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中国経済の行方。

2011年10月22日 12時36分55秒 | Weblog
北京・山本勲 中国経済はトリレンマをしのげるか2011.10.22 07:46 (1/2ページ)[緯度経度]
 
中国経済がインフレ、成長失速、不良債務急増の“トリレンマ(三重苦)”に見舞われている。消費者物価指数の上昇率が6月から4カ月連続6%台に高止まる一方、2年余り続いた不動産バブルは陰り始めている。加えて世界同時不況脱却を狙った2008年末からの4兆元(約50兆円)の超大型景気対策が国の不良債務を急増させている。「世界経済のエンジン」と称賛された「中国モデル」は急速に色あせつつある。

 08年9月のリーマン・ショック後の不況で、中国も09年1~3月の国内総生産(GDP)成長率が6・1%まで落ち込んだ。それが同年4~6月には7・9%まで戻し、年間で9・2%、昨年は10・4%と3年ぶりに2桁成長に復帰した。

 しかし、4兆元の景気対策は銀行融資の急拡大と通貨供給量の激増を招いた。融資残高の増加額は09年に前年比32%増の9・6兆元、10年は20%増の7・95兆元を記録。通貨供給量の指標であるM2(現金と当座預金・普通預金に定期預金などの総計)はそれぞれ28%、20%も激増。09年の融資増加分はGDPの約3割に相当する巨額さだ。

 政府が超大型浮揚策に踏み切ったのは、中国経済が5年連続の2桁成長を経て、北京五輪後は不動産バブル崩壊に向かう傾向が強まっていたからだ。国内景気後退と世界不況が重なれば政治不安を招く、との危機感からとみられる。

 だが度を越した浮揚策の弊害は昨年半ばからインフレ、不動産バブルの膨張となって表面化した。同年末には共産党自ら金融緩和の終了を宣言、インフレ抑制に軸足を移し、利上げと銀行の預金準備率引き上げを繰り返してきた。


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しかし、物価上昇率は政府目標の4%を大幅に上回り続けている。一方で今年半ばから中南部で民営中小企業の倒産が相次ぎだした。労賃と人民元の上昇で靴や衣料などの輸出加工業が行き詰まり、闇金融にはまった経営者の夜逃げや自殺が社会問題となっている。

 不動産相場も上海など大都市で横ばいから低下に転じ始め、転機を迎えつつある。7~9月のGDP成長率も9・1%と1~3月(9・7%)、4~6月(9・5%)を下回った。

 不気味なのは地方政府や傘下の投資会社の債務急増だ。財源難の地方政府は好機到来とばかりに、新都市開発や高速道路などのインフラ(産業基盤)建設を競った。しかしゴーストタウン化した新都市や車の走らない有料高速道路の映像や報告がインターネットなどで飛び交っている。

 政府当局によると、こうした地方政府がらみの債務総額は10・7兆元(約130兆円)。中央政府分など国の公共部門すべてを含めても「債務の対GDP(約40兆元)比は5割前後と警戒線以下にある」(劉明康・中国銀行業監督管理委員会主席)とのことだ。

 しかし中国でも「シャドーバンキング」と称される、ヘッジファンドやアングラ金融などの資金が「約10兆元にのぼる」(中国評論ネット)とされる。国有金融機関など公的資金の一部がこれらに流れているとの見方も根強い。

 もし金融引き締めを続けて成長率が5%以下に落ち込めば、こうした“隠れ債務”が一気に表面化して政治不安になりかねない。一方、公共事業主導の従来型成長を繰り返せば、インフレによる社会不安とさらなる不良債務増を招く。

 本来は経済が上り調子だったこの10年間に、内需主導の成長に移行するための政治経済改革を断行すべきだった。改革の先送りが政治安定最優先の針の穴に糸を通すような難しい経済運営を余儀なくさせている。




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