れいの如く

朝鮮半島関連の所感を書きます。

「日本を食い尽くす主体思想研究会」感想文

2019-10-10 16:43:13 | 所感(集会、講演等)
 10月4日、東京・池袋にある“としま産業振興プラザ”で行われたシンポジューム「日本を食い尽くす主体思想研究会」(主催:日本沖縄政策研究フォーラム)に行って来ました。
 平日の昼間にも関わらず100名近くの参加者があり驚きました。これは主催側も同様だったそうです。
 定刻である14時ちょうどに開会し、主催者側のプロモーション動画の上映、挨拶、メッセージ等に続いて、最初の講演者である藤田隆氏が登壇し、北朝鮮の拉致についてのお話がありました。
 周知の通り、藤田氏のお兄さんは拉致被害者です。そのお兄さんの事件を例にして拉致の手口について具体的に語られました。
 続いて仲村理事長の沖縄問題のついての講演、そして元共産党員の篠原氏による主体研究会についての講演が続き第1部は終了しました。
 第2部は質疑応答で会場からの質問に三人のパネラーが答えました。
フォーラムの大体こんな感じでした。フォーラムの動画も公開されると思いますので詳細はそちらをご参照ください。
 ということで、ここからは筆者の感想をあれこれ記して見ようと思います。
 この‘ギョーカイ’(⁈)に長く身を置く筆者は「主体思想研究会」については以前から知っていて同会発行の印刷物も目にしたことがあります。個人的には、同会は一部のマニアックな人々の集まりで社会的には何の影響も無いだろうと思っていました。昨今の北朝鮮状況を見れば好き好んで近づくヤツなどいるわけはないとタカを括っていました。
 しかし、4日のシンポジュームはこうした筆者の悠長な認識を見事に打ち破ってくれました。
主体思想研究会メンバー〜主思派と言ってもいいでしょう〜は日本社会のあちこちに入り込んでいるそうです。そして沖縄の基地反対やその他様々な運動の背後には彼らの影が見え隠れしているそうです。
 研究会のメンバーは教職員が多いとのこと。これは“布教”には好都合なのは言うまでもありません。そのため、直接、主体思想に触れていなくても間接的に影響を受けた人々は結構いるようです。このシンポジュームの中で登場した著名人の中には筆者でも知っている名前が多数出てきて驚きました。
 シンポジューム終了後、筆者の脳裏には疑問が一つ浮かび上がりました。主体思想研究会のメンバーたちは本当にこの思想を理解しているのだろうかということです。
 以前、読んだ二冊の本の中に“北朝鮮の党幹部や学者、そして故金正日総書記でさえも実のところ、この思想を理解していない”という文章が出ていました。
これらの本の著者たちは実際に北朝鮮に行き、関係者と語り合った結果そういう結論に至ったのです。その後、二人は改めて主体思想の本を読み直し、一人の著者は主体思想の創始者である故黃長燁先生に直後あって質疑応答してその真意を理解したそうです。
 この二人の著書を読んで筆者は、主体思想本来の考え方では現在の北朝鮮のような状況にはなり得ないと思いました。
 主体思想研究会のメンバーは前述したように大学教授を始めとする教職員が多いのですから知的水準は高いことでしょう。この二人のように主体思想を極め、その真意を理解して頂きたいと思います。主体思想の創始者である黃長燁先生の願いはそこにあるのですから。

近隣諸国放送研究フォーラムに参加しました

2019-09-22 13:50:15 | 所感(集会、講演等)
 8月25日に行われたアジア放送研究会主催の「近隣諸国放送研究フォーラム」に参加しました。今年で41回になる同フォーラムですが筆者が参加するのは3回目です。
 このフォーラムは、タイトルが示すように東アジア地域の放送について会員たちが研究成果を発表するのですが毎回とても興味深く拝聴しています。今回も面白く、またいろいろ参考になる点が多々ありました。
 具体的な内容については研究会の方にお任せして、ここでは個人的な感想をざっくりと書いてみます。
 ネットの普及によりラジオによる国際放送も以前ほど聴かれなくなったせいでしょうか、放送内容の変化を思わせる発表がいくつかありました。
 例えばニュースですと以前は様々な出来事を報道していましたが今はキャンペーン的な内容に重点を置く局も出てきました。報道機関としての国際放送の役割は終わりつつあるのかと思いました。
 しかし、国際放送自体の役割はまだあります。報道が制限されている社会主義圏については外部からのラジオ放送はまだまだ必要でしょう。特にネットが制限されている北朝鮮には外部からのラジオ放送は意義があると思います。
 周知のことではありませんが(笑)、日本でも対北朝鮮向け放送を行なっています。今回の発表の中で対北放送に参考になるのではないかと思われる点もいくつかありました。
 さて、このフォーラムでは研究発表の他に“同好の方々”にお会いすることも楽しみにしています。実際にお会いしたのは数回に過ぎませんが、「短波」誌や放送番組では数十年前から存じ上げている方々は大勢います。毎年、お元気で過ごされている皆さまの姿を拝見して自分自身励まされています。来年、またお会い出来ることを楽しみにしています。

2019国民大集会に参加して

2019-09-20 21:44:41 | 所感(集会、講演等)
 周知の通り9月16日東京・永田町にて恒例の「全拉致被害者の即時一時帰国を実現せよ!国民大集会」が行われました。このところ時間が折り合わず参加していなかったのですが、今回は都合がついたので参加しました。
 開会の20分くらい前に会場入りしましたがほぼ満席状態でした。しかしよく見ますと関係者も多かったような気がしました。
 詳細な内容についてはネット等で伝えられていますので、ここでは個人的な所感を幾つか書いてみます。

 まず、今回は内容が三部構成になっていました。そのため、一部と二部の間、二部と三部の間に壇上の入れ替えがありました。これは良いことだと思いました。これまでは2時間半休憩もなくぶっ通しでしたので客席に座っているだけでも結構疲れました。壇上に座り続ける被害者家族の皆さんはなおさらでしょう。高齢の方も多いので、これはちょっとひどいのでは、と常々思っていました。今回は、ご家族の皆さんは一部の時だけ壇上にいらっしゃったので少しは身体的に楽だったのではないでしょうか。そして2部以降は控室で休息されも、そのままお帰りになっても構わないと個人的には思いました。集会に出て体調を崩されたのでは全く意味のないことです。
また、入れ替え時間は短いですが休憩時間にもなりました。これは客席の一般参加者にとってもよいことでした。
 構成は変わったものの、内容は相変わらずでした。
 一部では最初に主催者側の挨拶があり、続いて首相と拉致問題担当大臣を兼ねている官房長官の挨拶がありました。事態が全く進展しないため虚しい思いで聞いていましたが政府も努力していると取り敢えず善意(?!)に受け止めました。続いて御家族の訴えがありました。毎回、この場で同じ訴えを繰り返さなければならない御家族の心情を思うと胸が痛みました。
 参席された御家族を紹介して一部は終わり2部となりました。毎回決まりきった話をする国会議員たちにはウンザリし、単なる議員たちのPR活動のような2部は必要ないように感じました。代わりに参加した国会・地方議員、地方自治体首長たちの名前を一覧表にしたペーパーを配布するだけでいいと思います。そして、この分の時間を3部に回した方が有意義な内容になったのではないでしょうか。
それとこのコーナーで司会の桜井氏が「憲法改正」の発言をしたのは不適切のように感じました。この集会は拉致被害者の救出を訴えるためのもので「憲法改正」を主張する場ではありません。ユーチューブ等でこの様子を視聴された方の中には「拉致被害者救援を言っているけど結局は改憲派右翼たちが集まっているだけではないか」と思われた人もいるかもしれません。拉致被害者救出運動=改憲派右翼のイメージが定着しつつある昨今、今回のようなことが続けば拉致被害者御家族は活動し難くなるでしょう。
 3部は被害者家族を交えてのシンポジウムですが、これは意義深いものでした~というより、この部分こそが今回の集会のメインとなるべきでしょう。横田拓也氏、飯塚浩一郎氏の発言は、普段なかなか聴くことの出来ない貴重なものでした。二人の発言に対し、西岡会長及び桜井氏があれこれ解説・補足のようなことを言っていましたが、これは必要ないと思いました。御二人の意見は他の場所でもいくらでも聞くことが出来るからです。普段聞くことの出来ない御家族の方の意見こそもっと聞きたかったです。そしてもう一人女性の御家族を加えれば更に多様な内容になったことでしょう。この集会の主役はあくまで被害者の御家族の方々のはずですが、いつも主役たちの声は隅に追いやられているように感じます。
 冒頭に、近年、この集会に時間的な都合で参席しなかったと書きましたが、それに加えて集会のあり方自体に疑問を感じるようになったことも足が遠ざかった理由の一つです。
上記したように主役であるはずの被害者御家族が隅に追いやられるようなこの類のイベントを続ける必要があるのか、そして御高齢の御家族に肉体的、経済的負担を強いるようなイベントはそろそろやめても別の形にした方がいいのではないだろうか思うようになりました。
 何よりも被害者全員が帰国し、このような集会自体がなくなることが一番であることは言うまでもないことですが。