もう、つつじの花は、
みんな、散ってしまったな
庭が、
ちょっと、寂しい
つつじは、
長く咲く花なのに、
すっかり、散ってしまった
つつじは、
結構、若く亡くなった
父が、好きだった木で、
実家には、
いっぱい植わっていて、
いっぱい咲いていた
ずっと、長く、
あちこち、咲いていた
つつじは、
我が家でも、あちこち
長く、咲いてくれる
蕾を持ち、
花びらを広げる
そして、次の蕾が、
芽吹き、花開いていく
次々と蕾、
次々と花開く
長く咲いて、
でも、やがて、
枯れて、散ってしまうけど、
また、次の蕾、
次々に、花開き、
いっぱいに咲き誇る
…そんな、つつじが、
もう、咲き終わってしまった
そんな、彩りのない庭は、
やっぱり、寂しい
でも、残された、
葉の緑は、
生命の緑だ
つつじの生命は、
その緑は、
ずっと勢いを増して、
彩りは、寂しくなっても、
生命を、輝かしている
いっぱいの緑…
…いや、違う
蕾だ
いや、花も
何にも、愛でない
つまらない、お前には、
分かるはずもない
さつきだ
妻の父の、
さつきだ
さつきの大好きだった、
義父
つつじも、植えてくれたけど、
さつきは、もっと、
植えてくれていたんだ
何にも、愛でない、
つまらないおまえなんかには、
分かるはずもない
でも、長生きだった義父は、
今、こうして、
花は、散っても、
葉は、生い茂るし、
でも、次の花々が、
咲き始めると、
季節も知らない、
つまらないだけの、
こんな自分にも、
こうして植えた木々、花々で、
教えてくれて、いるんだろう
…あっちにも、蕾
いやもう花開いている
彩りの、とっても豊かな、
そんなさつきが、
ここにも、あそこにも、
様々に、蕾をつけ、
いや開き、
いや、もう、
咲き誇っているよ
季節の、分からない
そんな、つまらないおまえに、
もうとっくに、
亡くなってしまった義父なのに、
優しく、叱るように、
教えてくれて、
いるんだろうか
季節は、巡る
蕾、花、彩り、
散って、葉の輝き
でも、次の蕾、花、散って
葉の輝き…
でも、やがて葉も、枯れる
秋になって、冬…