも2メートルちょいになるけどね(笑)
日本では松井のMVPで大騒ぎしていたけど写真はAロッドばかりなんだぜ(笑)。
やっぱりまぐれ当たりのシリーズ男くらいにしか思われてないんだろう。
某スポーツニュースでアンケートではファンの過半数が松井の残留を望んでいるなんていってたけど具体的な数を聞いてみりゃ55%って超ビミョーちゃねーか(笑)
“MVPご祝儀”を足してもこの程度なんだよ。
メジャーで成功したのはイチローと野茂の二人だけだという事実をあらためて感じた。こうしている間にも日々日本球界は痩せ細ってるんだ。
さて、辛気くさいノリになってしまったので哀しい見だしから(笑)
【Boston Herald】
PETEY IN WORLD OF HURT AS YANKS TAKE THE SERIES
WORLD OF HURT(悲しみに満ちた世界)とワールド・シリーズの“ワールドがけ”ね。あ、PETEYってのは第6戦に先発したフィラデルフィアの投手、ペドロ・マルチネスのことね。元レッドソックスだったってことでBostonメディアとしてはマルチネス贔屓な目線になってるっつーわけ。
うん、こういう楽しみ方はありだな。だっておいらのようにヤクルトつながりでポストシーズンを追ってると昨年なんてアメリカのほうはチャーリー・マニエルに岩村明憲、日本の方はグライシンガーにラミレスに石井一久と盛りだくさん(笑)で、今年はやはりマニエルとラミちゃんにゴンザレス、そして稲葉篤紀。ついでに尾花コーチも(笑)
どっちが勝ってもこいつらが全員残ってたらヤクルトの天下だったぜ…と妄想するのだ。
さて、こういう過去を見つめるスタンスにも当然、対立軸からの視点も存在するわけでレッドソックスの因縁のライバル、試合前のヤンキースの地元紙は…
【New York Post】
SPANK HIM, YANKS
Daddy to whup Pedro tonight
これは見てわかるように第6戦前の見だしなんでけど「今夜はペドロにお仕置きよ!」とばかりに粗い合成でなんとポスターまでついてるらしい。
タブロイド紙ならではの下品さだ(笑)。whupはwhipってことね。
一般的にはヤンキースがevil empire(悪の帝国)だといわれてるけど。マルチネスがヤンキースの老コーチを突き飛ばしたシーンはどうみても老人虐待、ペドロのほうが悪だったぜ。
結果として今シリーズは松井にお仕置きされちゃったね。
さて、フィラデルフィアとニューヨークの新聞を見る前に、レッドソックス・ネイションの一員であり我が友ピーターの地元、コネチカットの新聞を見てみよう。
【Hartford Courant】
Pinstripe Wizards
好きだなぁ、このセンス(笑)
ピンストライプの魔法使い…ってちょっと見ひねりが足りねんぢゃねーのって思うかもしれないけど、実はThe Whoの曲に「Pinball Wizard」っていうのがあるのだ。
これは組曲仕立ての「Tommy」ってアルバムの中の一曲で、実際に舞台や映画にもなった。映画についてはこのブログでも取り上げたことがあったけど音楽好きは絶対に見た方がいいぜ。
抱腹絶倒ギャランティーだぜ。
特にエリック・クラプトンがギター弾きながら出てくるシーンは正座&刮目せよ(笑)。
映画は1975年と大昔だけどブロードウェイの舞台のほうはトニー賞受賞が1993年だし、日本版の舞台はつい3年くらい前だったからネタとして古いということもないだろう。
というか逆にピート・タウンゼント世代、映画版世代が新聞を購読するおっさん世代になったともいえるかも。
ロックな話題といえば最初に紹介したボストン・ヘラルドの紙面の右上、よく見たらスティーヴン・タイラーのエアロスミス脱退の記事の見だしが…
SOLO STEVE ?
Aerosmith's Steven Tyler may walk this way end of tour
Run DMCのカバーで日本におけるヒップホップのカジュアル化に一役買ったともいえる名曲「Walk this way」のタイトルにひっかけてある。
それにしてもスティーヴン・タイラーの脱退なんて、イアン・ギラン・バンドをイアン・ギランが抜けるようなものだ。
ところで「キミそれはエアロスミスや」で馴染みのビーグル38ってほんとは3人組だって知ってた?
さてミュージカルといえばこんな見出し。
【Herald News】
Hit parade comes to Broadway
これはヤンキースの凱旋パレードを伝えた見だしだけど(音楽などの)ヒットパレードと強力打線と凱旋パレードとをかけて、それがミュージカルの街を行進するというちょっと洒落てみたもの。
パレードの見だしといえば
【AM New York】
NYers to Yanks: THANKS
NYersはnew yearぢゃないよ(笑)NYに「-er」つけただけ。New Yokerのことね。
YanksとThanksで韻を踏んでるんだろうけどなんか間抜けな感じの字面。
「ファンの皆様ありがとう」ぢゃなくって下々のものたちはスーパースター感謝しているのだへへ~ってことかい。ま、試合前のサインとかファンサービスは向こうのほうが積極的な気もするけど、その心はノブレスオブリージュ、持てる者の義務ってことか。やっぱりアメリカのセレブレティたちは王様なのだ。
【New York Post】
THANKS YANKS
Millions hail NY's heroes on parade
こっちもTHANKSね
ついでにもうひとつ
【Asbury Park Press】
HERALDING THE HEROES
このHERALDもさっきのhailも歓迎するという意味だけど、せっかくだったらよくある“なんちゃらヘラルド”っていう名前の新聞でこの「HERALD」を使ったらよかったのにとふと思ってしまった。
さてパレードネタはこれくらいにしといて優勝当日ネタ(つまり翌朝刊見だし)を見てみよう。
まずは王道ニューヨークタイムス
【The New York Times】
Back on Top, Yankees Add A 27th Title
見だしは面白くもなんともないが多くの新聞がAロッドの写真をフィーチヤーしている中、天下のニューヨークタイムスが松井の写真を使っているというのが日本人の思い出づくりを後押ししてくれてる(笑)。
さて、松井の写真がフィーチャーされたもうひとつの新聞。
【Newsday】
27th Heaven!
おお写真もデカい。そして見だしもデザインもひとひねりあるぞ。
(せっかくなのでヨコにたおして大きめに表示してみた。)
歴代のMVPが並んでいる。
これって大きさ的にちょっとしたポスターにもなるな。大量に買っておいたら日本で金儲けできたかもね。
実際、eBayでよく新聞売ってるし。前出のペドロにお仕置きポスター付きのニューヨーク・ポストも売りに出てたぞ。
27th Heavenは至福な状態という意味のseventh heavenにひっかけている。
7つの天国という考え方はユダヤ教やイスラム教に由来する。イスラム教とユダヤ教はルーツが一緒だからね。当然のようにキリスト教にも影響している。共通の7番目の天国を持ちながらなぜ人々は戦争するのだろう。
seventh heavenといえば思い出すのがPerfumeのポリリズムのB面だね。CDの時代にB面…て(笑)…いやCDももう古いのか…。何?スポーツファンだったラルクが演った「うるぐす」のテーマ曲のほうだろってか。
この「seventh heaven」俗語では「マンネリ状態」なんて意味もあるとかないとか。ネットばかり信じてるとこんな少数派にひっかかって誤訳しかねないから注意が必要だぜ。
こっちの意味の出所は10年続いた長寿ドラマシリーズ「7th Heaven」に由来してるんだと思うけど、ラジオ・ドラマ時代から70年も続いた「Guiding Light」と比べたらまだまだショート・シリーズだな(笑)。「渡る世間」も真っ青だぜ。
真っ青といえば
【Courier-Post】
RUN ENDS
Phillies come up short in bid for consecutive titles
Phillies fans blue after Yankees win
「もはやここまで、連覇の夢破れフィリーズ・ファンもブルーはいっちゃった」
ってところだろうか。
フィリーズのカラーは赤だからその対比のイメージね。
「赤→青」といえばキリンだったかが赤に染まった浦和レッズのスタジアムの俯瞰写真を青く処理して広告用に使って物議を醸したことがあったっけ。アメリカでそんなことやったらスプレー缶持ったフーリガンにメーカーが襲撃されそうだ
ところでニュージャージーっていうとNFLのニューヨーク・ジェッツのイメージからなんとなくヤンキース・ファンだらけと思いこんぢゃうけど、この見だしはどう見てもフィリーズ目線。
地図を見たら納得だね。Courier-Postの所在地はフィラデルフィアに近い。それでも北のほうはやっぱりヤンキースファンの領地のようだ。
さて、同じくニュージャージーの今度はニューヨーク寄りのほうを見てみよう。ブルース・スプリンクスティーンでお馴染みのアズベリーパークからこんにちわっ…というわけで(実はパレードのをさっきすでに見たけど)
【Asbury Park Press】
THE PRIDE IS BACK
MATSUI STARS IN STRIPES, WINS WORLD SERIES MVP
“STARS IN STRIPES”は星条旗の“STARS and STRIPES”にかけてるのね。
縦縞のユニフォームを着た松井が主役をもってった…ってな意味。
今スプリンクスティーンの名前が出たけど、最近ニューアルバムを出してプロモーションで来日もし、SMAP×SMAPやめざまし土曜日にも出ててたボン・ジョビもニュージャージー出身のロッカーだ。
ここで1つスポーツネタを出しとくとジョン・ボン・ジョビはアリーナ・フットボールのフィラデルフィア・ソウルの共同オーナーだったりする。ってことはブルースがニューヨーク寄りなのに対してジョンの育ちはフィラデルフィア寄りだってことが伺える。
ちなみにアリーナ・フットボールってのは今もカージナルスで活躍するあのカート・ワーナーが下積み時代にプレイしていたということで日本のファンにも知られるようになった室内フットボール。室内フットボールといえばアメリカにはホッケーみたいなルールのインドアサッカーリーグなんてのもあった(まだあるかも)。
さてニュージャージーの旅は続くよ(笑)。
【The Press of Atlantic City】
Bronx bummers: Yanks defeat phills
おっと出ました「Bronx bummers」。前にも紹介したことのあるフレーズだけど、「Bronx Bomber」というヤンキースの愛称にひっかけてある。
ブロンクスの悪夢みたいなノリ。
当然のようにアトランティック・シティもフィリーズ圏内の街。写真までフィリーズのライアン・ハワードの空振り三振シーンになっている。
ちなみにここにアトランティック・シティはあのボードゲーム「モリポリー」のモデルタウンとしても有名。
今、「Bronx Bomber」が出てきたのでこいつを紹介。唐突にカナダにとぶけど(笑)
【Toronto Star】
BRONX BOMBER RULE THE WORLD
おっと松井の写真入りだぜい。
「ブロンクスの爆撃機が世界を支配」って字面だけで見るとなんともぶっそうだぜ。
ところで「Bronx bummer」のほうは、前にも言ったかもだけどヤンキースが悲惨だったときにヤンキースファンも使ったりするある程度慣用句的に使われるものだから、さほどキツいニュアンスはないけどわれらがボストンヘラルドの見だしはどうだ
【Boston Herald.】
DAMN YANKEES!
その昔、同名の映画があった。
邦題は「くたばれヤンキース」だった。
おっと“敗戦国”の新聞にも同じフレーズが
【Philadelphia Daily News】
DAMN YANKEES
こちらもライアン・ハワードがフィーチャーされている。
彼はさしずめ戦犯ってとこだろうか?合掌。
さて、またニュージャージーにもどって
【Burlington County Times】
Phinished
おっとまた松井の写真だぜぃ。
これはフィリーズが優勝した昨年もあった手口で「F → Ph」の変換パターンね。
もちろんバーリントン郡もペンシルヴァニア寄りね。
みな考えることは同じってわけで、ペンシルヴァニアの新聞をもういっちょ
【Bucks County Courier Times】
Phinished
さらにもひとつ
PA_TI.jpg【The Intelligencer】
Phinished
ここで何か気が付かないか?Phinished3兄弟は大見出しだけぢゃなくってレイアウトまで似通っている。
そう、実はこの3紙はカルキンス・メディアというメディア企業の傘下にある。偶然でもなんでもなかったんだね。
さて他の地方の有名紙にも注目。テキサンズ&ゲイリー・キュービアック・ウォッチングではお世話になったテキサスの新聞
【Houston Chronicle】
YANKEES CLINCH NO.27
Behind Starting pitcher Andy Pettitte of Deer Park, the New York Yankees win their 27th World Series title, knocking off deffending champion Philadelphia at Yankee Stadium.
CLINCHというのは野球に限らずスポーツ関係の見だしや記事では実によく使われる単語だ。ボクシングのクリンチから連想しちゃうと膠着したような中途半端なイメージだけど「カタをつけた」ってことね。
でも、ここでのポイントは見だしというよりそのあとに続く文。
「Andy Pettitte of Deer Park」ってとこね。ペティットがディアパーク高というテキサスの学校の出だということをフィーチャーしてるのね。
NFL初の女性トレーナーということで話題になったスティーラーズの磯有理子さんがスーパーボールの舞台立った時にオレゴンの新聞がオレゴン大の卒業生の磯有理子さんがスーパーに出場!と紹介してたようなもの。
出身といえば分業制のNFLではキッカーとかはヨーロッパ出身の選手がぽつぽつといたりすることもあったので、スーパーボウルになると彼らの母国の取材クルーが中継にきたりすてた。スーパーボウルが世界で視聴されているということの理由はそんなところにもあったりする。
NFLのロンドン開催は今年も盛況だったと聞く。
さて外国人は松井だけじゃない。
パナマの新聞から
【PANAMÁ AMÉRICA】
Mariano, clave del triunfo
EL cerrador panameño, Mariano Rivera, se ha convertido en una figura legendaria en la épocz dorada de los Yanquis
勝利のキーマン、マリアーノ
パナマ人クローザーのマリアーノ・リヴェラはヤンキース黄金時代の伝説となる。
…スペイン語は得意でないので違ってたら指摘してくれ
こうして見ると欧米圏間の外国語学習ってのは日本人と比べるとラクなんだろうなぁと思う。convertidoもconvertっぽいしlegendariaはlegendary、claveの「Key」はなんか遠く見えるけどクラビア(鍵盤楽器)、ああキーボードのキーかという連想は欧米人なら簡単そうだ。
英語とスペイン語よりむしろ日本語同士の標準語と鹿児島弁のほうが遠そうだ。鹿児島弁は2次大戦中に日本軍が通信時の暗号として使ったくらいだから。日系人に全部解読されてたらしいけど(笑)。
クラビアで思い出したことがあるんだけど、むかしNHKの単発モノのドラマで「私が愛したウルトラセブン」ってのがあった。
これは円谷プロのガキ向け番組「ウルトラセブン」の製作の裏舞台を描いたストーリーで主人公のダン(とアンヌ?)が成城学園前駅で黄昏れちゃうシーンがあるんだけど、よく見ると後ろの看板の電話番号の局番の一桁目に白い紙を張って隠してある。
どういうことかというと東京都23区の市内局番は「ウルトラセブン」の製作された70年代にはまだ3ケタだったのだ。
一生懸命スタッフが貼っている姿が浮かぶんだけど、頭隠して尻隠さずというか、電話番号の上には思いっきり「ヤマハ・クラビノーバ」という文字と電子ピアノの写真が(笑)
クラビノーバは電話番号の8ケタ化以前から存在してたけどウルトラセブンの時代にはない。ミニムーグだってまだないぜ(笑)。
…っていうか、紙貼ってるのが見えちゃってる時点でそっちが気になっちゃってダメだと思うんだけど。
クラビで楽器というとシンクラヴィアっていう超高価なヤツのことが思い出されるけど…って脱線に継ぐ脱線(苦笑)でもこのシンクラヴィアってあの小室哲哉センセーがヘタクソな歌を修正したり故マイケル・ジャクソンさんがあの名盤「スリラー」で使って話題になったりと、ほら、時の人の話題からめたでしょ?え?野球関係なくなってるだろって。うーん、そうだな、そのシンクラヴィアってニューイングランド・デジタル社ってとこが創ったんだぜ。ニューイングランドといえば?そうだね、ペイトリオッツとレッドソックス・ネーションだね。野球に戻すどころか、レッドソックスまで戻ってきたぜぃ。
そんなわけで次回のこのコーナーは今年もやります名前だけテータベースシリーズ。
…って今年もタイムリー感ゼロだな(苦笑)
今回も例によって、画像付きなので参照しながら読んでいただければ幸いだ。画像は一番下にあって往復するのは大変だろからウインドウ2つ(タブでもいいけど)開いて片方で画像表示しながら見てくれ。一応、書いた順に並べてある。
根性のある方は印刷してくれてもいいかも。Macなら3メートル、Windowsでも2メートルちょいになるけどね(笑)
日本では松井のMVPで大騒ぎしていたけど写真はAロッドばかりなんだぜ(笑)。
やっぱりまぐれ当たりのシリーズ男くらいにしか思われてないんだろう。
某スポーツニュースでアンケートではファンの過半数が松井の残留を望んでいるなんていってたけど具体的な数を聞いてみりゃ55%って超ビミョーちゃねーか(笑)
“MVPご祝儀”を足してもこの程度なんだよ。
メジャーで成功したのはイチローと野茂の二人だけだという事実をあらためて感じた。こうしている間にも日々日本球界は痩せ細ってるんだ。
さて、辛気くさいノリになってしまったので哀しい見だしから(笑)
【Boston Herald】
PETEY IN WORLD OF HURT AS YANKS TAKE THE SERIES
WORLD OF HURT(悲しみに満ちた世界)とワールド・シリーズの“ワールドがけ”ね。あ、PETEYってのは第6戦に先発したフィラデルフィアの投手、ペドロ・マルチネスのことね。元レッドソックスだったってことでBostonメディアとしてはマルチネス贔屓な目線になってるっつーわけ。
うん、こういう楽しみ方はありだな。だっておいらのようにヤクルトつながりでポストシーズンを追ってると昨年なんてアメリカのほうはチャーリー・マニエルに岩村明憲、日本の方はグライシンガーにラミレスに石井一久と盛りだくさん(笑)で、今年はやはりマニエルとラミちゃんにゴンザレス、そして稲葉篤紀。ついでに尾花コーチも(笑)
どっちが勝ってもこいつらが全員残ってたらヤクルトの天下だったぜ…と妄想するのだ。
さて、こういう過去を見つめるスタンスにも当然、対立軸からの視点も存在するわけでレッドソックスの因縁のライバル、試合前のヤンキースの地元紙は…
【New York Post】
SPANK HIM, YANKS
Daddy to whup Pedro tonight
これは見てわかるように第6戦前の見だしなんでけど「今夜はペドロにお仕置きよ!」とばかりに粗い合成でなんとポスターまでついてるらしい。
タブロイド紙ならではの下品さだ(笑)。whupはwhipってことね。
一般的にはヤンキースがevil empire(悪の帝国)だといわれてるけど。マルチネスがヤンキースの老コーチを突き飛ばしたシーンはどうみても老人虐待、ペドロのほうが悪だったぜ。
結果として今シリーズは松井にお仕置きされちゃったね。
さて、フィラデルフィアとニューヨークの新聞を見る前に、レッドソックス・ネイションの一員であり我が友ピーターの地元、コネチカットの新聞を見てみよう。
【Hartford Courant】
Pinstripe Wizards
好きだなぁ、このセンス(笑)
ピンストライプの魔法使い…ってちょっと見ひねりが足りねんぢゃねーのって思うかもしれないけど、実はThe Whoの曲に「Pinball Wizard」っていうのがあるのだ。
これは組曲仕立ての「Tommy」ってアルバムの中の一曲で、実際に舞台や映画にもなった。映画についてはこのブログでも取り上げたことがあったけど音楽好きは絶対に見た方がいいぜ。
抱腹絶倒ギャランティーだぜ。
特にエリック・クラプトンがギター弾きながら出てくるシーンは正座&刮目せよ(笑)。
映画は1975年と大昔だけどブロードウェイの舞台のほうはトニー賞受賞が1993年だし、日本版の舞台はつい3年くらい前だったからネタとして古いということもないだろう。
というか逆にピート・タウンゼント世代、映画版世代が新聞を購読するおっさん世代になったともいえるかも。
ロックな話題といえば最初に紹介したボストン・ヘラルドの紙面の右上、よく見たらスティーヴン・タイラーのエアロスミス脱退の記事の見だしが…
SOLO STEVE ?
Aerosmith's Steven Tyler may walk this way end of tour
Run DMCのカバーで日本におけるヒップホップのカジュアル化に一役買ったともいえる名曲「Walk this way」のタイトルにひっかけてある。
それにしてもスティーヴン・タイラーの脱退なんて、イアン・ギラン・バンドをイアン・ギランが抜けるようなものだ。
ところで「キミそれはエアロスミスや」で馴染みのビーグル38ってほんとは3人組だって知ってた?
さてミュージカルといえばこんな見出し。
【Herald News】
Hit parade comes to Broadway
これはヤンキースの凱旋パレードを伝えた見だしだけど(音楽などの)ヒットパレードと強力打線と凱旋パレードとをかけて、それがミュージカルの街を行進するというちょっと洒落てみたもの。
パレードの見だしといえば
【AM New York】
NYers to Yanks: THANKS
NYersはnew yearぢゃないよ(笑)NYに「-er」つけただけ。New Yokerのことね。
YanksとThanksで韻を踏んでるんだろうけどなんか間抜けな感じの字面。
「ファンの皆様ありがとう」ぢゃなくって下々のものたちはスーパースター感謝しているのだへへ~ってことかい。ま、試合前のサインとかファンサービスは向こうのほうが積極的な気もするけど、その心はノブレスオブリージュ、持てる者の義務ってことか。やっぱりアメリカのセレブレティたちは王様なのだ。
【New York Post】
THANKS YANKS
Millions hail NY's heroes on parade
こっちもTHANKSね
ついでにもうひとつ
【Asbury Park Press】
HERALDING THE HEROES
このHERALDもさっきのhailも歓迎するという意味だけど、せっかくだったらよくある“なんちゃらヘラルド”っていう名前の新聞でこの「HERALD」を使ったらよかったのにとふと思ってしまった。
さてパレードネタはこれくらいにしといて優勝当日ネタ(つまり翌朝刊見だし)を見てみよう。
まずは王道ニューヨークタイムス
【The New York Times】
Back on Top, Yankees Add A 27th Title
見だしは面白くもなんともないが多くの新聞がAロッドの写真をフィーチヤーしている中、天下のニューヨークタイムスが松井の写真を使っているというのが日本人の思い出づくりを後押ししてくれてる(笑)。
さて、松井の写真がフィーチャーされたもうひとつの新聞。
【Newsday】
27th Heaven!
おお写真もデカい。そして見だしもデザインもひとひねりあるぞ。
(せっかくなのでヨコにたおして大きめに表示してみた。)
歴代のMVPが並んでいる。
これって大きさ的にちょっとしたポスターにもなるな。大量に買っておいたら日本で金儲けできたかもね。
実際、eBayでよく新聞売ってるし。前出のペドロにお仕置きポスター付きのニューヨーク・ポストも売りに出てたぞ。
27th Heavenは至福な状態という意味のseventh heavenにひっかけている。
7つの天国という考え方はユダヤ教やイスラム教に由来する。イスラム教とユダヤ教はルーツが一緒だからね。当然のようにキリスト教にも影響している。共通の7番目の天国を持ちながらなぜ人々は戦争するのだろう。
seventh heavenといえば思い出すのがPerfumeのポリリズムのB面だね。CDの時代にB面…て(笑)…いやCDももう古いのか…。何?スポーツファンだったラルクが演った「うるぐす」のテーマ曲のほうだろってか。
この「seventh heaven」俗語では「マンネリ状態」なんて意味もあるとかないとか。ネットばかり信じてるとこんな少数派にひっかかって誤訳しかねないから注意が必要だぜ。
こっちの意味の出所は10年続いた長寿ドラマシリーズ「7th Heaven」に由来してるんだと思うけど、ラジオ・ドラマ時代から70年も続いた「Guiding Light」と比べたらまだまだショート・シリーズだな(笑)。「渡る世間」も真っ青だぜ。
真っ青といえば
【Courier-Post】
RUN ENDS
Phillies come up short in bid for consecutive titles
Phillies fans blue after Yankees win
「もはやここまで、連覇の夢破れフィリーズ・ファンもブルーはいっちゃった」
ってところだろうか。
フィリーズのカラーは赤だからその対比のイメージね。
「赤→青」といえばキリンだったかが赤に染まった浦和レッズのスタジアムの俯瞰写真を青く処理して広告用に使って物議を醸したことがあったっけ。アメリカでそんなことやったらスプレー缶持ったフーリガンにメーカーが襲撃されそうだ
ところでニュージャージーっていうとNFLのニューヨーク・ジェッツのイメージからなんとなくヤンキース・ファンだらけと思いこんぢゃうけど、この見だしはどう見てもフィリーズ目線。
地図を見たら納得だね。Courier-Postの所在地はフィラデルフィアに近い。それでも北のほうはやっぱりヤンキースファンの領地のようだ。
さて、同じくニュージャージーの今度はニューヨーク寄りのほうを見てみよう。ブルース・スプリンクスティーンでお馴染みのアズベリーパークからこんにちわっ…というわけで(実はパレードのをさっきすでに見たけど)
【Asbury Park Press】
THE PRIDE IS BACK
MATSUI STARS IN STRIPES, WINS WORLD SERIES MVP
“STARS IN STRIPES”は星条旗の“STARS and STRIPES”にかけてるのね。
縦縞のユニフォームを着た松井が主役をもってった…ってな意味。
今スプリンクスティーンの名前が出たけど、最近ニューアルバムを出してプロモーションで来日もし、SMAP×SMAPやめざまし土曜日にも出ててたボン・ジョビもニュージャージー出身のロッカーだ。
ここで1つスポーツネタを出しとくとジョン・ボン・ジョビはアリーナ・フットボールのフィラデルフィア・ソウルの共同オーナーだったりする。ってことはブルースがニューヨーク寄りなのに対してジョンの育ちはフィラデルフィア寄りだってことが伺える。
ちなみにアリーナ・フットボールってのは今もカージナルスで活躍するあのカート・ワーナーが下積み時代にプレイしていたということで日本のファンにも知られるようになった室内フットボール。室内フットボールといえばアメリカにはホッケーみたいなルールのインドアサッカーリーグなんてのもあった(まだあるかも)。
さてニュージャージーの旅は続くよ(笑)。
【The Press of Atlantic City】
Bronx bummers: Yanks defeat phills
おっと出ました「Bronx bummers」。前にも紹介したことのあるフレーズだけど、「Bronx Bomber」というヤンキースの愛称にひっかけてある。
ブロンクスの悪夢みたいなノリ。
当然のようにアトランティック・シティもフィリーズ圏内の街。写真までフィリーズのライアン・ハワードの空振り三振シーンになっている。
ちなみにここにアトランティック・シティはあのボードゲーム「モリポリー」のモデルタウンとしても有名。
今、「Bronx Bomber」が出てきたのでこいつを紹介。唐突にカナダにとぶけど(笑)
【Toronto Star】
BRONX BOMBER RULE THE WORLD
おっと松井の写真入りだぜい。
「ブロンクスの爆撃機が世界を支配」って字面だけで見るとなんともぶっそうだぜ。
ところで「Bronx bummer」のほうは、前にも言ったかもだけどヤンキースが悲惨だったときにヤンキースファンも使ったりするある程度慣用句的に使われるものだから、さほどキツいニュアンスはないけどわれらがボストンヘラルドの見だしはどうだ
【Boston Herald.】
DAMN YANKEES!
その昔、同名の映画があった。
邦題は「くたばれヤンキース」だった。
おっと“敗戦国”の新聞にも同じフレーズが
【Philadelphia Daily News】
DAMN YANKEES
こちらもライアン・ハワードがフィーチャーされている。
彼はさしずめ戦犯ってとこだろうか?合掌。
さて、またニュージャージーにもどって
【Burlington County Times】
Phinished
おっとまた松井の写真だぜぃ。
これはフィリーズが優勝した昨年もあった手口で「F → Ph」の変換パターンね。
もちろんバーリントン郡もペンシルヴァニア寄りね。
みな考えることは同じってわけで、ペンシルヴァニアの新聞をもういっちょ
【Bucks County Courier Times】
Phinished
さらにもひとつ
PA_TI.jpg【The Intelligencer】
Phinished
ここで何か気が付かないか?Phinished3兄弟は大見出しだけぢゃなくってレイアウトまで似通っている。
そう、実はこの3紙はカルキンス・メディアというメディア企業の傘下にある。偶然でもなんでもなかったんだね。
さて他の地方の有名紙にも注目。テキサンズ&ゲイリー・キュービアック・ウォッチングではお世話になったテキサスの新聞
【Houston Chronicle】
YANKEES CLINCH NO.27
Behind Starting pitcher Andy Pettitte of Deer Park, the New York Yankees win their 27th World Series title, knocking off deffending champion Philadelphia at Yankee Stadium.
CLINCHというのは野球に限らずスポーツ関係の見だしや記事では実によく使われる単語だ。ボクシングのクリンチから連想しちゃうと膠着したような中途半端なイメージだけど「カタをつけた」ってことね。
でも、ここでのポイントは見だしというよりそのあとに続く文。
「Andy Pettitte of Deer Park」ってとこね。ペティットがディアパーク高というテキサスの学校の出だということをフィーチャーしてるのね。
NFL初の女性トレーナーということで話題になったスティーラーズの磯有理子さんがスーパーボールの舞台立った時にオレゴンの新聞がオレゴン大の卒業生の磯有理子さんがスーパーに出場!と紹介してたようなもの。
出身といえば分業制のNFLではキッカーとかはヨーロッパ出身の選手がぽつぽつといたりすることもあったので、スーパーボウルになると彼らの母国の取材クルーが中継にきたりすてた。スーパーボウルが世界で視聴されているということの理由はそんなところにもあったりする。
NFLのロンドン開催は今年も盛況だったと聞く。
さて外国人は松井だけじゃない。
パナマの新聞から
【PANAMÁ AMÉRICA】
Mariano, clave del triunfo
EL cerrador panameño, Mariano Rivera, se ha convertido en una figura legendaria en la épocz dorada de los Yanquis
勝利のキーマン、マリアーノ
パナマ人クローザーのマリアーノ・リヴェラはヤンキース黄金時代の伝説となる。
…スペイン語は得意でないので違ってたら指摘してくれ
こうして見ると欧米圏間の外国語学習ってのは日本人と比べるとラクなんだろうなぁと思う。convertidoもconvertっぽいしlegendariaはlegendary、claveの「Key」はなんか遠く見えるけどクラビア(鍵盤楽器)、ああキーボードのキーかという連想は欧米人なら簡単そうだ。
英語とスペイン語よりむしろ日本語同士の標準語と鹿児島弁のほうが遠そうだ。鹿児島弁は2次大戦中に日本軍が通信時の暗号として使ったくらいだから。日系人に全部解読されてたらしいけど(笑)。
クラビアで思い出したことがあるんだけど、むかしNHKの単発モノのドラマで「私が愛したウルトラセブン」ってのがあった。
これは円谷プロのガキ向け番組「ウルトラセブン」の製作の裏舞台を描いたストーリーで主人公のダン(とアンヌ?)が成城学園前駅で黄昏れちゃうシーンがあるんだけど、よく見ると後ろの看板の電話番号の局番の一桁目に白い紙を張って隠してある。
どういうことかというと東京都23区の市内局番は「ウルトラセブン」の製作された70年代にはまだ3ケタだったのだ。
一生懸命スタッフが貼っている姿が浮かぶんだけど、頭隠して尻隠さずというか、電話番号の上には思いっきり「ヤマハ・クラビノーバ」という文字と電子ピアノの写真が(笑)
クラビノーバは電話番号の8ケタ化以前から存在してたけどウルトラセブンの時代にはない。ミニムーグだってまだないぜ(笑)。
…っていうか、紙貼ってるのが見えちゃってる時点でそっちが気になっちゃってダメだと思うんだけど。
クラビで楽器というとシンクラヴィアっていう超高価なヤツのことが思い出されるけど…って脱線に継ぐ脱線(苦笑)でもこのシンクラヴィアってあの小室哲哉センセーがヘタクソな歌を修正したり故マイケル・ジャクソンさんがあの名盤「スリラー」で使って話題になったりと、ほら、時の人の話題からめたでしょ?え?野球関係なくなってるだろって。うーん、そうだな、そのシンクラヴィアってニューイングランド・デジタル社ってとこが創ったんだぜ。ニューイングランドといえば?そうだね、ペイトリオッツとレッドソックス・ネーションだね。野球に戻すどころか、レッドソックスまで戻ってきたぜぃ。
そんなわけで次回のこのコーナーは今年もやります名前だけテータベースシリーズ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます