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前、どこかのテレビ番組でこんな企画を観たことがある。ホッチキスを紙に留め、それが一回で成功すればクリア。
しかし留め損なったら、みんなからパイを投げられてしまうという、妙なおもしろゲームを。
あの時は確か、梅宮辰夫がパイまみれになっていたっけ。それにしても、何だったんだアレは……。
ところで。ホッチキスを留め損ねると、当然その芯は取り除かないといけないですよね。
そして、新たな針を留め直す。……これが、どうにも不細工なんだ。
失敗の跡が確実に書類に残ってしまい、見た目が汚い。
失敗した芯が、手元にボロボロと残骸として落っこちてるのも虚しい。
こいつらが書類を汚くした原因だと思うと、憎らしくなってくる。
そこで、こんなホッチキスをレコメンドしたい。
マックス株式会社が6月17日より発売している『P-KISS(ピーキス)』は、紙の針を用いる業界初のホッチキス。
要するに、針(芯)が紙製なんです。
では、このような機器を開発したきっかけについて。
まず挙げられるのは、安全性の問題である。
昨今、食品工場や製薬会社等では異物混入を防ぐため、ホッチキスやクリップなど金属製の留め具の使用を控える施設も増えているという。
当然、対策法は既に考案されていた。
「今までに、紙に穴をあけて縫いこむように書類をまとめる“ステッチャータイプ”の留め具が販売されております。
しかし紙をまとめる性質上、枚数が増えると紙の重みで外れやすくなってしまいますよね。
そのため、現場からは『多い枚数でもしっかりと留めたい』という声が寄せられていました」(マックス株式会社・担当者)
そこで開発されたのが、『P-KISS』。では、これを使った紙の留め方の原理についてご説明しましょう。
まずホッチキスに付いているカッターが書類に穴を開け、カッターの内側にある紙の針を書類に通す。
そしてその針は折り畳まれ、針先は糊で固定される。……という按配です。
しかし、不安もある。何が不安って、“強度”が不安なのです。
「針は雑誌の表紙に用いられている『ミラーコート紙』を採用しているため、コピー用紙と比べても強度がしっかりとしています」(担当者)
実はこのホッチキス、最大で15枚の書類を一度に綴じることができるそうなんです。強度、大丈夫でした!
さて、「紙の針」を使うことによって生まれるメリットをまとめてみましょうか。
■食品工場や製薬会社など、金属針が使えない場所でも使える
■子どもが集まる保育施設や学校などで、怪我の心配がない。また、誤って口に入れても、毒劇法に合致する物質は含まれていないので問題ない(ただし蛍光増白剤を含むため、食品衛生法上、食品と直に接する包装材としては使用不可)
■分別廃棄のときに、針を外さなくて済む
(金属のホッチキス針を外さなくてもリサイクルに支障はないが、「金属針はリサイクル時に外す必要がある」という認識を持つ人が多い)
そして個人的に最高なのは、「書類を傷つけない」というポイント。
紙でできているので、針自体をちぎる事ができるのです。すると残るは、カッターでこよりのように開けられた2穴のみ。
よって、何度留め直してもOK!
「一旦綴じた後でも紙針を切ることで簡単に書類を外せるため、コピーや資料の差し替えをする際にも便利です」(担当者)
そんな『P-KISS』は、全国の文具店や量販店、通販などで販売されている。
希望小売価格は17,640円(税込み)。
「食品、医療、化粧品の工場や事務所。もしくは学校や児童施設でお使いいただければと考えております」(担当者)より低価格化・小型化した“紙針ホッチキス”機器の開発は、今後の反響次第。
可能性は、無いではないようだ。