のんびり行こう!

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そんな感じでやっていこう。
思いついたら更新。気ままに気長に。

カプリッチオとあさわくん  

2015年05月06日 | 銀魂 テキスト(完)
カプリッチオとあさわクン

本日の9係、小宮山さんのセリフより。
「係長とあさわ君。」が、最初、こう聞こえたのさ、というタイトル。内容とは一切関係なし。ちなみにこの回はヤザワ君もアサワ君、に聞こえた。こっちは似てるか。
疑問解決ストーリー 2(になるのかな)
村麻紗を手にいれてしまってうち直しを依頼していたもともとの大刀はどうなったのかなー、すっかり忘れてるよね、というお話。


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その日、山崎以上に全く目立つこともないが、至極まじめにお勤めをしている9番隊隊長 二木二郎、別名ブービー隊長は、傷んだ刀を鍛えなおしてもらうため真選組が懇意にしている刀鍛冶のもとを訪れた。
主人は隊長服を見て真選組の幹部であることは分ったようで、鍛えなおすよりもと一振りの刀を差しだした。刃紋も見事な重量感のある大刀でなかなかに有名な刀匠の作と思われたし、妙にしっくりきて一目で気に入った。
銘を問うのに主は答えた。「武州、土方。」と。
「刀匠としては聞いたことの無い名だが、うちの副長と何か縁のある御仁か?」
「そうではなくてな、もともとおたくの副長が預けていったものなんだが、どうも忘れてしまったのか、一向にとりに来られないのでね。切れ味は保証するし、お安くするから持って帰ってくれないかねえ。」
「ふ、副長の?」
そんなこんなで二木はすっかり忘れ去られていた憧れの土方の刀を手に入れることになった。

 屯所の衛兵は各隊で持ち回りとなっている。今日の担当は3番隊か、平隊士のくせに9番隊隊長より出番が多かったりする。だからといって、いつものことで、ブービー隊長としては気にすることでも、ないはずだった。左右に立つ門兵が、二木の隊服を見て階級だけは上だと判断したのか、軽く会釈をして入場を許可する。…いつものことだ。
いつもの。だ、が。
「お帰りなさい、9番隊隊長、二木二郎さん、だぁ!おめえら俺の名前分ってんのかぁあ?」
怒ることでもないと頭では判断しているにもかかわらず、二木は叱責し、鯉口を切っていた。幸い、抜刀してはいなかったが、己の言動を冷静に見つめる自身もいて、目を見開いたまま固まってしまった。
「い、いや。その。」
「申し訳ありません、二木隊長。」
隊士は、身分確認が不十分だったことを怒らせたのかと、懐から隊士名簿を取り出し、9番隊隊士一覧を確認する。名簿確認などしたこともおないので、あたふたと、無駄な動きが多い。やっと9番隊にたどり着くと、ブービーなので当然ページ数も後のほうでついでに二木は写真写りもぼんやりしている。一瞬よぎった、このひとかなあ、の顔に「これだよ、これ。ああん、映り悪いなあ。今度きちんと撮りなおしてもらわねえとなあ。」と横から口を挟んで、門をくぐった。

何してんの、俺。どうしちゃったの、俺?
混乱状態で、靴を脱ぎ散らかし、廊下を走り、部屋にこもる。あまりに勢いをつけて閉めたため逆側の障子があいてしまっているのにも気づかない。彼にも、あまり用途は(普段は隊に与えられた控えの間にいるので)ないが、一応隊長なので一部屋執務室を与えられている。
一人の部屋で、ゆっくり考えてみる。
おかしいってもちょっと高圧的になった、というか、自己主張が激しくなっただけだ。職務上問題は、隊士たちにはうっとおしがられるかもしれないが、その程度で特に問題はない、はずだ。そう、副長の刀を思いがけず手に入れたりなんかしたから気分が高揚してちょっとばかし浮ついた言動をしてしまっただけだ。そうに違いない。
 落ち着くんだ、二郎。そんなでは、巡回報告に行けない。副長には、刀のことも報告しておいたほうがいいだろう。
 一呼吸おいて、茶を飲む。文机の引き出しからボールペンを取り出し、ノックする。
 巡回報告。9番隊隊長、二木二郎。増上寺あたりを巡回、攘夷派浪人見かけず。環境客に写真と道を尋ねられる。天地院わきの空き地に建てられていたのは不動産屋。入居は来月の模様なのでオーナー調査と地図の作成を依頼。事件 何もなし。と記入する。
 何もなし、を見返し、地味だなあ、と思う。「何もなければ沖田隊長みたくなんかおこしてみようかなあ。」と呟き、不穏当な発言に周りを見回す。
…やはり、なんかおかしい。なんか、なあたりも、なんか、だ。

隊員が帰参し二木は報告書を持って土方のもとを訪れた。
「副長、9番隊二木です。」障子外から声をかける。灯りとともに煙草の煙がもれている。
「入れ。」
「失礼します。」
思った通り、こちらのの部屋には相変わらず書類と煙草の煙が充満している。土方は小姓よりも秘書を複数雇うべきではないだろうかと考えてしまった。だが、結局、一見どうでもいいと判断されるすべての書類まで見てしまう性格なので彼の仕事(雑務ともいう)が減ることはないだろう。
「そこの箱に入れておけ。」
煙草をくわえ筆を持った土方は、書類から目もあげず言う。まじめな二木にはほぼ毎日のことだからあえて、手順を言う必要はないのだが、二木が誰か分っていないのかもしれない。
”報告書”とタイトルの書かれた元は菓子箱か何かの箱には数枚の紙が入っている。報告書の向こうには陳情書、依頼書、調査書、経理、分類不能などと書かれた箱もあってこちらにはかなりの紙が入っているようだ。肝心の報告書は、必ずしもきちんと報告書を作成する隊ばかりではないのでどうやら今日は9番隊が最後のほうらしい。
9番隊の下には6番隊の報告。こちらも何もなし、だ。こうした些末な書類にも土方は決まりだからと(書く側は決まりを無視しているところもあるのに)すべて目を通すのだ。
 二木を見ようとはしない土方をじっと、彼は見つめていた。さすがに用は終わったはずなのに立ち去ろうとしない二木に筆を持ったまま目線を上げた。
その途端。
キッン!
刃鳴りを響かせ二人は刀を抜いていた。



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…こんなに長くなるはずでは…。
起転転転で、確かに起がやたら長くなる傾向にはあるが、この誰?男で分ける羽目になるとは…。
まあ、でもあとはサックサク終わる、はず。
続きは下に。完成したら完に移します。…見込みが立たない。


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