夏は、「遠野物語」。
20世紀に日本語で記された最も大切な書物の1つ。
100年前に350部、印刷、発行されました。
「白望の山続きに離森(はなれもり)といふ所あり。その小字に長者屋敷といふは、全く無人の境なり。ここに行きて炭を焼く者ありき。ある夜その小屋の垂(た)れ菰(ごも)をかかげて、内を窺ふ者を見たり。髪を長く二つに分けて垂れたる女なり。このあたりにても深夜に女の叫び声を聞くことは珍しからず」
「山にはさまざまの鳥住めど、最も寂しき声の鳥はオット鳥なり。夏の夜中に啼く。浜の大槌(おほづち)より駄賃附(だちんづけ)の者など峠を越え来れば、はるかに谷底にてその声を聞くといへり。昔ある長者の娘あり。またある長者の男の子と親しみ、山に行きて遊びしに、男見えずなりたり。夕暮れになり夜になるまで探しあるきしが、これを見つくることを得ずして、つひにこの鳥になりたりといふ。オットーン、オットーンといふは夫(をっと)のことなり。末の方かすれてあはれなる鳴き声なり」
(角川文庫『遠野物語』[著]柳田国男より)
恐怖。不可思議。異世界の視線。
500年に1冊、生まれる言葉の宝物。日本人の必読書。
カッパの顔が何色かも記されています。
読み継がれていき、その価値が高まる『遠野物語』。
その挿話を読んだ作家や映像作家、漫画家が、ヒントを得て、多くの、小説や映像、漫画を創り出すこともできるでしょう。
20世紀に日本語で記された最も大切な書物の1つ。
100年前に350部、印刷、発行されました。
「白望の山続きに離森(はなれもり)といふ所あり。その小字に長者屋敷といふは、全く無人の境なり。ここに行きて炭を焼く者ありき。ある夜その小屋の垂(た)れ菰(ごも)をかかげて、内を窺ふ者を見たり。髪を長く二つに分けて垂れたる女なり。このあたりにても深夜に女の叫び声を聞くことは珍しからず」
「山にはさまざまの鳥住めど、最も寂しき声の鳥はオット鳥なり。夏の夜中に啼く。浜の大槌(おほづち)より駄賃附(だちんづけ)の者など峠を越え来れば、はるかに谷底にてその声を聞くといへり。昔ある長者の娘あり。またある長者の男の子と親しみ、山に行きて遊びしに、男見えずなりたり。夕暮れになり夜になるまで探しあるきしが、これを見つくることを得ずして、つひにこの鳥になりたりといふ。オットーン、オットーンといふは夫(をっと)のことなり。末の方かすれてあはれなる鳴き声なり」
(角川文庫『遠野物語』[著]柳田国男より)
恐怖。不可思議。異世界の視線。
500年に1冊、生まれる言葉の宝物。日本人の必読書。
カッパの顔が何色かも記されています。
読み継がれていき、その価値が高まる『遠野物語』。
その挿話を読んだ作家や映像作家、漫画家が、ヒントを得て、多くの、小説や映像、漫画を創り出すこともできるでしょう。