とにかく、入学したては
学校に行きたくなかった
引っ越した街に
全然、馴染めなかったから
だから、丸一日の
授業なんて
ただただ、苦行だった
でも、土曜日は
まったく、違ったな
そんな大昔でも
半ドンだったんだ
午前中だけで、帰れる
偏食の自分が
大っ嫌いだった
給食は、ない
食べなくて良いんだ
だから、さっさと
家に、帰って
かあさんに
色々、我儘言って
好きなご飯を
作って貰えるんだ
後は、テレビだな
まだ、友だちなんか
少ししか、いないから
別に、無理に
遊びたくなんてない
だから、テレビだ
土曜日の午後は
大好きな、お笑いの
舞台中継を
いっぱいやってる
かあさんと
一緒に見る
二人で、げらげら笑う
それで、何もかも
学校での嫌な事は
忘れられたんだ
思春期になって
結構、今どきの
引きこもりみたいに
なっていったけど
学校は、行ってたから
やっぱり、土曜日は
嬉しかったな
授業中は、本を読んだりとか
友だちと、こっそり
将棋を、してたりとか
後は、授業は
まったく、聞く気がないから
寝てたけどね
それでも、かあさんが
悲しむから
一応、学校には行く
サボって、抜け出すなんて
揉めるような事は
面倒だから、しない
だから、結局
学校には、縛られてた
それだから、やっぱり
土曜日は、半日だけだから
半日で、帰れるって
凄い、開放感で
帰る時には
もの凄く、嬉しかったんだ
そんな、自分も
何とか、大人になったけど
今度は、会社だ
まだ最初は、昔だからね
隔週、週休二日で
隔週は、半ドンだった
やがて、完全に
週休二日になったけど
でも、自分は
営業職だから
取り引き先の関係で
土曜日出勤の時も
あったんだ
でも、そんな時は
やっぱり、平日とは
ちょっと違う
オフィスは、休みだから
定時に、出勤しなくても
問題ない
少し、遅く出勤
やっぱり、何か
凄い、開放感だったな
休日出勤でも
開放感だった
子どもの頃みたいにね
それで、そんな日の
お昼が、ちょっと嬉しい
本社のあった街は
会社員の街で
土曜日は、普通は
みんな、休みなんだ
でも、休日出勤の
会社員は、いるから
開いているお店は
それなりには、あった
そんなお店で
お昼を、食べるんだ
そんな時だ
125mlの缶ビール
そんなサービスを
してくれるお店が
何軒も、あったんだ
休日出勤、ご苦労様みたいな
お昼ご飯に、少しのビール
開放感、凄かったなあ
本当は、解放なんて
されてないんだけどね
でも、そんな事を
思い出してる
今のこの自分は
もう、年金生活者で
もう、な〜んっにも
縛られる事なんてない
でも、何でだろうな
土曜日だって言うのに
週の巡りにも
気持ちは、な〜んっにも
感じないみたいだ
苦しみもないけど
楽しみも、喜びも
な〜んっにも
感じなくなってしまった…