しまうまハイツの日々騒然

特別な人間でもないけれど、意外と破天荒な日々を送ることもある。そんな人間が何てことない日々を吐き出します

フィラディナストーリー第5話

2021-04-24 19:11:31 | フィラディナストーリー:物語
第5話『旅立ち、つまづき』


黒い霧というのは現状では何も解明できていない謎の気体。
いつからか当然のようにこの大陸に出現し、我が物顔でありとあらゆるものを蹂躙する。
異形の怪物を生み出す特性があり、怪物は人間を襲う。
被害の大部分は多くの人間が集まる大陸の中心カルディナ城近辺に集中しており、国王も国民も困り果てている。
黒い霧から生まれた怪物ならまだ良い、物理的な行動で対処可能。
しかし霧のまま空中に漂うものは兵士では対処不可能。
大気が汚染されて作物が枯れ果てて、そういった被害はどうしようもできない。

「だからって何で魔法使いに頼むんだろうね。」

しかも私みたいな底辺の、とトローチは付け加えた。学校の入り口近くのベンチに座っている彼女の両手にはカルディナ城から届いた黒い霧の詳細と現在の城の状況について事細かに書かれている資料がある。正直14歳には難しすぎる文章である。恐らく調査した人物も書いた人物も学生が読むことを想定していなかったのだろう。理解ができたのはほんの一部、ソルダム先生がわかりやすく解してくれた部分だけだ。本人もまさかこの年で大人が書いた論文のようなものを読むとは思わなかった。
読み始めた初めの時は物珍しさもあったが、慣れてくるとただただ退屈である。もはや迎えの兵士を待つ時間つぶしにもならなくなってきた。心なしか瞼が重い。

「それもそうだよね。魔法使いのこと気に食わないのか、頼ってるのか、どっちかにしろっての。」

隣に座っているレオナは足をブラブラさせながら、トローチが見ている資料を覗き込む。途端苦虫を噛み潰したような表情をし横に首を振る。

「絶対私たちの事気に食わないんだよこれ。頭痛くなってきた。嫌がらせだ。」

今日は黒い霧の調査のためカルディナ城に向かう日だ。予定ではあと数十分かそこらで迎えのものが来るらしい。
もう送られてきた資料は何度も見直した。ほとんど難しすぎて二人には理解できなかったが。

「すぐに調査終わればいいけどなぁ。」
「だよねー。どう考えたって危険だよ、この調査。っていうか調査って何を調査するのよ。」

お城の兵士が頑張っても解決しないことを齢14の少女にやらせるのは如何なものかと思う。
お城の人は魔法使いを便利屋か何かと認識しているのでは…とトローチは思った。
そりゃあ魔法は便利だけど、とため息をつく。

「あ、先生だ。そろそろ迎えが来るのかな?」

レオナの言葉につられて資料から顔を上げると魔法都市の方からソルダムが歩いてきたのが見えた。フィラディナ魔法学校までの道案内をするという事で彼は魔法都市の入り口で兵士が来るのを待つと言い早朝出かけて行った。
トローチは資料を鞄にしまいこみ、表情を引き締めて立ち上がった。
迎えに来るのはカルディナ王国の兵士、気圧されないようにしなくてはと拳を強く握った。しかし視線を向けた先に迎えの者らしき人物は見当たらない。
横に立つレオナも怪訝な顔をする。

「せ、先生…?」

トローチは不安からか怯えた表情を見せる。
ソルダムはそんな彼女を見て大きなため息をつきながら申し訳なさそうに口を開いた。

「問題が起きた。城までは徒歩で行ってもらうことになった。はい、地図買ってきたから。出世払いな。」
「はい。って、えぇ!?」

地図とソルダムを交互に見て、トローチは驚愕した。
自分はフィラディナ魔法都市から外に出たことはない。
もちろん地図を見ながら歩いたこともない。どう行けというのだろう。
驚きのあまり言葉も出ない。

「あのー問題って…迎えに来る予定の兵士に何かあったんですか?」

レオナは首を傾げながら問いかける。

「んー、ちょっと城からこっちに移動中に何かあったらしくてな。こちらに来るのは諦めて途中で帰ったようだ。」

ソルダムは苦笑交じりでそう話す。どうやら定刻通りに兵士が来なかったため、魔法を使って兵士の居所を探った。魔法の鳥の目を借りて偵察したところ引き返していく兵士の姿を確認したという。
それを聞いてレオナの顔色がみるみるうちに怒りで赤色に染まっていった。
当のトローチはそれは困りましたねと少々他人事なのも彼女の感情の高ぶりに拍車をかけた。

「なっ、なっさけなぁーーー!!何それ?それでも兵士なの?トローチも何か言いな!当事者しっかり!」
「え、あ、ごめんね。」

兵士に対して恐れを抱いていた自分が恥ずかしいとでも言いたげにレオナは嫌悪感を示す。
しかしレオナはその表情を直ぐ変えた。少しひっかかるところがあったのだ。

「わざわざ途中で引き返すってどういうことですか。」
「姿は確認できなかったが困った怪物にでも遭遇したんだろう。装いもボロボロだったし走っていたしな。」
「え…。怪物って…。」
「黒い霧から生まれた怪物だ。」

「もしそうだとしたら。城までの道の近くにまだいるかもしれないって事じゃん。」

レオナは顔を引きつらせながらソルダムに詰め寄った。怪物という存在がどの程度の相手かは想像もつかないが、兵士が逃げ出すほどのものなら遭遇したらただでは済まないだろう。

「まぁまぁ、怪物だって動くさ。よほど運が悪くない限り会わないだろう。」
「そういう時に限って会うものなんですって!トローチ明日にしよう!明日なら大丈夫だよ。」

ね?とレオナはトローチに詰め寄った。絶対に出会わないという保証はないが少なくとも今出発するより遭遇する確率は少なくなるはずだ。
トローチは「んー。」と考えながらもソルダムから受け取った地図を眺める。

「レオナ大丈夫だよ。まっすぐ歩けば着くみたいだから迷子にはならないよ。」
「迷子の心配してるわけじゃないんだけど、その発言で迷子も心配になってきた。」

彼女がまっすぐと言っているのは地図上では魔法都市から北であるというだけで、そのまま歩けばいいという訳ではない。
レオナ自身も魔法都市から出たことはないので偉そうなことは言えないが、トローチ一人で城まで辿り着けるとは到底思えない。
しかし自分が代わりに行くことは出来ないし、正直怪物が出るかもしれない場所に行きたくはなかった。自己保身に嫌気がする。

「本当に平気?怪物いるかもしれないんだよ。」

行かせる前提の当たり障りのない事しか言えない自分にも嫌気がした。

「うん、黒い霧の調査をするならいずれ怪物にはなんらかの形で会うことになると思うし。それにここで行かないと多分私行けなくなっちゃうから。行ってくる。」

そんなレオナの気持ちを知ってか知らずか、トローチは魔法都市のほうを真っ直ぐと見つめて言葉を返す。声色が少し震えた。
魔法都市の外はどんな世界が広がっているのだろう。
まだなにも知らない少女は一歩を踏み出した。一歩、また一歩と歩を進める。少しずつ早歩きになる。

「トローチ!気をつけてね!!なるべく早く適当に終わらせちゃってね!!」
「無理すんなよ。行かせておいて言うのも何だがやばいと思ったら帰ってこい。まぁでも体裁があるから最低でも国王には会ってくれ。」

背中からかけられるあまりにも無責任なソルダムの発言に思わず笑みを浮かべながらトローチはカルディナ城へ向けてまっすぐ歩き出した。
魔法都市の見慣れた街路を歩く。少しずつ結界の境に近づくにつれて緊張で掌が汗ばんできた。
結界の外には黒い霧から生まれた怪物がいる。どの程度の脅威なのか、どの程度分布しているのかわからないことだらけだ。
それでも大きな不安と共に小さな好奇心が彼女を前に進ませる。使命感なんてものはない、彼女はただただひたすらに流されやすかった。

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ようやく旅に出ました。
まぁ早く終わるわけがないんですけどね。一応長編だし。
祝5話(勝手に)ということでそろそろ前の話をちょいちょい直していこうと思います。
多分矛盾点とか説明不足とか背景不足とかもう色々あると思うので現在の力で出来るところはよりよくしていきたいと思います。
ちなみにトローチが黒い霧の調査員に選ばれたのは「主人公だから」「魔法都市を治めているソルダム先生の生徒だから」という事以外にも一応理由があります。それは次の冒頭に触れていきたいと思います。

フィラディナストーリー第4話

2021-03-14 20:55:15 | フィラディナストーリー:物語
『始まりの宣告』


「悪かったよ。」

ぽつりと彼は言った。その言葉はしんと静まり返った空間に反響してすぐに消えた。

「なんで私達をつけてきたんですか、ソルダム先生。」

厳しい口調と表情でレオナは目の前にいる男性をにらみつける。
隣にいるトローチは双方に交互に視線を送り、困惑しながらもやり取りを傍観している。
誰もいない廊下で交わされる緊張感を漂わせるやり取り。


事の始まりはこうだ。

レオナの昇級試験が終わり、二人は待ち合わせ場所としていた食堂で合流した。
それから町で夕飯を食べる為に正門を目指す。

最初の異変に気がついたのはレオナであった。

「ん?…いないか。」
「どうしたの?レオナ。」

後ろを振り返ったレオナの真似をしてトローチも振り向く。
が、誰もいない。レオナは誰もいない空間を見つめたまま口を開いた。

「気のせいかな、誰かが私達を見ていたような。」
「えっ、気のせいだよ。そんな見られるようなことしてないもの。」

少し論点のずれたトローチの返しに苦笑いをした。
そうじゃないと言いかける言葉を飲み込み、レオナはすぐに真剣な表情になる。

「ね、試しにちょっとあの角を曲がったら、そこで待ってみよう。急いでこっちに来る人がいたら初級術をぶちかます。いい?」
「う、うん。わかった。」

その作戦を決行した後、早足でこちらに向かってきたのはソルダム先生であった。
さすがにぶちかます訳にもいかず、冒頭に至る。

「いやはや、レオナは勘が鋭いな。話しかけるタイミングを逃してしまってね、追う様な形になってしまってすまないな。」

そう言ってソルダムは笑う。
レオナは訝しげな表情のままソルダムを見つめていた。思わず疑問が口をついて出る。

「先生なぜ?私達が何か?」
「んー、実は話したいことがあってな。」

話したいこと?とレオナは切り返す。
それこそ身に覚えがないように思えたし、その返答は何の答えにもなっていないように感じられた。

「そう、トローチ。お前に頼みたいことがあるんだ。」
「わっ私…ですか?」

今までぼんやりとレオナと先生のやり取りを見ていたトローチはハッと驚いた様子でソルダムを見る。
話したいことというのは、きっとレオナに対してで自分は関係ないだろうと考えていたので話半分で聞いていた。慌てて姿勢を正す。
レオナも驚きながらも話を聞く姿勢を崩さずにいた。

「私に頼みたいことって何ですか?…いつもの授業の手伝いですか?」
「…ここじゃ何だからな、良かったら食堂で話さないか。もちろんレオナも。」

レオナは無言で頷き、トローチも神妙な面持ちでソルダムの後に続いた。
食堂の明るい雰囲気、試験終了の独特の開放感とは裏腹に二人は緊張しきっていた。
空いているテーブルを探してそれぞれ席に着く。

「まぁ、そんな硬くならないでくれ。と言いたいところだがこれは少し硬くなる必要がある頼み事だな。」
「じゃあやっぱり授業の手伝いとかじゃないんですね。」

トローチとレオナは更に暗い顔になる。先生達の目につくような悪いことはしてこなかったつもりだ。何かの罰なのではないかと心配になる。
ソルダムは困ったように二人を見やって、話すタイミングを探していた。
そして口を開く。

「単刀直入に言わせてもらう。トローチお前にはこの大陸の中心にあるカルディナ城へ向かってもらいたい。」
「えぇっ!?」
「はぁっ!?」

二人はそろって、それぞれの驚いた声をあげて同時になんで!?と目の前の人物に問いかけた。
前のめりになる二人にソルダムはまぁまぁと手をかざす。

「いや、二人が驚く気持ちもわかる。だけどこれは…。」
「ど、どうして私が城に!?えっ、何しに行くんですか…?学校は、授業はどうしたらいいんですか!」
「そうだよ!ていうかなんでトローチなの?城にどんな用かは知らないけど代わりに私が…いや、むしろソルダム先生が行けばいいんじゃない!?」

二人は畳み掛けるように詰め寄った。内容が内容だけに思わず早口になるし声も大きくなってしまう。
ソルダムはそんな二人にもう一度まぁまぁと手をかざした。相当困っている。咳払いをして再度話し始める。

「よく聞いてくれ。質問は最後に受け付けるからな。…少し前からカルディナ城の周囲に奇妙な黒い気体が確認されるようになったのは多分授業で聞いただろうと思う。この黒い気体、城の連中最初は何かの自然現象かと思ったらしいんだが、減る気配も見せずにどんどん量を増している。しかもその気体は無害ならいいんだが、人体に有害な物質でできているらしい。そしてその気体は人間に害を与える異形の生物を生み出しているようなんだ。このフィラディナ魔法学校は結界で守られているから特に影響はない。しかしカルディナ城はそうはいかない。」

ソルダムは一呼吸置いた。

「黒い気体出現から少し時間が経った後俺の元に手紙が届いた。王からの手紙で、そこには『黒い気体の調査のために【優秀】な魔法使いを一人、恥を忍んで派遣を頼む。』と書かれていた。だからトローチをカルディナ城に行かせる。はい、質問どうぞ。」

その瞬間二人して一斉に手を挙げた。
ソルダムはまずトローチに視線を向け、発言を促した。

「お城の人達は気体について何もしてないんですか?」
「何かはしているが、物理的な対処はほとんど無効らしい。異形の生物位はまだ兵士たちの力で何とかなっているらしいが、防戦一方だ。次はい、レオナ。」
「なんでトローチなの?先生はダメなんですか?」
「俺が行けるもんなら行ってやりたいさ。だが俺を含めた教師陣は魔法都市から出ることは出来ない。寿命が尽きてしまうからな。」
「あっ、そっか…。」

そうなのだ。実はここの先生方は天寿を全うしていてもおかしくない年齢なのである。
ここに張られている結界が先生達の命を保たせているのだ。
設立当初から先生達は新しく魔法使いになる学生に魔法を教える為に永い時を生きてきた。
先生達に言わせると自分の代わりになるような魔法使いが現れるのを待っているそうだ。
後々に魔法使いになる学生の為の生きる教科書である、と先生達は自らの事をそう表していたのをレオナは思い出し、ばつの悪そうな顔をした。

「すみません。考えなしに…。」
「いや、俺のほうこそすまん。お前らは小さい頃からずっと一緒だったもんな。心配するのも無理はない。」
「あ、あの…どうして一人だけなんですか。」

トローチは恐る恐るサダムに声をかけた。
一人より二人、二人より三人のほうが危険性は少ないはずである。
二人ならレオナと行きたい、そんな気持ちが先行してしまったのか、思わず二人の間に割って入って聞いてしまった。
しかしソルダムから返ってきたのは彼女の望むような返答ではなかった。

「あの王国は…魔法使いを嫌っているというか、信用していないんだ。変な力を使う危険な奴とでも考えているんだろう。どうしようもない時に協力は仰がなければならないが、あの恐ろしい魔法使いに協力を仰いだという外聞が欲しいんだろう。魔法使いは少なければ少ないほどいい、という考え方なのかもな。」

そうですか、とトローチは肩を落とす。そんな魔法使いを嫌っている場所にわざわざ行かなければならない事への不満が爆発しそうだ。
しかも行くだけではなく黒い気体の調査もしなければならないのだ。異形の生物を生み出す有害な謎の気体。初級術しか使えない魔法使いにどうしろというのだろう。
まさかこんなことになるなんて思いもしなかった。いや、嫌な予感はしていたのだ。
でもこれほどまでに大きな出来事は朝早く起きたくらいでは覆すことなどできないだろう。

「悪いなトローチ。急だが5日後出発してもらう。カルディナからの使者が迎えに来るそうだ。」
「は、い…。」

どうかこれが夢であるように。トローチは表では了解の返事をしたが、内心はそうではなかった。それを伝えたくて思わず顔をわかりやすく歪ませる。
なぜ自分なのだろう。もしも偶然だと言うのなら一体いつからこの運命の方へ手繰り寄せられていたのだろう。
神様の宣告はいつだって平等で無慈悲で

「(急すぎるよ…。)」

トローチは天井を仰ぎ見た。5日後は見上げればそこには青空が広がっている事だろう。
与えられた青空を見て自分は何を思うのだろう。

「(お城ってどんな所なんだろう。どんな人がいるんだろう。私はそこで何を言われるんだろう。)」

特に一番後者が不安でたまらない。ぼんやりと天井をみるトローチにレオナは声をかけた。

「ご飯食べに行こう?それからさ、いっぱい話そ?」
「うん。」
「出る日、さ。町の入り口まで着いてくから。」
「うん。」
「それで…えっとぉ。」
「レオナありがとう。私は大丈夫。」

不安でたまらない。だけど今だけはいつもの私でいよう。私だけでもいつも通りであろう。
申し訳なさそうな顔をしたソルダムと心配そうなレオナを交互に見る。

「私、頑張ります。」

それが今の精一杯の言葉だった。

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急なのは展開です(笑)
これで話がだいぶ進んだかな…
でもまだしばらく彼女一人の旅が続きます。
まずは城に着かないと会えませんからね、ヤツに

フィラディナストーリー第3話

2020-12-29 13:36:42 | フィラディナストーリー:物語
『いつもと違う夕方』

 「あ~試験終わった~!!色々な意味で!!」

自分の机に突っ伏しながらレオナは大声を出した。ついでに伸びもする。試験が終わった時にしてしまうお馴染みの行動。
やっと試験から開放された嬉しさもあるが、これから自分の答案が採点されるであろう事を考えると不安で胸がいっぱいだ。
こんな時は友人と話すに限る、友人のトローチの席は自分の席からはそう離れていないしきっと彼女も話したいことが山ほどあるだろう。
テストに限らず何か大きな出来事が始まる時と終わる時人間は饒舌になりがちである。現に今教室はかなり騒がしい。学生全員思い思いの人に思い思いの事を話している。比較的おとなしい部類に入るであろうトローチもきっとああだったとか、こうだったとか色々言いたいに違いない。朝は自分がたくさん愚痴ってしまったから、そのお返しではないけども今度は彼女の話を聞いてあげよう、とレオナは決意して席を立った。
早足で友人の元へ急ぐ。

 「トローチお疲れ~。いやはや今回も難しかったねぇ。」
 「レオナもお疲れ様。この後別室で昇級試験だよね、頑張ってね。」

レオナはトローチの元へ辿り着き開口一番に労った。なんだか彼女がいつもより元気がないようにも見えて、思わず咄嗟に労いの言葉をかけてしまった。もしかすると冗談抜きでテストができなかったのかもしれない。その悲しいような悔しいような腹立たしいような感じをよく経験しているレオナは次になんて言おうか言葉に詰まる。これは向こうから何かあったのか言ってもらうしかない。

 「んと…トローチどうかした?」
 「えっ。」

さりげなく聞いたつもりが相手は目を見開き、驚いた様子でこちらを見上げた。逆にこちらも驚いた。
もしかすると余計なお世話だったかもしれないと思い至る。

 「いや、いつもより元気ないかな~って。気のせいだったらごめんね。」

あはは、と乾いた笑いを返しながらレオナは謝罪する。こちらの誤解で友情が崩れるのはなによりも嫌であったし誤解でないなら尚のこと原因が知りたい、たとえお節介でも。そんな想いを知ってか知らずかトローチは苦々しく笑った。

 「レオナはすごいなぁ。なんでわかっちゃうんだろ。」
 「トローチ結構顔に出るからね。隠してるつもりかもしれないけど。」

本当に悩みがあったんだ、とレオナは純粋に驚いた。顔に出るの件は全くの嘘っぱちである。レオナは元々人の感情とかそういった内面的なものに鈍感である。自覚もしている。
だからこそ本当に驚いたし、悪い気もした。しかし嬉しいことに人の内面を当ててしまった何ともいえない罪悪感は一瞬で消えてくれた。なんでレオナの方が驚いているの、とトローチは笑う。そして口を開いた。

 「なんかね、朝から嫌な予感がするの。いつもの時間に起きられなかったし、眼鏡なかなか見つからなかったし、それに…食堂にいた先生と兵士が気になって。」
 「前半はちょっと笑えるけど後半は同意するかも。」

というか前半はなんなの、とレオナは付け加えた。誰だって上手く事が運ばない日はあるっつーの、とため息を吐く。トローチは変なところで完璧主義者であり、心配性である。それも重症な。
周りの人間にはちょっと変な子と思われがちだけども、トローチにとってはこれが正常運転なのだ。1年近く友人として過ごすうちに慣れてきた。
だからむしろいつもと違うことが起きたり、上手いように事が運ばないことについて真剣に悩む事だって彼女にとっては普通の事なのである。

 「まぁ、私もよくあるよ。いつも起きられてた時間に起きられないとか、カチューシャ見つからないとか。でも王国の兵士は確かに気になるよね、先生もなんだか妙な雰囲気だったし。」
 「やっぱり先生ちょっと変だったよね。」

どことなく安心した様子でトローチは言葉を返した。自分の不確かなもやもやを共感してくれての安堵かもしれない。

 「でもさトローチ、考えたって仕方ないじゃない?何か重大なことがあるなら先生が皆に発表するだろうし、実際何かあってもうちにはたくさんの優秀な先生達がいるんだよ?兵士が一人来たくらい朝飯前よ。」
 「そっか。また私の考えすぎかぁ。ダメだね、ついつい何でもかんでも悪いほうへ悪いほうへ考えがいっちゃう。」

トローチはしゃべって満足したのか机の横にあるかばんを手に取った。その様子を見てレオナも慌てて自分の席に戻ってかばんを手に取る。静かとは思ったが気づけば教室には誰もいなかった。
他の学生は自分の部屋か気晴らしに町に行ったのだろう。

 「トローチ試験で疲れたでしょ。部屋に戻ってゆっくりしてたらどう?まだ夕食まで時間もあるし。」
 「ううん、それよりレオナ次昇級試験でしょ。教室まで一緒に行こうよ。」

ね、とトローチは穏やかな笑顔を向けた。自分もこのように穏やかな笑顔が出せるように、嫌な試験をさっさと終わらせようとレオナはこっそり決意した。
試験が終わったらトローチと食堂で夕飯を食べよう。今日は頑張った日だからごほうびとして町へ食べに行くのもいいかもしれない。
ああ、でも

「(終わったら町でご飯食べるのはいつも通りじゃあないか。)」

トローチが嫌がるかもしれないな、と経験から思う。
彼女に合わせすぎるつもりはないが、付き合いが長くなると嫌がることもわかってくるし、それを無意識に避けようとしてしまう。
そういう友達づきあいはしたくはないから、彼女はもう一度

「試験終わったら町にご飯食べに行かない?」
笑顔で友人にそう告げるのだった。

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第3話更新しました。トローチの友人レオナメインの話みたいになりましたね。
本編にそこまで関わってくる子ではない予定ですが番外編に出してあげたいなと思っています。


実は用語集作ろうかと思っています。
作る目的はオリジナルストーリー内の専門用語を自分の中で整理することです(笑)
少しでもしっちゃかめっちゃかな話にまとまりができたらいいな、という希望で。
もちろん公開するので時間つぶしに見ていただけたら嬉しいです。

フィラディナストーリー第2話

2020-12-13 17:45:32 | フィラディナストーリー:物語
『試験の昼』

ここフィラディナ魔法学校はその名のとおり魔法を教える学校であり、学校の周囲には卒業した魔法使いたちが各々生活している町が広がっている。
その歴史は古く王国建立とほぼ同時に開校された。そしてこのカルディナ大陸の唯一の魔法学校である。
学校と町の周囲は常に魔法使いたちによる結界が張られており、妙な生き物もセールスとかも跳ね返して安全を保っている。
外から悪いものが入ってこないように、内から都合の悪いものが出て行かないように。
普段は魔法による破壊音等で学校内はどこもかしこも騒がしいのだが、今日はそういった音が全くしない。
今日は学生が恐れるテストの日であるから。

 「うあぁ~ほんっと憂鬱だわ~。」

フィラディナ魔法学校の一角にある食堂で、学生ならではの気持ちを吐露したのはトローチの友人であるレオナ。
眉をしかめ、口を曲げてといったテストに対するあからさまな嫌悪が表情から見て取れる。
目の前にある朝食のサンドイッチに対してもかなりの悪意をこめて咀嚼していた。

 「来ちゃうもんは仕方がないよ。」

レオナの目の前の席に座っているトローチは苦笑しながらサンドイッチに手を伸ばす。
テスト前の恒例の会話パターンである。レオナが愚痴り、トローチがなだめる。
何も生み出さない贅沢な時間の使い方。レオナの愚痴は更に続く。

 「私、絶対落ちるし。」
 「大丈夫だよ。レオナいつもよりすっごい勉強してたの私知ってる。」
 「トローチ秀才だからマジでうらやましい…。」
 「赤点を取らないことが秀才なら、私は秀才に入るだろうけど。」

そう言葉を交わしながらトローチは鼻先にずり落ちてきた眼鏡を元の位置に戻す。トローチのチャームポイントでもある眼鏡というものはいわゆる「真面目」という概念を相手に植え付けやすいが彼女は世間一般で言う「秀才」ではない。むしろ階級では下の方に入る。
魔法学校では特に年齢制限を設けてはいない為、魔法の才能がある老若男女が魔法を学びに来ている。入学したての者はまず下級科、下級術を3属性以上習得した者は中級科、中級術を2属性以上習得した者は上級科への昇級試験を受ける資格を得る。トローチは長い事下級科に在籍しており本日は下級科の定期的に実施される筆記及び実技試験、レオナはそれに併せて本日中級科への昇級試験を受ける。実力が認められたものの証だ。
トローチには何となくだがもうわかっていた。自分には魔法の才能があまりないことを。

 「レオナ、私もだめかもしれないなって不安だよ。」
 「とか言いつついつも赤点回避しているのを私は知っているぞ。」

間髪いれずに言い返されたトローチは思わず目を逸らした。
レオナが羨ましい、昇級試験落ちてしまえばいいのに。ざわり、と胸の内に羨む黒い感情が広がる。
自分はたとえ赤点を回避したとしても、このままでは留年か下級科のまま卒業だ。
勉強は好きだ、魔法を使うことも好きだ。好きなだけではダメなのだ。
考えれば考えるほど暗い気持ちになっていく。下級科卒業では魔法に溢れる町でどのような仕事があるのだろう。それとも魔法学科に転籍して魔法の知識を深めて学者になるしか道はないのだろうか。
それともここで学んだことは忘れて新たに道を探さなければならないのだろうか。
今まで自分にかかったお金の恩だって幼い頃からお世話になっている魔法学校に返していかなければならない。
トローチはほの暗くなってくる気持ちから意識を逸らし、周囲を見回した。そういえば今日は食堂にあまり学生がいない。多分テストの為に朝食を抜いている学生が多いんだろうなと思った。
すると食堂の端で見知った顔を見つけた。そして見知らぬ顔も見つけた。

 「ねぇレオナ。あれってソルダム先生だよね。」
 「でしょうね。ってなんで兵士と一緒にいるんだ!?」

トローチの問いかけにレオナは直ぐに反応した。視線を左にずらす。
そこにいたのは見知った二人の担任の先生と見知らぬ男性。男性は武骨な鎧を着ている。恐らく兵士だ。そして兵士で思い浮かぶのはカルディナ王国。
兵士という職業が存在しているのもカルディナ王国のみである。そもそも人が住んでいるのはカルディナ城とフィラディナ魔法学校のみと習った事から、二人はあの兵士はカルディナ城から来たであろう事を推測した。
思わず二人は朝食をとる手を止めて身構えた。授業で何度も何度も王国と魔法学校は仲が悪いと言い聞かされてきたからだ。
理由はまだ習っていない。当たり前の知識として学び、考え方としてここの学生たちにはすでに浸透している。

 「ここにあのカルディナの兵士が来るなんて何かあったのかね。」

レオナはそう言いながら時計を見てため息をひとつ吐いた。
先生と王国の兵士の事も気になるが、そろそろテストの時間である。


 「んー、ソルダム先生に用事でもあるのかな。」
 「あ~やだやだ朝から嫌なもん見た。早く行こうトローチ。あっちも気になるけどテストに遅刻とか笑えないから。」

トローチも急いで氷が溶けかけた水を飲み干し席を立ち上がった。それは確かに笑えない。そしてもう一度先生と兵士のほうを見た。
兵士はこちらに背を向けていてどのような表情をしているのかはわからない。
しかし、先生は兵士に対して困惑しているような悲しんでいるような、何とも捕らえがたい表情をしていた。
とてもじゃないが愉快な話題とは考えられない。そもそもここに兵士がいること自体がこの学校にとって非日常的な事なのである。

 『いつだって王国が持ち込むものは愉快とは言えない代物だ』

そうソルダム先生が言っていたことをトローチは思い出した。
その時の先生はどこか遠くを見ているようであったことを覚えている。
昔王国に何かしたのかそれとも何かされたのか、どちらにしても良い感情を持っているようには思えなかった。
魔法学校の生徒は少なからず王国に対して恐怖とか、嫌悪等の感情を抱いている。でもそれは授業で刷り込まれたからであって、真実はよくわからないというのが実情である。

 「今日は、いつも通りじゃない。」

誰に伝えるわけでもなくトローチは困惑気味に呟いた。
トローチは平和が好きだった。流れに逆らわない行動をとる事に病的な義務感があった。
トローチは変わらない毎日が好きだった。そしてその逆を何よりも恐れていた。
今考えてみれば朝から何かおかしかったような気がする。でもその考えをしてしまう事がすでに何かおかしいような気がする。

 「トローチ大丈夫?」

レオナは心配そうにトローチの顔を覗き込んだ。大丈夫、とトローチは返した。それ以外の返し方が思いつかなかった。もう一度先生と兵士がいた方を振り向いてみたが、もうそこには誰もいなかった。
行こっか、とレオナは移動を促した。


気がついたらトローチはいつもの自分の席に座っていた。どうやらぼーっとしている間に教室について席に座っていたようだ。レオナもすでに着席している。特に変な様子はない。こちらに気づいて手を振ってきた。振り返した。
トローチはぼーっとしている間にレオナに変なこと言ってたらどうしようかとも考えたが、彼女の普段と変わらない様子を見て安心した。
前を見るとソルダム先生が緊張した面持ちで生徒達を見据えていた。テスト前の緊張とも違う、でもどこかで感じたような緊張の表情。王国の話をしていたときと同じ顔してる、とトローチは思う。
先生と目が合いそうになり慌てて目を下にそらした。その視界に白い紙が入る。前から配られてきた問題用紙を取り、後ろに回した。
そして紙の音がしなくなった頃。

 「それでは筆記試験を開始します。」

いつもの先生とは少し違う声質で、いつものテストは始まった。

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第2話更新です。
伝わる文章を書きたい…。わかりにくいところばかりで本当にすみません。
今後精進したらこっそり直しに来ます。
主人公はこのとおり、ちょっと面倒くさい子ではありますが成長してくれたらいいなと思います。
私の文才も負けずに向上してほしいものです。こちらの方が重要な問題です。

フィラディナストーリー第1話

2020-11-15 20:25:26 | フィラディナストーリー:物語
『いつもの朝』

いつもと変わらない朝だった。
少女は静かに眠っていた。
その眠っている顔を照らす様に窓から光が射し込む。
それは徐々に広がっていき少女が眠る部屋も照らした。
かすかながら鳥のさえずりも聞こえてくる。
世間一般的に朝と呼ばれる時間帯。

 「うーん…。」

起きようとしているのか、照らす光に不快感を示しているのか区別が付きがたい言葉を少女は発した。
光から逃げるように少し寝返りをうつも、あまり意味はない。少女の自室は午前中の日当たりは抜群だ。
眉間に皺をよせて不快感を露わにしつつも目は開かない、開けない。開けたくない。
それでも今日も起きなければならない。明日も、明後日も。
少女は学生なのだ。

 「寝たいよー…。」

その後も、うーとかあーとか意味がないことを呟きながら少女はのっそりと起き上がった。
目を薄っすらと開き周りを見渡す。少女は視力が良くはない、視界はぼやけている。よって特に意味はない。
狭くもなく広くもない自分の住まいを半目でなぞる。いつもと変わらない我が部屋。当たり前ではあるが。
ふと時計に目をやると起きる時間が普段より少し遅かった。少女は口を尖らせ、時計を睨み付ける。
睨み付けても何も変わらない。それでも少女の性質から不満の出てしまうことは仕方のない事だった。
少女は時計から目を逸らし、緩慢な動作でいつものようにベッドの隣にある小さな棚の上に手を伸ばした。
しかしその手は空振りをした。

 「あれ?」

いつものようにここに置いてあるものがない。思わず声をあげる。
今日はなんだか上手く事が運ばないなぁと少女は思いつつ、名残惜しそうにベッドから離れてそれを探し始めた。
部屋の中を歩きながら昨夜の事を思い出す。

 「昨日の夜は…授業が終わってから食堂でレオナと夕飯食べて、それで一緒に寮に戻ってきて、自分の部屋入って…。」

ぶつぶつと独り言をつぶやきながら記憶を探る。食堂の時は確か友人であるレオナとそれの話になったのだ。
だからあの時はあった。だとすると。

 「やっぱり部屋のどこかにある!」

うん!と少女は満足げな顔をするが何も進展していない。
ただでさえ今日はいつもより遅い起床だったのだ。時間は刻々と過ぎてゆく。

 「わっ、時間が…!!」

探す過程で時計をチラリと見ると、想像以上に時間が経っていた。思わず顔が引きつる。
いつもは時間に余裕を持って事を進める少女にとってはかなりの失態である。
紫の長い髪を揺らしながら少女はふと何かを思い出した。

 「そういえば昨日机に向かって勉強してたような。」

なんでだろうとまでは時間がもったいないので考えないことにして、徐々に覚醒しつつある脳と自分の記憶を頼りに机まで急ぎ足で向かった。もしかすると机に何らかの手がかりがあるかもしれない。

 「あったぁ!!」

ぱぁっと誰に見せるわけでもなく少女は満面の笑みを浮かべて、愛用の眼鏡を手に取り装着した。
勉強し終えた後にそのまま机の上に置いてしまったのだろう。眼鏡には少し埃が付着していた。
その後自分がまだパジャマ姿だったのを思い出し、慌てて眼鏡を一旦はずして制服に着替えた。
ふと疑問が浮かび動作を止める。

 「…何で私勉強なんかしていたんだっけ?」

眼鏡を見つけて落ち着いてきたのか、冷静に考えてみる。そして、ふとカレンダーの本日の予定に目を移した。

-テスト-

その単語を目にした途端、その単語が持つ特有の緊張感が張り詰めた。
そういえば今日はテストであった。少し前から勉強もしていたはずである。

 「今日の為に勉強していたのに、朝忘れる?ふつー…。」

これはもう結果が見えているんじゃなかろうかとため息を吐いた。
少女はその後鏡に向かい身だしなみを整えた。ちゃんと眼鏡もしている。
学校指定の制服に身を包み、仕上げとばかりに帽子を被った。
部屋を出る準備も終わった。本日初めて息をするかのように深呼吸をした。

 「さっきは色んな事が重なっちゃったけど、今日もつつがなく過ごせますように。」

いつものように鏡に向かって、今日の決意のような願い事のような事を言う。
周囲から見たら滑稽に映るだろうが少女は真剣そのものだ。
なぜだか今日はこの後色々なことが普段通りにならないような気がする。
そうしたらきっとまた慌ててしまって、落ち着かない朝が落ち着かない1日に広がってしまうだろう。

少女は変わらない毎日を愛していた。
その為ならなんだってするとも心の中では思っていた
しかし何をしようとしなくても、気が付かないうちに日々は変わっている事には考えが至っていなかった。

 「トローチ、迎えに来たよー。」
 「あっ、レオナ?ちょっと待ってね!」

いつものようにドア越しに声がした。少女はドアの方へ向き返事をする。
いつの間にか友人でもあるレオナが迎えに来る時間になっていたようだ。
鏡の前から離れて、鞄を取りドアへと向かう。

 「(明日は早く起きないとなぁ。)」

この変な感じはきっと朝がいつも通りでなかったからに違いない。
今日はなんだか自分の行動のひとつひとつがむず痒く感じるのだ。
深く考えすぎなんだ、とトローチと呼ばれた少女は無理やり笑みを作った。
これから友人に会うのだし、先程まで忘れていたが今日はテストなのである。

 「レオナおはよ。」

トローチはドアを開けて部屋の前に立っていたレオナに笑顔を向けた。

 「ん、おはよ。」

レオナはそんな考えを知ってか知らずかいつものようにあいさつを返した。
そう、今までも彼女の一日はこうやって始まってきた。
 
「(そしてきっとこれからも。)」

トローチはそう願い、レオナと雑談しながら朝食を食べに食堂へ向かった。
しかしその願いもいつもは考えもしない願いであることをまだトローチは自覚していなかった。

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祝第1話!
新しく書き直したというよりも、元の物を修正した形になります。
しばらくはこのやり方が続くと思います。
ちなみに私は本を読むことは好きですが、文章を書く力には全く自信はありません。
恥ずかしながら日本語が正しく使われていない箇所もあるかと思います…精進精進。

ここまで読んでくださってありがとうございました。第2話はテストのお話です。
まだ冒険には出ません。