多摩爺の「時のつれづれ(卯月の11)」
あなたが先か?私が先か?
東証一部に上場している、この国を代表するIT企業だが、
ここんとこ、なんともお騒がせな商売を展開している。
捉え方によっては、商機を逃すことがないよう、機を見て敏なのかもしれないが、
その戦略というか・・・ 考え方に多くの批判がでている。
つい数か月前・・・ 外資のIT大手が手掛ける通販事業への対抗策として、
一定額以上の商品を注文した際の配送料を、無料(売主負担)にする大胆な発表をすると、
出品していた小規模なテナントから、利益の確保が困難になると悲鳴が上がり、
公正取引委員会が、立ち入り検査を実施する事態になった。
結果として、公正取引委員会は独占禁止法に基づき、
東京地方裁判所に同施策の緊急停止命令を申し立てたが、
理解を得るよう協力するとは云いつつも、法令上の問題はないと言い切り、
現在は新型コロナウイルスの影響を受け実施を延期しているが、準備が整い次第実施するとしている。
そして、いままた遅々として進まない新型コロナウイルス対策の、PCR検査をサポートするため、
医療関係者からは、現場の混乱を招きかねないと大顰蹙の声があがったにも拘わらず、
法人向け簡易検査キットの販売を始めた。
希望する誰もがPCR検査を受診できない現状を踏まえ、
予備検診でも良いからやりたいという業界は確かにあるだろう。
しかし、正確性に問題があるにも拘わらず、予備検診の結果を受けて隔離希望者が続出すれば、
それこそ医療崩壊を招きかねず、医師会は強い懸念を表明している。
一代で事業を立ち上げ、軌道に乗せたやり手のワンマン経営者が、
常に先手先手で仕掛ける新たな経営戦略が目障りで、迷惑だと感じる人は多く、否定的な声がある。
私も・・・ 「いま、このタイミングでそれをやるか?」といった感覚を持っている。
閑話休題 4月19日に「こだまでしょうか。」という表題で書いたブログで、
金子みすゞ記念館の館長さんの話を記したので、読んでもらうとありがたい。
金子みすゞは、「あなた」と「私」の関係について、どう考えていたか?
「私とあなた」のまなざしで生きるとは、自分を中心に考えて生きることであり、
「私」のほうが「あなた」よりも大事だから、
自分の位置が相手より上になってしまうと館長は仰っている。
相手を理解するためには、自分中心で上になってしまった「私」の位置を、
「あなた」の位置まで下げなければならない。
だから「理解する。」とは、
英語で「アンダースタンド・under(下)stand(立つ)」と書く。
大事な「私」を後にすると・・・ とても大切なことが見えてくる。
きっと・・・ このワンマン経営者の視点は「あなたと私」じゃなく「私とあなた」なんだと思う。
「何かをやらなきゃ。」といった情熱と、漲る正義感だけなら、なんの問題もないのだろうが、
そこに商売が絡むから・・・ 途端に胡散臭くなる。
とはいうものの・・・ 一方では、新型コロナウイルスの感染拡大にともない、
最近様々な場面でよく目にするのは、この国に指示待ち族が多くなったことだろう。
これには深く憂慮せねばならない。
なんでもかんで指示を受けるのは煩わしいはずだが、
それに責任がともなうと、途端にだれかの指示を待ち、自ら判断することを嫌い、
指示が遅れようものなら、だれかをスケープゴートにまつりあげ、
言論の自由をかざし、顔が見えないSNSを使って、面白おかしく批判し袋叩きを繰り返す。
残念だが・・・ これが、戦後75年という歳月をかけて、
この国が自ら望んで罹患した自由病であり・・・ 平和病である。
緊急事態宣言が、その文字通りに受け止められないんだから、
もはやボケてるんじゃなく病んでいるのである。
そう捉えれば、自ら考えて先手先手で策を講じる、
ワンマン経営者の勇気だけは・・・ 認めなくちゃならない。
あとは・・・ 非難を真摯に受け止める胆力と、
「私とあなた」じゃなく「あなたと私」の視点を持つこと、
性格上、自分にそういった発想がないのであれば、
そういったことが諫言できる、信頼をおける参謀を持つことをお勧めする。
先手で動くことは、けっして悪いことではない。
しかし・・・ 「あなた」が先か?「私」が先か?といった視点のズレが、
自らの評価のみならず、会社の評価まで著しく下げていることに気づかなきゃならない。
他人の声に耳を傾け、情勢を正しく読む力も磨いてほしいと願ってやまない。
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