『東方』シリーズ公式ゲーム作品におけるストーリーと真相をざっくり紹介と解説でも書いていこうかと思います。当然ながらネタバレあります。
本編STGのシリーズ(小数点作品含む)オンリーです。
黄昏作品の弾幕アクションシリーズまで書くと物量がとんでもないことになるのでそちらは分けて別に書きたいと思います。
その前に『東方project』全体における、世界観などの前提知識の説明
・舞台は「幻想郷」と呼ばれる忘れられたモノが集まる、我々の世界から結界により隔絶された世界
・妖怪、幽霊、神など我々の世界で忘れられた存在が日常として存在する
・人間と妖怪は敵対関係にある。敵対関係でなければいけない
・人間と妖怪の双方にメリットがある、美しさを競う弾幕を使った「スペルカードルール」という決闘方法がある
・妖怪などは幻想郷全体規模の「異変」を時々起こし、巫女が解決しに行くのがお約束となっている
補足:幻想郷のほかにも地獄や天界、魔界などといった別の世界が舞台になることもある。いずれも幻想郷とだいたいルールを共有している
設定や遊べる機種が異なる「旧作」については詳しくないので割愛
()内の年数は頒布された年です
「Ex真相」は本編後の話である「Extra」ステージのストーリーです
古い作品はプレイしてから時間が経っているため誤記もあるかもしれませんがご了承ください。
ちなみに特筆がない場合、霊夢のストーリーを基本としています。
◇東方紅魔郷 ~ the Embodiment of Scarlet Devil. (2002年)
・ストーリー
ある夏の日、幻想郷の広範囲に「紅い霧」が発生。日光をも遮る紅い霧は人里にまで及び、妖気を帯びた霧で体調を崩す者まで現れ、外出できなくなってしまった。
巫女は持ち前の勘で、霧の湖の畔にある洋館「紅魔館」を目指す。
・真相
異変の黒幕は紅魔館の主、西洋の妖怪である吸血鬼「レミリア・スカーレット」。
異変を起こした理由は「吸血鬼の弱点である日光を克服し、昼間でも自由に出歩いて騒ぎたかったから」。
この異変は後に「紅霧異変」と呼ばれることとなる。
・Ex真相
日光と同じく吸血鬼は「流れる水」が苦手である。
紅霧異変からしばらく経った夕立が珍しくなったある日、博麗神社を訪れていたレミリアは雨により館に帰れなくなっていた。
レミリアに館の様子を見てきてほしいと頼まれた巫女は、とある者を外に出さないために故意に雨を降らせていた紅魔館の大図書館の主「パチュリー・ノーレッジ」と再び相まみえ、
危険な能力を持ち少し気が触れている故に、地下に幽閉されていた(閉じこもっていた)はずの吸血鬼の妹「フランドール・スカーレット」と命懸けの弾幕遊びをすることとなる。
・ステージタイトル一覧
Stage1 「夢幻夜行絵巻 ~ Mystic Flier」
Stage2 「湖上の魔精 ~ Water Magus」
Stage3 「紅色の境 ~ Scarlet Land」
Stage4 「暗闇の館 ~ Save the mind.」
Stage5 「紅い月に瀟洒な従者を」
Final Stage「エリュシオンに血の雨」
Extra Stage 「東方紅魔狂 ~ Sister of Scarlet」
◆東方妖々夢 ~ Perfect Cherry Blossom.(2003年)
・ストーリー
幻想郷に訪れた冬が明けようとしていた。
5月。いつもなら桜が咲き誇り、人々が活気づくこの季節、
幻想郷に春は来ず、未だ白銀の雪に閉ざされたままだった。
巫女は明けぬ寒空の中、異変の原因を探しに出る。
・真相
冥界の「白玉楼」のお嬢様、西行寺家の亡霊「西行寺幽々子」が妖怪桜である「西行妖」を満開にしようとし、幻想郷中から春を集めていたのが異変の原因。
幽々子はこの木を封印するために木の下に何者かの遺体が眠っていることを知っており、満開にする=封印を解くことでその何者かを復活させられるのではないかと考えていた。
西行妖は元はただの立派な桜の木だった。生前の幽々子の父は有名な歌人であり桜を愛する人でもあった。
彼はこの桜の下で生涯を終え、彼を慕う者たちもこの桜の木の下で次々と死のうとした。
その結果、人の精気を吸い続けたこの桜はやがて咲くたびに自ら人を死に誘う妖木と化した。
元々死霊を操る能力を持っていた幽々子は、妖木の影響か同じような「人を死に至らせる」能力を持ってしまう。
父が愛した桜が妖怪と化したこと、人を殺める力を得た自分を哀しみ疎んじた幽々子は桜の木の下で自害。
転生しても能力故に永遠の苦しみを受けるだろうと考えた者らによって、幽々子の遺体を桜の木の下に埋め、それを鍵として妖怪桜――西行妖は封印され、満開にならなくなり人を殺めることはなくなった。
これにより幽々子は転生することなく亡霊として、そして生前の記憶も無くし冥界で暮らすこととなる。
つまり、異変で幽々子が復活させようとしていた「何者か」は幽々子自身であるが、
幽々子は自分の遺体が西行妖の下に埋まっていることは知らないし、これからも知ることはない。
西行妖の封印を解くということは、遺体の解放=幽々子は転生する普通の幽霊になり、幽々子という存在の消滅、すなわち本当の死を意味している。
結局封印があるため西行妖が満開になることはなく、いつもの春が幻想郷に戻る。
この異変は後に「春雪異変」と呼ばれることとなる。
・Ex真相
ようやく春が訪れた幻想郷では連日花見宴会が続いていた。
そんな毎日に飽きが出始めた頃、巷には幽霊が多数出没するようになっていた。
今回の異変の影響からか冥界と現世の境界が緩んでいるという。幽々子は既に境界の修復を友人のある者に「依頼」していたという。
しかし、ある者は冬の間は眠っているらしく代わりに「使い」が冥界に現れ暴れているという。巫女は再び冥界へ向かうことになった。
そこで友人の式の式である「橙」と再会、そして友人の式である「八雲藍」と相まみえることとなる。
・Ph真相
「使い」を倒してから後日、改めて幽々子の友人に会いに行く。
長き冬から目覚めた境界を操る妖怪であり、幻想郷を創造した賢者の一人「八雲紫」と対面し、命懸けの弾幕遊びが始まる。
・ステージタイトル一覧
Stage1 「白銀の春」
Stage2 「マヨヒガの黒猫」
Stage3 「人形租界の夜」
Stage4 「雲の上の桜花結界」
Stage5 「白玉楼階段の幻闘」
Perfect Cherry Blossom 「彼の世に嬢の亡骸」
Extra Stage 「妖怪の式の式」
Phantasm 「人妖の境界」
◇東方永夜抄 ~ Imperishable Night.(2004年)
・ストーリー
ある夏の日、月に異変が起こった。満月であるはずの月がほんの少しだけ欠けている。
人間にとっては何の問題もないが、月の光に依存する妖怪にとっては大きな問題だった。
いつもは異変を解決する役目である人間が異変に気付かないことに痺れを切らした妖怪たちは、人間たちを引き連れ、「明けない夜」の中、黒幕を突き止めに出る。
・真相
迷いの竹林の中にある「永遠亭」。そこに住まう元・月の民「八意永琳」が月兎である「鈴仙・優曇華院・イナバ」と
元・月の民である「蓬莱山輝夜」の二人を月の使者から匿うために偽の月とすり替えたというのが異変の真相。
本来ならば月の民は生死を短いサイクルで繰り返す生命に「穢れ」を感じ、地上の世界を忌み嫌っているのだが、月で暮らしていたころの輝夜は地上の世界に非常に興味を持っていた。
そこで薬師である永琳に頼み永遠の命を得られる禁断の薬、「蓬莱の薬」を作ってもらう。
月の都では蓬莱の薬を飲むことは重罪とされているが、不死となった者を死罪にすることはできない。地上へ流刑となる。
輝夜はそのことを知っていて蓬莱の薬を飲んだ。
(地上へ送られた後の輝夜の動向は「竹取物語」に準拠する)
やがて輝夜の罪が赦され、月から迎えの使者がやってきた。その中には永琳の姿もあった。
しかし、永琳はほかの使者を全員殺害。自らも蓬莱の薬を飲み、
輝夜の世話をしてくれた老夫婦に蓬莱の薬が入った壺を礼として与え、地上にて輝夜と共に永い逃亡生活を送ることとなる。
そして隠匿生活を送っているところに、外の世界の人間の月侵略(アポロ11号計画)が恐ろしくなり月から逃げてきた兵隊兎、鈴仙を迎え入れた。
しばらくした後、逃亡した鈴仙を月からの使者が迎えに来ることを知った永琳は満月を「太古の満月」とすり替えることで月との通行手段を断ち、二人を匿うことを計画する。
しかし太古の月の光は魔力が非常に強く、このままでは妖怪は狂気にあてられてしまう。
こうして妖怪たちは人間とタッグを組み月が沈む前に異変を解決するため「夜が明けない」ようにし、黒幕のもとへ向かうこととなる。
この明けない夜の異変は後に「永夜異変」と呼ばれることとなるが、この異変は異変を解決する側が起こしている異変であり、
部外者の人間は月の異変は知らず、夜の明けない異変のみしか知られていない。
そのため、道中では永夜異変を解決しにきた霊夢or魔理沙の主人公と戦うこととなる。
結局明けない夜は輝夜の能力で破られることとなり、黒幕に異変を解決される結末となった。
ちなみに幻想郷はそもそも外部との通行が通常の手段ではできないため、月のすり替えなどを行う必要はなかった。
元々密室であるところに二重の密室を作ってしまっただけであった。
・Ex真相
「永夜異変」から一月ほど経った頃、輝夜から「肝試し」の提言を受け迷いの竹林に向かう。
本物の満月で変身した「上白沢慧音」と再会した後、竹林の奥へと向かう。
そこで出会ったのは、昔(表向きは)月に帰った輝夜と永琳の残した蓬莱の薬を飲んだ人間「藤原妹紅」だった。
その昔、妹紅の父は輝夜へ求婚した際に恥をかかされた(詳しくは竹取物語及びかぐや姫を参照)ため、妹紅は復讐として輝夜と永琳が老夫婦に与えた、富士山火口に処分されるはずだった蓬莱の薬の壺を奪おうとした。
しかし準備が不十分のまま登山したことが祟り行き倒れてしまう。薬を運ぶ使役人に助けれられ、行動を共にすることに。
しかし富士山の神である木花咲耶姫によって薬の処分は阻止され、神の提案により次の日、八ヶ岳への投棄に向かうこととなるが、魔が差した妹紅は薬を強奪し飲んでしまう。
死ぬことも老いることもなくなった妹紅は人目を避けて生活していた。
そして幻想郷で輝夜と再会し、お互い憎みあいながらも、同じ不死の思いを共有できる人物としても見ており、
暇があっては「お互い殺しあう仲」として付き合っている。
なお、慧音は妹紅の友人であり、数少ない理解者でもある。
・ステージタイトル一覧
Stage1 「蛍火の行方」
Stage2 「人間の消える道」
Stage3 「歴史喰いの懐郷」
Stage4 uncanny 「伝説の夢の国」
Stage4 powerful 「魔力を含む土の下」
Stage5 「穢き世の美しき檻」
Final 「姫を隠す夜空の珠」
FinalB 「五つの難題」
Extra 「蓬莱人形」
◆東方花映塚 ~ Phantasmagoria of Flower View.(2005年)
・ストーリー
幻想郷に再び春がやってきた。生の色を取り戻した幻想郷はいつもより美しすぎた。
それだけではない。春の花だけではなく、あらゆる季節の花が同時に咲き出したのだ。
ほとんどの人間や妖怪はその光景に浮かれていたが、いつもは暢気な博麗神社の巫女は違った。
こんなわかりやすい異変ではサボっていると思われると感じた巫女は神社を飛び出していく。
そしてまたある者たちはただ騒ぎに乗じて動き出す。
・真相
60年周期で起こる外の世界での幽霊の大量発生と、
同じく60年ごとに起きる幻想郷を隔離している博麗大結界の緩みが同時に来たため、大量に流入してきた幽霊があらゆる植物に憑依したのが異変の原因。
様々な季節の花が咲き乱れる事態となった。
幽霊を三途の川の向こう岸、彼岸に渡すのは死神の仕事。
しかしその許容量を超える幽霊が外の世界からやってきたため、渡しが間に合わず幻想郷中の花に幽霊が憑依してしまった。死者が美しき生を彩ったのだ。
幻想郷の中の誰かが起こした問題ではなく、外の世界での出来事が発端。
放っておけば死神によって少しずつ幽霊は彼岸に送られ異変は収束する。
60年ごとの結界の緩みは「幻想郷の生まれ変わり」とも言われている。
60年周期での外の世界での幽霊の大量発生は原因が定かではないが、2005年の60年前は第二次世界大戦が終結した年である。
・Ex真相
今回の異変では三途の川付近であらゆる人妖が、閻魔の一人であり死神の上司でもある「四季映姫・ヤマザナドゥ」と出会っている。
Extraでは映姫を操作し、本編で出会った人物が善行を積んでいるか見回りをし、説教をするという内容になっている。
◇東方文花帖 ~ Shoot the Bullet.(2005年)
・ストーリー
異変などではなく、天狗でジャーナリストである「射命丸文」が今までに登場した人間や妖怪の弾幕を取材、撮影するというストーリーになっている。
文が発刊したという設定の書籍「東方文花帖 ~ Bohemian Archive in Japanese Red.」の取材部分という形でのゲーム。
・真相(?)
今までに登場した妖怪というのは自分も含むのか、最後は映姫の術により自分自身を撮影することになる。
◆東方風神録 ~ Mountain of Faith.(2007年)
・ストーリー
博麗神社にはいつも人外が跋扈し、妖怪神社などと呼ばれていた。
そんな神社では当然信仰が集まるわけもなく、神社の巫女である霊夢はいつも頭を悩ませていた。
とある秋の日、そこに突然一人の人間が現れる。その人間は、信仰の集まらない神社は山に住まう神様に明け渡しなさい、と言うのだ。
巫女は信仰が集まるなら明け渡してもいいのではないかと考えが過るが、山の神様の正体もわからない上に話がどうも胡散臭いと感じた。
事の真相を確かめるため、信仰を集める方法を探るため、兎にも角にも山の上にいる神に会いに行くことにした。
・真相
山で出会った「射命丸文」の話によると、山の神は博麗神社を乗っ取り、さらに信仰を得るのが目的とのこと。神は信仰を得れば得るほど力が増す。
山の妖怪にも突然現れた要注意分子として見られているらしい。
山の神社、守矢神社の巫女「東風谷早苗」、そして黒幕である山の神「八坂神奈子」にも勝利。
解決後は、博麗神社に守矢神社の分社を置くことで落ち着いた。
・Ex真相
「守矢神社には神奈子のほかにも神様がいるらしい」
そんな話を聞いた巫女は再び守矢神社を訪れる。
そこで出会ったのが守矢神社に本当の意味で祀られている神「洩矢諏訪子」だった。
遥かな昔、神奈子に侵略戦争を仕掛けられた際に敗北した諏訪子は、自らの国を明け渡したが、国民は諏訪子の祟りを畏れており神奈子を信仰しようとせず、神奈子は国を手中に収めることを諦めた。
そこで、諏訪子の力で国を統治し、神奈子が実務を行う(信仰を集める)為政者として振る舞うという方法をとった。
そんなこんなで長いこと共に暮らしていたが、神という存在が忘れられて久しい現代、諏訪子はそんなことはどうでもよかったが、信仰がないことを焦った神奈子は守矢神社ごと幻想郷にやってきたのだった。
・ステージタイトル一覧
Stage1 「八百万の秋の神」
Stage2 「神々の疵痕」
Stage3 「瑕疵無き要塞」
Stage4 「要塞の山」
Stage5 「霊山に風が吹く」
Stage6 「あゝ風の神よ神湖の地に」
Extra Stage 「愉快な日本の神様」
◇東方地霊殿 ~ Subterranean Animism.(2008年)
・ストーリー
とある冬の日、幻想郷各地に突如として間欠泉が噴き出すようになる。
それだけならいいのだが、間欠泉から怨霊まで一緒に出てきていたのである。
怨霊は妖怪の天敵。しかし間欠泉の原因であろう地下の世界は地上の妖怪と不可侵の条約を結んでいた。
かくして、巫女は妖怪の遠隔サポートを受けながら地下の世界へ原因を探りに行くことになる。
・真相
間欠泉の原因は「旧地獄跡」の一部「灼熱地獄跡」にあった。
黒幕は太陽の神「八咫烏」の力を得ていた地獄烏「霊烏路空」。彼女が灼熱地獄跡を稼働させていた。
彼女の友人である怨霊を操る火車「火焔猫燐」の話によると、
空は燐と同じく、「地霊殿」の主である「古明地さとり」のペットだったが、いつしか普通の地獄の烏には分不相応な太陽の神の力を持ち、灼熱地獄跡に「地獄の人工太陽」を形成して好き勝手暴れていたのであった。
友人の異変を不可侵条約を結んでいる地上へそれとなく知らせるために、お燐は怨霊を間欠泉に混ぜて地上に送り出していたのであった。
・Ex真相
今度は空に神の力を与えた本当の黒幕を探しに行くこととなる。
ただし今度は地下ではなく反対に山の上へ。巫女は空の話から犯人の見当がついていた。「二柱の神」―「洩矢諏訪子」と「八坂神奈子」である。
「東風谷早苗」を退けた先、境内には地下にいるはずの妖怪、さとりの妹である「古明地こいし」がいた。
姉のペットが神の力で強くなったことを聞いて、自分のペットにも神の力を分けてもらえないかと守矢神社に訪れたのだという。
しかし、守矢神社は今留守で、神の力よりも神の力を退けた巫女に興味を持ち、弾幕勝負を挑んでくる。
勝負の後現れた諏訪子によると、幻想郷にエネルギー革新を齎そうと灼熱地獄跡を実験場とし、
八咫烏の太陽の力=核融合を用いてエネルギーを得、それをご利益として信仰を集めようとしていた。空を利用したのは神の力の制御装置としたため。
結局この計画は頓挫したが、エネルギー革新は諦めておらず、いろいろ実験しているようである(漫画作品より)。
ステージタイトル一覧
Stage1 「忘恩の地から吹く風」
Stage2 「地上と過去を結ぶ深道」
Stage3 「忘れられた雪の旧都」
Stage4 「誰からも好かれない恐怖の目」
Stage5 「昔時の業火」
Stage6 「荒々しき二つ目の太陽」
Extra Stage 「地獄のラブリービジター」
◆東方星蓮船 ~ Undefined Fantastic Object.(2009年)
・ストーリー
冬が明け、春先を迎えた幻想郷に珍妙な噂が流れる。
雲の切れ間から時折「空を飛ぶ船」が見えるのだという。
宝船のようで縁起がいい、ということで巫女らはその船の正体を探りに出発することになる。半分は宝物目当てに。
・真相
船の正体は魔界へ向かうための船だった。
数名の妖怪たちが乗り込んでおり、妖怪の恩師で元人間の僧侶の「聖白蓮」を魔界から救出しに行くための船「聖輦船」だった。
巫女はやたら現れる、謎のUFOに翻弄されながらも法界にたどり着く。
白蓮は人間も妖怪も皆平等であるという考えを持ち、その昔、僧侶という立場でありながら妖怪に手を差し伸べることもしばしばあった。当時すでに白蓮は弟が練り上げた妖術を身に着け人間を超越した魔法使いであった。
当時の人間に妖怪の味方だ、妖怪だと見做され、魔界の辺境である「法界」に封印されていた。
巫女が道中集めた謎のUFOが封印のカギらしく、巫女は封印を解いてしまう。
封印から目覚めると、妖怪を退治しにきた人間を見て「昔と変わらない」と判断し巫女に弾幕勝負を挑んでくる。
魔界の辺境から復活した白蓮に勝利したあと、船は幻想郷に戻り着陸、
そのまま寺になり、白蓮の亡くなった弟の名前をつけた「命蓮寺」として人々の人気を集めることとなる。
白蓮の復活を企てた妖怪たちも元々は地底に封印されていたが、冬の旧地獄の間欠泉騒ぎに乗じて復活、今回の騒動を起こしていた。
謎のUFOの正体や光る玉がうろちょろしていたのはまた別のお話…。
・Ex真相
魔界への道中に飛んでいた謎のUFOについて、白蓮たちと話が嚙み合わないことを不思議に思った巫女は、今度は夜空の中再び調査に出る。
UFOの正体は、白蓮を復活させるのに必要だった「飛倉の破片」だという。
正体不明の妖怪「封獣ぬえ」が飛倉の破片に正体不明の種を植え付け、UFO、すなわち「未確認飛行物体」に見せていたのだった。
破片のことを知る白蓮や取り巻きの妖怪たちには飛倉の破片にしか見えておらず話が噛み合わなかった。
光の玉として登場し妨害してきたのも彼女。
ぬえはなぜかUFOを集めていた巫女に興味を持ち接触してきた。
ぬえも元々は地底に封印されていた妖怪だが、人間に恨みを持つ彼女は元人間の白蓮を復活させようとする仲間とは協力せず、
悪戯好きな性格も相まって、仲間の妖怪たちが何をするのかわからないけど集めている、間欠泉と共に噴き出した飛倉の破片を「正体不明」にし、船に乗り込んできた人間にもちょっかいを出していた。
白蓮が妖怪の味方である僧侶だと理解してからは、その妨害となった自身の行為を後悔した。
しかし白蓮に受け入れられたため、その後は白蓮や仲間が住まう命蓮寺周辺に身を置くことになる。
・ステージタイトル一覧
Stage1 「春の湊に舟の影」
Stage2 「雲に潜む一つ眼の化生」
Stage3 「高速の廃墟と巨人」
Stage4 「聖輦と不吉な船長」
Stage5 「魔界の赤黒い封印」
Stage6 「八苦を滅した尼公」
Stage EX 「未確認飛行幻想物体」
◇ダブルスポイラー ~ 東方文花帖(2010年)
・ストーリー
近年幻想郷に現れた者たちの弾幕を中心に、再び「射命丸文」が弾幕取材に出るというストーリー。
しかし取材を進める文にはライバルがおり…。
・真相
一通り取材を終えた文の前に現れたのは、ライバル新聞を執筆している「姫海棠はたて」だった。
普段は念写に頼っている彼女は、文を見て久しぶりに自分の足で取材に出ることにしたらしい。
こうして二人の取材対決、「ダブルスポイラー」が誕生した。
今回文自身が撮影されるというオチは、二人の撮影合戦後半ではたてが主人公となることで実現。
◆妖精大戦争 ~ 東方三月精(2010年)
・ストーリー
漫画「東方三月精 ~ Strange and Bright Nature Deity」二巻の読み切りエピソード「妖精大戦争」を前日譚に置く、妖精「チルノ」を主人公としたストーリー。
「サニーミルク」、「ルナチャイルド」、「スターサファイア」の三妖精は、妖精でも本気を出せば人間を困らせることができるのではないかと思い、
そのためにまず自分たちに従う妖精の仲間が必要だと考え、まずは霧の湖にいる氷の妖精チルノをねじ伏せに向かう。
三妖精はチルノの家ごと破壊しチルノを倒そうとするが、本人は不在だったため、とりあえず征伐のあかしとして旗を立てて去る。
帰ってきたチルノは壊れた家と旗を見て三妖精からの宣戦布告だと受け取り、矢文による宣戦布告を出し返す。しかしそのうちそんなことは忘れてしまう。
(以上までが漫画のストーリー)
しばらく経った後、チルノは宣戦布告を出したことを思い出し、三妖精に弾幕勝負という名の「戦争」を挑むこととなる。
・真相(?)
戦争に勝利したチルノは、宴の席で自らの武勇伝を話して回る。
この戦争は後に、からかいの意味で「妖精大戦争」と呼ばれることとなる。
・Ex真相
宴の帰り道、気を大きくしたチルノは喧嘩を吹っ掛ける強者を探していた。
そこに通りすがりの魔法使い「霧雨魔理沙」が現れ人間相手に勝負を仕掛けることとなる。
本当は妖怪退治を生業としている人間相手に妖精が勝てるはずもなく、
魔理沙は「死なない程度に手加減」しながらチルノの相手をすることになる。
・ステージタイトル一覧
ステージ A-1 「楽しく妖しい原生林」
ステージ A1-2 「夕方の本拠地にて」
ステージ A1-3 「妖精大決戦」
ステージ A2-2 「妖精の花道」
ステージ A2-3 「水の上の星空」
ステージ B-1 「理不尽な要求」
ステージ B1-2 「光の妖精はいずこに」
ステージ B1-3 「夜桜の下の月明かり」
ステージ B2-2 「忘れん坊の旅路」
ステージ B2-3 「真夜中の森」
ステージ C-1 「桜舞い散る春の弾幕」
ステージ C1-2 「三妖精の本拠地」
ステージ C1-3 「湖上大戦」
ステージ C2-2 「湖に月が出る」
ステージ C2-3 「妖精達の騒がしい夜」
ステージ EX 「アフターフェスティバル」
◇東方神霊廟 ~ Ten Desires.(2011年)
・ストーリー
雪が解け、完全な春を迎えた頃、幻想郷は連日宴会騒ぎ。
それと同時に現れては消える「神霊」が出没するという噂が流れる。
こんな不穏な噂があっては素直に宴会を楽しめないと思った巫女は、
霊の管轄である「白玉楼」へ向かうが…。
・真相
神霊は命蓮寺墓場付近の洞窟を抜け、その先にある「神霊廟」に集まっていた。
神霊の正体は人間の「欲」であり、復活した聖徳太子「豊聡耳神子」に呼応して発生、集束していたものだった。
十の要望を同時に聞き分けることをやってのけた上、信仰を集めた人物のもとに欲が集まるのは当然であった。
その昔、聖徳太子として為政者の立場であった神子は表向きは仏教を広めることで臣民をまとめていた一方、
裏では中国から渡ってきた「道教」を信奉することで、死の運命を持つ人間という存在を超えようとしていた。
修行すれば誰でも長寿や不老不死を手に入れられる術はトップの人間だけが知るべきだと考えていたためである。
仙人へ至る修行の過程で水銀を体内に摂りすぎた神子は、道具を身代わりにして復活する「尸解仙」となることを決意。
尸解仙となるには仮にとは言え一度死ぬ必要がある。それを恐れた神子は同志の「物部布都」に実験台となってもらう。
成功を確認した神子は自身の持つ宝剣を身代わりとし、復活の日まで眠りにつくことになる。
しかし、聖徳太子の突然の死を不審に思った僧侶たちは、神子が眠る霊廟の真上に寺を建てて封印した。神子はいつ復活しても構わないと考えていたが、封印されたことには気付かなかった。
時は移り現代。聖徳太子の偉業や存在そのものを否定する説が巷に流れ出した頃、
忘れられたものを内側に引き込む結界の力によって霊廟ごと幻想郷に移動することとなる。
幻想郷では「空を飛ぶ船」騒動の後、白蓮が船を下ろして寺とする立地の相談を、ダウジングでの宝探しが得意な妖怪「ナズーリン」としていた。
ナズーリンの報告によると、ある土地の地下に「とてつもないもの」が埋まっているとのこと。
白蓮はそれが何なのか知る由もないが、その上に寺を建てて「それ」を封印しようとした。
地下に埋まるとてつもないもの、これこそが神子が眠る霊廟「神霊廟」だった。
結局、寺を建てたことで神子を刺激し逆に目覚めさせることになった。
巫女に倒された後は仙術で作った空間に修行場を構え、入信する人間もそこそこいるようだ。
道教を学び仙道のもと修行をしていた神子と、仏教に属する白蓮は宗教的思想の違い(商売敵とも言う)から対立関係にありながらも、同じ仏教に身を置いたことがあるためお互い理解が深く、共に問題解決にあたることも少なくない。
・Ex真相
「人間の勢力に強力な支配者が現れた」
これを重く見た妖怪たちがいた。なぜなら人間の「得体が知れないという恐怖」によって存在できる妖怪は人間を実質的に管理する必要があるからだ。
人は妖怪に恐怖し、だから人は妖怪を退治する。これが幻想郷を保つためのルール。
人を統率する存在「豊聡耳神子」の出現は幻想郷のパワーバランスに大きく影響する。
命蓮寺にいる妖怪「封獣ぬえ」はいち早く行動を起こした。
外の世界にいた大妖怪、化け狸の統領「二ツ岩マミゾウ」を幻想郷に呼んだのだった。
強力な妖怪を招き入れることで妖怪全体の強化につながるからだ。
当然妖怪の出現に巫女が黙っているはずもなく、命蓮寺参道での真夜中の弾幕勝負が始まる。
結局、独断で外の世界の妖怪を呼んだことで白蓮が一層忙しくなっただけだった。
・ステージタイトル一覧
STAGE1 「死してなお、愉しく」
STAGE2 「門前の妖怪、習わぬ経を読む」
STAGE3 「直線の楽園」
STAGE4 「加速する嗜欲」
STAGE5 「隠然たるモノの血」
LAST STAGE 「和を以て貴しと為す」
EXTRA STAGE 「反逆ののろしを上げろ!」
◆東方輝針城 ~ Double Dealing Character.(2013年)
・ストーリー
普段はおとなしいはずの妖怪が台頭しているらしい。
それと同時に「道具」がひとりでに暴れだす現象が相次いでいる。
巫女は暴れるお祓い棒を手に、不協和音が鳴り響く嵐の雲の中へと調査に向かう。
・真相
道具が暴れだした原因は、「弱き者が力を得る」魔力を振りまいた者がいたからだった。道具は常に「使われる」立場であり、最も弱い存在である。
その魔力は妖怪たちにも波及し、おとなしい妖怪が幅を利かせ始めていたのであった。
魔力を振りまいた物とは「打ち出の小槌」。
弱き者が幻想郷を支配するため下剋上を企てた天邪鬼「鬼人正邪」が、打ち出の小槌を使える小人族の末裔「少名針妙丸」を唆し、小槌を使わせていたのだ。
理由なんて無い。世の中のルールや秩序、階級や支配に反抗するのが天邪鬼の性だからだ。
巫女は妖怪や付喪神となった道具を退け、空中逆さ城「輝針城」へ乗り込み、
正邪と針妙丸は敗れ、正邪の幻想郷転覆計画は頓挫するが、天邪鬼は決して引き下がらず行方をくらませてしまう。
その昔、鬼を退治し鬼の宝である打ち出の小槌を手にした小人族の祖先「一寸法師」は、小槌を使い「自身の体を大きくした」願いを叶えた後、小槌を使うことはなかった。
賢明な一寸法師は、小槌がどんなに素晴らしい道具でもそれが鬼の道具であり、乱用することの危険性を理解していたのである。
しかし彼の遠い子孫たちは違った。長い時間が経ち一寸法師の教えや精神が薄れた代によって、封印されていたはずの小槌は使われてしまう。
小槌の力で私利私欲の限りを尽くし、民を支配するための城「輝針城」を築いたのだった。
案の定、小槌には「代償」が存在した。魔力が尽きると小槌はそれを「回収」しにかかるのだ。
輝針城は「逆転」し、小人族は鬼の世界へ幽閉されることとなってしまった。
時は流れ現代。再び封印された小槌のことは小人族にも忘れ去られていた。
そこに正邪が現れ、針妙丸に「小人族が妖怪に虐げられてきた」という嘘の歴史を吹き込み、
小槌を使わせ弱者が世界を支配する「リバースイデオロギー」を企てたのだった。
そして小槌でもたらされた魔力の嵐とともに、空中に現れたのはかつての逆さの城、輝針城だった。
異変解決後、異変の間は人間サイズまで大きくなっていた針妙丸の体は元の小人サイズに戻った。
野生の鳥獣に襲われる危険があるため、今後は博麗神社に保護されることとなった。
ちなみに、針妙丸は月の民の頭脳たる「八意永琳」でさえ敬意を払うほどの高貴な身分だという。
・Ex真相
異変は収束したはずなのに、幻想郷上空に再び魔力の嵐が発生。
小槌の魔力は回収期に入っている。使った魔力は必ず小槌へと帰る。
現に暴れていた妖怪も今はもうおとなしいし、針妙丸も小さくなっている。
小槌のせいではないこの嵐の正体を突き止めるべく再び上空へと赴く。
そこには、和太鼓の付喪神「堀川雷鼓」がいた。
新しく得たこの魔力を試してみたいという理由で弾幕勝負を挑んでくる。
小槌の力を得て暴れていた妖怪や付喪神たちとは違い、雷鼓はこの力が小槌の鬼の魔力であることを冷静に理解していた。
このままではやがて鬼の魔力に支配され、魔力が抜ければただの道具に戻ってしまうことを悟った雷鼓は、自分の存在を確立するためある賭けに出る。
付喪神が本来得る魔力は、道具の使用者の魔力である。
雷鼓は依代である和太鼓とその奏者を切り捨て、新たに外の世界から流れ着いたドラムを依代とし、外の世界にいるドラム奏者から魔力を得ることにした。
こうして小槌の魔力に頼らず個を手に入れることに成功した雷鼓は、他の付喪神たちにも外の世界の魔力と入れ替える方法を教え、
今回の異変で誕生した付喪神は異変集束後も存在を失うことはなくなった。
上空に残っていた魔力の嵐はこの付喪神たちによる魔力の入れ替えの影響だった。
・ステージタイトル一覧
STAGE1 「淡水真珠の涙 Water Nymph」
STAGE2 「柳の下の生首 Flying Head」
STAGE3 「十五夜の妖獣 Metamorphose」
STAGE4 「嵐の中の不協和音 Stormy Discord」
STAGE5 「何もかも逆さまな世界 Reverse Ideology」
STAGE6 「小さき者の大きな野望 Little Princess」
EXTRA STAGE 「世界内存在に響く鼓動 Drum up resistance」
◇弾幕アマノジャク ~ Impossible Spell Card.(2014年)
・ストーリー
幻想郷転覆を企てた妖怪「鬼人正邪」は輝針城騒動の後、行方をくらませていたが、
未だ下剋上を諦めておらず、小槌の魔力が残った道具を集めていた。
幻想郷では反逆者鬼人正邪を捕らえろ!というお触れが出ており、あらゆる力を持った人間や妖精、妖怪が彼女の前に立ちふさがる。
幻想郷の住人は、ルールを度外視した避けることのできない「不可能弾幕」を使ってでも正邪を捕らえようとする。
しかし彼女の手には小槌の魔力が宿る、弾幕を突破することができる不思議な道具があった…。
「不可能弾幕には反則を」
正邪は逃げ切ることができるのか。
・真相(?)
九つの道具を巧みに使い強大な妖怪や人間からも逃げることに成功した正邪。
彼女はこれからも幻想郷の住人を困らせ続けることだろう。
ちなみに、幻想郷中に正邪の指名手配を触れて回ったのは「少名針妙丸」だった。
針妙丸は正邪の身を案じて共に投降しようと説得を試みるも、
聞く耳持たないのは承知の上であり、予め幻想郷全域に指名手配を出していたのだった。
◆弾幕アマノジャク ゴールドラッシュ(2014年)
・作品内容
デジゲー博2014の会場内でのみプレイできたスコアアタック版弾幕アマノジャク。
特別に用意された3ステージを、鬼人正邪が手に入れた十番目のマジックアイテム、
打ち出の小槌(本物)を使い、弾幕を金(スコア)に変えていくという内容。
ストーリーは特に用意されていない。
◇東方紺珠伝 ~ Legacy of Lunatic Kingdom.(2015年)
・ストーリー
幻想郷に「金属の蜘蛛」が現れた。蜘蛛が通った後の草木は枯れはて、生命の気配は無くなっていた。
これの正体は月の民が放った地上探査車であり、これの存在に気付けたのは人間だけだった。
遂に月の民による地上への侵攻が始まったのだ。
「八意永琳」から渡された「紺珠の薬」を服用し、月の兵隊兎を退けながら巫女は夢の通路を通り月の都へと向かう。
・真相
月の民の侵攻の理由は、月の都はある仙霊の侵攻作戦に嵌り、地上へ月の都の遷都をせざるを得ない状況に陥っていたから。
仙霊の名は「純狐」。月の女神である「嫦娥」に恨みを持つ純狐は、たびたび月の都を襲撃しては追い返される知恵比べ的攻防を過去に繰り返していた。
今回の作戦は上手くいった。巫女が月まで乗り込んできて純狐の前に現れるまでは。
純狐はまず、自身が持つ「純化する能力」で生命の象徴である妖精たちを生命力の塊とし、月の都へ送り込んだ。
月の民は生死持つ「生命」を穢れとして拒絶する。穢れの象徴たる妖精の大群の襲来に太刀打ちできず月の民たちは都を凍結、月の賢者たちの力により夢の世界へ逃げ込んだ。
(ちなみに我々が知る月面(表の月面)に到着した霊夢らが呼吸できたのは自然(=生命)の象徴の妖精がいたことで空気があったから)
夢の世界へ逃げ込んで半年後、その間に幻想郷で発生した「都市伝説異変」に乗じて幻想郷に紛れ込ませた「月の都のオカルトボール」の効果を使い結界へ入れるようになった月の民たちは幻想郷へ侵攻を開始する。
(オカルトボール、都市伝説異変は「東方深秘録」で登場したアイテム及び異変)
まるでこの侵攻を知っていたかのように永琳は巫女へ紺珠の薬を渡した。
紺珠の薬の正体は、「未来を見ることのできる薬」。これを飲み失敗した未来へ至る行動を回避することで一度の被弾もなしに黒幕のもとへたどり着けるのだ。
純狐の能力は純化。一度の被弾だろうと僅かでも死穢を残せば、確実に死へと至らせるその能力で事実上の敗北は免れない。
月の民は純狐を倒せる者は地上人だけということ、月の頭脳たる永琳の力ならなんとかできることを見越したうえで幻想郷に侵攻し、地上を巻き込んでいたのだった。
月が攻めてきたのならば、地上人は必然的に月へ乗り込まなくてはならなくなるからだ。
純狐は息子を夫に殺されている。その夫は嫦娥の夫でもあるため、繋がりを持つ嫦娥を恨んでいる。
自身の力で純化された憎しみは、自身を純粋な憎しみの存在へと変えていき、もはや自分がどういう存在であったかは薄れているが、あまり執着はしていない。
騒動の解決後、純狐はここまで搦手を使った上で、地上人を使った月の民の作戦にいつものように敗北したことに納得し、しばらくは月の都への襲撃は行わないことを宣言した。
・Ex真相
純狐の話では、この異変には共謀者がいるとのこと。
「表」の月面にいた大量の妖精を率いていた地獄の妖精「クラウンピース」の上司でもある、地獄の女神「ヘカーティア・ラピスラズリ」が裏で暗躍していた。
彼女もまた嫦娥へ恨みを持つ者であり、純狐と手を組み妖精を提供していたのだった。
永琳ですら存在を感知できなかったこの女神の出現に巫女は再び「夢」の通路へと赴く。
彼女は幻想郷より遥かに強い技術と戦力を持つ月の都などと比されるレベルの強さではなく規格外の女神であり、「四季映姫・ヤマザナドゥ」ですら最大の敬意を払う相手だという。
普段は人間など相手にしないが、異変を解決した実力を持つ巫女とは特別に勝負をすることになる。
月、地球、異界の3つの体を持つヘカーティアはそれぞれで趣の異なる弾幕を扱う。
乱入してきた純狐も含めて実質4対1の勝負となった。
嫦娥の夫はその昔太陽を撃ち落とし、光を弱めたことで地獄の闇の力が弱くなったことがヘカーティアが嫦娥へ恨みを持つ理由とのこと。
異変後は幻想郷を自由にウロついており、クラウンピースには幻想郷で暮らすよう指示している(漫画作品より)
・ステージタイトル一覧
STAGE1 「浄土の探査機 Eagle Rabbit」
STAGE2 「湖上の前線基地 Lunatic Front Line」
STAGE3 「アポロ経絡 Dreamful Path」
STAGE4 「寂びの来ない街 Lunatic Kingdom」
STAGE5 「星条旗のピエロ Clownish Moon」
STAGE6 「倶に天を戴かずとも Pure Furies」
STAGE7 「切り札はいつだって悪手 Evel Trinity」
◆東方天空璋 ~ Hidden Star in Four Seasons.(2017年)
・ストーリー
桜が舞い散る博麗神社。しかし花見客の姿はどこにもない。
そこへ冬服を着た「霧雨魔理沙」が、神社は暑いななどと言いながらやって来た。
魔理沙の住む「魔法の森」はなんと雪が吹きすさんでいるというのだ。
天狗の記者「射命丸文」もやってきて「秋に桜が咲くケース」の話をし出す。
「妖怪の山」では紅葉が山を染めていたのだ。
これは明らかな異変である。巫女は神社を飛び出し、季節の力を使いながら四季折々の幻想郷を駆け巡り黒幕を探しに出かける。
ある夏の日の出来事であった。
・真相
異変の首謀者は「後戸の国」に住む秘神「摩多羅隠岐奈」。
部下に元人間の二童子、「爾子田里乃」、「丁礼田舞」がおり、隠岐奈はこの二人をそろそろ解放してやろうと思っており、部下の後継人を探していた。
二童子に躍らせることで幻想郷中の者の潜在能力を引き出し、部下に見合う能力を持った者を探そうとしていた。
この対象には妖精も含まれるため、自然の具現化である妖精が暴走した結果四季が乱れる事態になった。
道中、比較的おとなしめの妖怪も好戦的になっていた。
潜在能力を引き出された者の背後には「戸」が隠されており、そこから力を流し込まれていたのだ。
「季節の力」、季節装備も個人の潜在能力から引き出された副作用であった。
巫女は開けっ放しになっていた1つの扉から後戸の国へ侵入、二童子と隠岐奈は倒され、結局後継者探しは先延ばしにされることとなった。
・Ex真相
異変を解決して戻ってきた巫女。
しかしどうも黒幕である隠岐奈を倒したという実感がわきにくい。
それもそのはず、背後に扉があり潜在能力=季節の力を引き出されている事自体が罠だったのだ。
隠岐奈は最終的に相手から季節の力を奪い、そのまま背後の扉から侵入者を後戸の国から相手が持つ季節の力に応じた季節の場所へ排出できるという二重のトラップになっていた。
扉が背後にある限り季節の力を使わざるを得ない、しかしその力を使っている限り敗北は確定している。
そこで巫女はある季節の力を使うことにした。季節と季節の境界の力「土用」である。
最も生命力が失われる5つめの季節、土用の力ならば力を奪われることもなく、排出される場所も存在しない。
しかしそれは隠岐奈を倒さない限り後戸の国から逃げることができないことも表していた。
今度は季節の力ではなく「絶対秘神」としての力を使った隠岐奈との戦いに勝利した巫女。聞き手がいない中、隠岐奈は今回の異変の真の目的を独り言のように語りだす。
二童子の後継者探しはあくまで口実とついでであり、幻想郷がちゃんと機能しているかを確認したかったらしい。
隠岐奈は「八雲紫」と同じく幻想郷を創った賢者の一人だったのだ。
「都市伝説異変」、「月の都の侵略」、「完全憑依異変(「東方憑依華」における異変)」と幻想郷の存在を揺るがす異変が立て続けに起きている現状を憂いて、
幻想郷の創造主の一人である私が見ているぞ、という忠告を他の賢者にアピールするため「大規模かつわかりやすい、幻想郷内で完結する比較的安全な異変」を起こしたのだった。
巫女が使用した季節の「境界」たる土用の力を見て、誰の入れ知恵かを察した隠岐奈は自身のアピールが「他の賢者」にうまく伝わったことを悟った。
そして巫女が自身を倒しにきて勝利したということは幻想郷が機能している証拠。それを確認できた隠岐奈は安心したようだ。
・ステージタイトル一覧
STAGE1 「朝靄の先の真夏日 Miracle Blue Sky」
STAGE2 「紅い山の孤独 Red Mountain Loneliness」
STAGE3 「神獣泳ぐ桜色の海 Sea of Spring Pink」
STAGE4 「視界ゼロの邂逅 White Blizzard Out of Season」
STAGE5 「童子は狂気を跳ね踊る Into Crazy Back Door」
STAGE6 「開けるなかれ、見るなかれ 後ろの扉に秘天あり Hidden Star in Four Seasons」
REVENGING STAGE 「秘神の真の姿 Hidden Star in Fifth Season」
◇秘封ナイトメアダイアリー ~ Violet Detector.(2018年)
・ストーリー
秘封俱楽部初代会長にして外の世界の超能力者であり女子高生の「宇佐見菫子」は「都市伝説異変」のオカルトボール騒動の後、夢を通して幻想郷に訪れるようになっていた。(「東方深秘録」での出来事)
しかしある日、いつものように幻想郷に訪れていた菫子を博麗神社の巫女、博麗霊夢が攻撃してきたのだ。それも延々と。
途方に暮れた菫子は、逆にこの状況を記録に残して楽しんでやろうとスマホで弾幕の写真を撮ってみたところ、夢から醒めた。
それからというもの、夢の中では巫女以外にも幻想郷中の者から付け狙われる日々に悩まされる菫子。現実と夢の境も曖昧になってきた。
この悪夢を撮影しながら乗り切ることができるのだろうか。
・真相
悪夢から逃げ切れるかと思った頃、なんともう一人の菫子が姿を現す。
実は主人公として悪夢を撮影していた菫子はドッペルゲンガーの体を乗っ取った夢世界の菫子であり、長いこと活動していたため自分が本物の菫子だと思い込んでいた。
ドッペルゲンガーの肉体がなければ本物の菫子は幻想郷に来ることができない。これを解決するため、夢世界の管理人「ドレミ―・スイート」は「夢の世界における幻想郷の住人」を扇動し、夢菫子にけしかけていたのが真相。
(菫子は寝ると夢の世界を通しドッペルゲンガーの肉体に乗り移ることで幻想郷で活動している)
「摩多羅隠岐奈」によって力を与えられていた夢菫子と夢の住人の戦いは三週間が経っても決着がつかず、
ドレミ―は切り札として魂だけとなっていたドッペルゲンガーの菫子を夢の世界にへ引き込む。
かくして菫子と菫子の戦いが始まるところに、公平ではないと力を与えた隠岐奈自身によって与えられた力を奪われる夢菫子。
勝ったほうが幻想郷で活動する菫子の肉体=本物の菫子となる。
結局、夢菫子は主人公となったドッペルゲンガーに敗れ消滅。
現実世界の菫子はこの騒動の間、夢が見れなくなっていたが「茨木華扇」によって無事が確認されている。
撮影系作品おなじみの自分で自分を撮影するというオチは二人の菫子によって実現している。
◆東方鬼形獣 ~ Wily Beast and Weakest Creature.(2019年)
・ストーリー
地獄から侵略者たちがやって来た。
無数の動物霊が地上を支配しにやって来たのである。しかし動物霊たちの中に裏切り者がいた。
仲間を裏切った動物霊は巫女へ、動物霊たちに侵略をやめさせたいのだと言う。
信用は出来ないが、地上を支配しに動物霊がやってきているのは事実。
巫女は裏切者の霊と共に「あの世」の向こう側、地獄へと向かう。
・真相
動物霊がやってきているのは地獄からではなかった。地獄の隣の「畜生界」に敵の本拠地があるのだという。
しかし畜生界にいた敵は動物霊などではなかった。埴輪の兵隊たちと畜生界の理を覆す造形神「埴安神袿姫」であった。
袿姫は畜生界を我が物として支配しようとしていた。弱肉強食が理の畜生界において「造形」という力に動物霊では太刀打ちができない。
造形神を倒せるのは人間しかいないと悟った動物霊たちは地上へ出ることにした。
動物霊たちは地上へ侵攻するフリをし、それに乗じて裏切者を装った動物霊が巫女を唆し、畜生界にいる邪神を倒してもらおうとしていたのである。
しかし袿姫は畜生界で虐げられていた人間霊に喚び出されていた「人間側の勢力」でもあった。
動物霊は「人間霊を破滅に追いやった邪神」ともいうが、巫女はとりあえず倒してから考えることにした。
結局、神は「福」でも「荒」でもあるのだ。
・Ex真相
畜生界から本当の侵略者が現れた。
オオカミ霊が属する「勁牙組」とその組長「驪駒早鬼」だ。
造形神を倒す計画は、本来は敵対関係同士であった動物霊による複数の組織
「勁牙組」、「鬼傑組」、「剛欲同盟」の共同作戦で行われていたが、
袿姫が倒されたと聞いた早鬼は即座に行動を起こした。このチャンスに畜生界を乗っ取り、果ては地上界をも我が物にしようとしていたのだ。
力ですべてを支配する単純明快な勁牙組のやりそうなことであった。
結局、巫女によってその企みは阻止される。力こそが正義の早鬼は巫女を気に入り、地上に興味を持ち幻想郷に顔を出すようになる。
・ステージタイトル一覧
STAGE1 「千万無量の無念 Infinity Make-work」
STAGE2 「御影石の赤子 Cross the Styx」
STAGE3 「鬼渡の関所 Lonely Amaryllis」
STAGE4 「万苦の業風 Darkside of Paradise」
STAGE5 「畜生メトロポリス Beastly Dystopia」
FINAL STAGE 「イドラデウス Idola-Deus」
STAGE EX 「血戯えの業風 Beastly Storm」
◇東方虹龍洞 ~ Unconnected Marketeers.(2021年)
・ストーリー
幻想郷に様々な妖怪や神、人間果ては妖精の能力を模した不思議なカードが流通していた。
これは「アビリティカード」と呼ばれ、専用の通貨で取り引きされていた。
巫女はトラブルが顕出する前にこのカードの出どころを探す調査に出る。
・真相
この騒動の首謀者は二人いた。
カードを作った大天狗の「飯綱丸龍」と、流通を取り仕切る市場の神「天弓千亦」である。
龍の目的はアビリティカードを作り、千亦の市場の神の力を利用して流通させ一儲けしたかったから、
千亦の目的は市場の流通を通して自身の力を取り戻したかったから。
元々千亦は市場の非活性化に伴い力を失っていた神だった。
(市場が廃れていった理由は昨今のコロナウイルスの流行によるものと思われる。コミケが中止となったのも理由として含まれる)
それに目を付けた龍はこの神の力で一儲けしようと、山の高原にある「虹龍洞」で採掘された「伊弉諾物質(イザナギオブジェクト)」、
「龍珠」を使いアビリティカードを作り、千亦の能力で幻想郷に流通させた。
しかし千亦は利用されているフリをしていただけであり、
この機に乗じて市場の神として力を取り戻そうと考えていたのである。
お互いの目的の違いで軋轢が現れ始めた頃、妖怪の山山頂に現れた巫女によって両者は倒されることとなった。
・Ex真相
本編道中で立ち寄った虹龍洞深部は低酸素エリアであり、人間である巫女は途中から進むことができなかった。
無酸素でも活動できるようになるアビリティカードを入手した巫女は調査しきれなかった虹龍洞へと再び調査に向かう。
その奥で出会ったのは大妖怪、大蜈蚣の「姫虫百々世」だった。
アビリティカードの材料にもなる龍珠を掘り出すために大天狗から採掘作業の取引を持ち掛けられていたのだ。
龍神をも喰らう彼女は、掘り出した龍珠の一部を食べることを許された代わりに虹龍洞の採掘を任されたのだ。
かくして、騒動の一部である大蜈蚣は巫女と戦い、倒されることとなった。
余談だが蜈蚣は「商売繁盛の象徴」とも言われている。
・ステージタイトル一覧
STAGE1 「私雨、その後に Chase rainbow」
STAGE2 「深奥の民 Secret Green Cliff」
STAGE3 「尊き高原に穿つ洞 Mine of High Land」
STAGE4 「伊弉諾物質(イザナギオブジェクト) Mine of Izanagi Object」
STAGE5 「大空は誰の物なのか Spectral Hierarchy」
FINAL STAGE 「月虹市場 Lunar Rainbow Market」
EXTRA STAGE 「終末への採掘 Apocalyptic Mining」
以上が東方のSTG作品におけるストーリー一覧です。
なるべく本筋だけに沿って割愛部分を多めにしたつもりですが、「黒幕がなぜそう行動するに至ったのか」は細かく記しておきたかったので、
キャラクターのバックストーリーが目的や結末と直結しているものに関しては、バックストーリーをすべて含んで書いたため長い文章になってしまいました。
霊夢ストーリーを基本としてますが、花映塚を除けばどのキャラが主人公でも主人公の目的が変わるだけで概ねストーリーは同じです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます