切ない(笑)
『村田がキャンプ前に掲げた最大のテーマが「友達づくり」だった。横浜時代は常に数人の後輩を従える“軍団長”だったが、巨人は縁もゆかりもない球団。そこで村田はキャンプ宿舎の自室を毎夜開放するなどして後輩と交流を図り、新しい仲間を得ようと考えた。
ところが、グラウンド上では多くの選手と会話が弾んだものの、夜に部屋を訪ねてくる後輩はなし。「食事に連れていってください」という誘いも、ほとんどなかった。意気込んで持ち込んだプレミア焼酎を寂しく空け、部屋で独りゲームに興じることが多かったという。
それならば自分から誘おうとも思い立ったが、そこに立ちはだかったのが“派閥の壁”だった。「巨人の中もグループがいろいろあるようですし、誰と誰がつるんでいるのかまだ分からない。僕としても、なかなか声をかけづらいんですよ」
確かに、巨人にも垣根は高くないが、派閥は存在する。野手ならば“阿部派”と“由伸派”が大きく、投手では “内海派”が最大派閥。村田としては、そこに自分が割って入ることで、チーム内に余計な波風を立てたくないという。
そうなると“友達候補”は、前記の大派閥に属していない“無所属選手”たち。一軍クラスでいえば亀井や松本哲、移籍組の高口、中谷らがいる。村田 は「後輩から誘いにくいのは分かる。タイミングを見て自分が声をかけないと」と、今後は“待ち”から“攻め”の姿勢にチェンジして仲間を探すつもりでい る。
「シーズンに入れば『20打数無安打』なんてこともザラにあると思う。そういう時期をいかに乗り越えるかが大事」と先を見据える村田。沈んだときこそ支えてくれる仲間の存在が必要になる。村田の“友達づくり作戦”は今度こそうまくいくか。』