青空と桜吹雪と黄色い電車

多摩爺の「四季おりおり（その２１）」
春色　青空と桜吹雪と黄色い電車

満開だった北多摩の桜も、先週末の強風と雨を境にして散り始めたが、
幸なことに、その後は好天が続き、なんとなく持ちこたえてはいるものの、
何気に足元に目をやれば、たくさんの花びらが落ちており・・・　そろそろ、見納めになりそうだ。

ウォーキングのホームコース「玉川上水緑道」から、少しだけ寄り道して、
西武鉄道・国分寺線の「鷹の台駅」にちょっと寄ってみた。

ここは・・・　この季節限定で春色を感じられる、お気に入りのビュースポットでもある。
改札口を背にして道なりに右に進み、坂を少しだけ下った辺りで振り返って、駅の方向を見ると、
隣接している大きな公園で、満開となった桜の枝が、プラットホーム付近までせり出し、
ローカル線の沿線で見かける・・・　ホッとする原風景が広がっている。

それは、昔どこかで見たような・・・　安堵感を覚える光景
記憶の引き出しを開け、あれこれ探してみるが、どこを探しても見つからない。
ひょっとしたら・・・　映画やテレビで見た、バーチャルの世界だったのだろうか？

しばし、もの思いに耽っていると、ちょっと草臥れ気味の黄色い電車が入線してきた。
そうそう、これを待っていたのだ。
青空を背景に、ハラハラと桜吹雪が舞うプラットホーム、そして・・・　草臥れかけた黄色い電車
この光景こそが・・・　お気に入りのビューなのだ。

どこにでもあるような、どうでも良いような組み合わせだが、
それぞれが、けっして主張することなく、絶妙のバランス感覚を保ち、
少しずつだが個性的な色合いを交えている。

なんでもないのに・・・　ホッとする原風景
ひと言で云うなら、日本人の遺伝子に受け継がれた・・・　春色ではなかろうか？

そして、それこそが、記憶の引き出しを、
いくら探しても見つけることができなかった・・・　安堵感なのだろう。

ちょっと残念だったのは、散り始めた花びらが、あまりに小さすぎて、
爽やかな風に吹かれて、ハラハラと舞ってる儚い様相が、写真で確認できないことだろう。

コロナ禍じゃなかったら、浅草に行き、長命寺で桜もちを買って、食べ歩きでもしながら、
隅田川沿いから、墨堤公園に咲く満開の桜を借景に、スカイツリーの写真を撮りたかったんだが、
お上からの強い自粛要請もあり・・・　残念ながら、今年は我慢せざる得ない。

テレビを付ければ・・・　「いつまで我慢させるんだ。」って云う人たちばかりが、
入れ替わり立ち代わり、インタビューに登場してくる。
本来、その背景にあるのは「人が生きるか死ぬか、医療が崩壊するかどうか。」ってことなのに、
我慢できないっていう応答は・・・　いささか的外れではなかろうか？

私は、けっして聞き分けが良いお利口さんじゃないが、ワクチンを接種するまでは我慢するつもりだ。
あと２～３ヶ月、我慢できない理由はどこにもない。

気になる原風景や、お気に入りにしたいようなビュースポットは、
気づいてないだけで、あんがい近いところにあるんだと思う。

なんて、言ってるけど・・・　昨夏からコロナうつを発症してしまった女房が、
外出を嫌がることから、天気が良いのにウォーキングぐらいしかしてなく、
半分ぐらいは、花見に出かけて楽しんでる方々への・・・　負け惜しみかもしれない。
悪気は全くないんだけど、嫌味な性格にはなりたくないものである。


東村山行きの黄色い電車が入線、ちょっと草臥れてるが、
青空や桜のピンクとの相性が抜群で、春色を醸し出している。