豆日記

小豆原一朗の日記

春さん夏さん秋さん冬さん

2011年04月24日 | 豆日記
「おい、俺達って本当に愛されてるのか?」
と、夏さんが言った。

「愛されてるとはなんぞや?」
と、秋さんが言った。

「別に愛されてようが愛されてなかろうがいいのよ。
私達はただこの世にいるだけで。」
と、冬さんが言った。

「でも、俺と夏さんはちょっと世間からウザがられてる気がするなぁー。」
と、春さんが言った。

「そうだよなー。なんか秋さんと冬さんは人気高い気がする。」
と、夏さんが言った。

「そんなことあらしまへん。我は地味だから印象薄いよってに。」
と、秋さんが言った。

「人はそれぞれ好みがあるからね。
私だって沢山の生き物に嫌われてるわよ。
でも待ってれば、いつかはいい季節にめぐり合えると生き物はみんな思ってるの。
だから私達はこのままでいいの。」
と、冬さんが言った。

「でも、このローテーションそろそろ飽きないか?」
と、夏さんが言った。

「じゃあ、どんなのがよろしいと思ってんで?」
と秋さんが言った。

「おい、とばすな。冬の次は俺の番だぞ。」
と、春さんが言った。

「こんな風に誰かが出番を損しちゃうわ。」
と冬さんが言った。

「そうだそうだ。」
と、春さんが言った。

「じゃあ、こんなのはどうよ。1日の中に四季を見せるってのは?」
と、夏さんが言った。

「そんなことしてなんになるんかいな?」
と、秋さんが言った。

「そうね。それに生き物が対応できないわ。」
と、冬さんが言った。

「あのー。前々から思ってたけど、冬の出番って俺達と比べて長くない?」
と、春さんが言った。

「ああ!そういえば!だからいつもそんな余裕かましてるんだな!」
と、夏さんが言った。

「まあまあ、みんなの代わりに頑張ってるんじゃないんかー。」
と、秋さんが言った。

「じゃー、分かったわ。私は短くする。だからみんなちょっとずつ長くやっていいわよ」
と、冬さんが言った。


そのような会議によって四季たちの長さは均等になった。
しかし、怠け者の春さんは期間が変わったことによって自分の出番を時々忘れてしまう。
その場合、他の三つの四季がカバーしあう。

「あ、また春のやつまた仕事忘れてるな!しょーがない、今日は俺が出てってやる!」
夏が出て気温が20℃になったり。

「あらま、こりゃあかんよってに」
秋が出る時はあんまり変わらない。しいて言うなら花粉が飛ばない。

「またなの。しょーがないわね」
冬が出て気温が6℃。

そんな理由でここ最近の気温が変わったり、花粉飛ばなかったりするのかな。

春も夏も秋も冬も色々と考える。
春はボケーっとしてる。夏は活発。秋は地味。冬はどことなくまとめ役。
そして、答えの出ないまま次の季節へとバトンタッチ。
僕は1年間のそれを振り返り、ほほえむ。
彼らがいる。それだけで大それた答えなんかいらないのかもな。
四季がある国に生まれて幸せだと思ったある朝。

まめ

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