昨年末、下見に伺った際、部屋に入ると足に伝わるフカフカ感。
家はそこまで古くないのにどうして??と思っていると、施主様がこの部屋は温水パイプ式の床暖房システムになっていて新築当時に入れたワラ畳は裏シート(防湿防虫パール)が普通に使われており、それでは熱が上がらないとメーカーに言われ、古家に有った手床を直して入れ替えてもらったと話してくれました。
座ってみると確かにじんわり暖かい。
しかし80歳にはなるであろうと言う畳床(板入れ手床)
当たり前にフカフカで持ち上げると反っくり返ってしまうほど
乾燥しているので床糸の損傷は殆ど見られないが、これは流石に使えないと説明。
とりあえず、暖房用の畳床を使い入れ替え工事となりますと話し、現場を後に。
次の日、暖房用畳の各メーカーや取引先の問屋さん等に聞いてはみるものの流石に2寸厚仕上がりの暖房用畳床は無いとの返答
自分で何とかしようとも思ったのですが、もし新畳に入れ替え熱が上がらなかったらどうしようも無く・・・。
施主様に2寸厚仕上がりの暖房用畳が無い事を説明し、ワラ畳で入れ替えたとしても今のワラ畳(機械床)ではたぶん無理だろうと諦め、何とか修正しながら現状の手床を使い表替え工事をする事を話しました。
隙間も酷く、クタクタの手床(板入れ)。
もちろん作業は手縫いの現場仕事しか有りません。
そんな訳で私の新年の初仕事は現場工事となったのでした。
80年は経っているだろうという筋縫いの手床
しかしながら見事な仕上がりの手床です。
親父から聞いていた地元の名人と言われた床屋さんが作った物だろうと思いました。
最初に板入れ仕事をした職人さんも良い仕事をしておりましたが、寸法を直して入れ替え工事をした職人さんが板を壊してしまっていました。
隙間の修正のため頭板を縫い直し、膨らんでしまった口やカマチを縫い止めし、切れてしまった部分の床糸を縫い直します。
口ゴザを入れたりムラを直したり、手床の補修だけでも凄い手間が鰍ゥりました。
下地処理が終わったらようやくカマチ縫い
使用したのは熊本産麻引き表(木村国博さんの品、シングル上品)です。
張りすぎないように、弛まないように、長年の経験と手縫いだからこそ出来る施工です。
張りが強ければカマチ(イグサ)が割れて寸法が詰まり、緩ければ弛んでしまう手縫い仕事の加減は機械では絶対に出来ません。
自分で言うのもなんですが、施工前とは見違えるほど良く仕上がりました。
一見普通に見える荒床ですが下に銅板が張ってあり、その下に温水式パイプが張り巡らせてあります。
床板と畳床はもちろんカラカラです。
施主様にも最初に説明しましたが天然素材の畳は藁でもイ草でも水分が飛んでしまえば劣化が早く進んでしまいます。
ある程度の水分は畳(イ草)には絶対に必要なものなのです。
綺麗に仕上がりました8畳間和室。
真ん中の掘り炬燵の中半(埋め込み式タイプ)は取り外してしまう為、やらなくて良いとの事でした。
7畳仕上げるのに1日半鰍ゥりましたが、この施工の場合、それだけ手間を鰍ッるしかなく施主様も驚きの仕上がりにお褒めの言葉を頂戴しました。
施工が終わった本日の午後からは昨年回れなかったお客様のお見積りと先日ご注文頂いたお客様のお見積りに走り回り、昨日今日と続いた私の仕事始めが無事終了したのでした。
しかし、久しぶりの現場仕事で疲れました。
普通の手縫い仕事よりも大分効いた手床の表替え工事でございました。
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