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『きみとユリイカ』全4巻あらすじネタバレ感想。4月26日は類い希な日

香魚子さんの『きみとユリイカ』全4巻のあらすじとネタバレ感想。
4月26日は類い希な日!
「おめでとう」よりグッときたこの台詞。
「そんな類いまれな日に生まれてきたんだね」なんて言われたら特別感がたまらない!



『きみとユリイカ』全4巻

eureka moment with you
著者:香魚子
発行:株式会社集英社


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『きみとユリイカ』全4巻あらすじ・ネタバレ感想


【感嘆詞】ユリイカ Eureka
ギリシャ語で「発見した」「発明した」「分かったぞ」と喜ぶ時に使われる。
アルキメデスが風呂に入った時、浴槽に入ると水位が上昇することに気づき、上昇した分の体積は彼の体の水中に入った部分の体積に等しいと理解した。
その時、「Eureka! Eureka!」と2回叫んだと言う説がある。

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『きみとユリイカ』全4巻登場人物

●汐見麻衣(しおみ・まい)
 4月26日生まれ
 独り暮らし中の高校2年生で学級委員
 亘理と一緒に暮らすことに

●望月亘理(もちづき・わたり)
 母親が失踪しフィンランドから日本へ
 飛び級で中学は9歳で卒業した
 その後は学校へは通わず

●麻衣の母
 研究者としてアメリカに住んでいる
 亘理の親は古い友達だった
 亘理の後見人になり麻衣との同居を勧める

●久瀬(くぜ)
 麻衣のクラスメイトで学級委員
 麻衣に告白する
●結子(ゆうこ)
 麻衣のクラスメイト
 麻衣の恋を応援
●ケンジ
 麻衣のクラスメイトで脳天気

******** ******** ********
●エマ
 亘理の幼なじみで14歳
 仕事で日本に行く父親について来た
******** ******** ********
●森川小鳥(もりかわ・ことり)
 麻衣の隣のクラスの女子
 1学期は不登校だった美術部員
 彼女がいようが関係なく恋に猪突猛進

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『きみとユリイカ』1巻あらすじ・感想

●あらすじ
木登りしたはいいが降りられなくなった少年と目が合った汐見麻衣は、少年が木から降りるのに手を貸す。
幼い頃に父は他界しており、母はアメリカで研究に勤しんでいる為、麻衣はひとり暮らしをしている。
周囲に気を遣ってばかりいる麻衣は、もうじき誕生日だというのに、母へのメールも控える。
その晩、雨の中、汐見家を訪れたのは朝出会った木登り少年だった。


メモを頼りにやって来た少年だったが、麻衣には心当たりがない。
雨の中、公園で過ごそうとする少年を思わず引き止めてしまった麻衣。
翌日の4月26日は麻衣の誕生日。
麻衣は自分の為にバースデーケーキを焼こうと張り切る。
北欧から日本に来た風変わりな少年・望月亘理は、料理本を見て一瞬でレシピを覚え麻衣を手伝ってくれる。
一緒にケーキを作るのが楽しかった麻衣は、亘理にも誕生日を祝ってほしいと言うのだが、亘理の返事は辛辣で……。
傷ついた麻衣は亘理を追い出してしまう。


●感想
亘理はおそらくネグレクトされて育った子だったんじゃないかな?
ネグレクトなんて想像もつかないであろう麻衣にしてみれば、誕生日を祝ってほしいと言った返事が
「一体何が嬉しいんだろう
君はなんで祝ってほしいの?」
(38ページ)
という愛想のカケラもないものでショックを受けてしまう。
誕生日を祝う意味が分からないと言う亘理には、これまでの人生で誕生日を祝われたことがないのだと思う。


亘理にとって言葉は事実を伝えるものでしかないのだろう。
感情というのは、人間関係や経験によって育まれていくのだろうが、放置されていた亘理には、この言葉は相手を傷つけるとか不快にさせるとか、同じ意味でも別の言い方があるとか、そういうことを相手の態度や表情、声の感じから素早く見極めるだけの経験を積む機会はなかったと思う。
彼にはオブラートに包むという発想がない。
亘理が発するストレートすぎる言葉に悪気は一切ない。
だが、言われた方は、そんな言い方しなくても…と考えてしまう。


冷静になった麻衣は亘理を追いかける。
亘理が麻衣を励ましたかったかどうかは分からない。
でも、48ページから49ページで亘理が言ったこの台詞はやっぱり素敵だと思う。

「僕
誕生日を
祝うなんて
意味ないって
言ったけど

今日
4月26日は

新年から
今日までに
地球が動く
距離が
2天文単位で

地球の
公転軌道の長さと
移動距離の比が
円周率に一致する
日なんだよ

きみは

そんな
類いまれな日に
生まれて
きたんだね」


淡々と事実を告げることで、意図せず他人を傷つけたり不快感を与えたりしていた亘理が、淡々と事実を告げることで麻衣の心をほんのり温かくした場面。
めちゃくちゃ難しいことを言っているんだが何だか泣けるのだ。
麻衣が、自分の誕生日を意味がないと思わなくてすむ一言で、なおかつとても特別感あふれた一言。
まあ、亘理は単に事実を述べただけで、それ以上の何かがあったわけではないかもしれないけれど。


アメリカにいる麻衣の母親が亘理の後見人であることが判明し、麻衣と亘理の同居生活が始まる。
だけど、他人の気持ちがよく分からない亘理は学校でも人間関係に支障を来す。
見た目は麗しいけれど、やはり言葉の使い方が一番の問題なのだ。
そこから先は言わんで良いってとこまで言っちゃうから。


母親の失踪で孤児になった亘理は日本で養護施設に入ることになるのだが、後見人の麻衣の母が普通の暮らしを経験させたくて麻衣と同居させている。
いかに天才と言えど、現状では亘理は将来の希望や夢とは無関係の立場だ。
だからって「僕は寝られればどこでもいいよ」(170ページ)なんて言ったら、今一緒に住んでいる麻衣を傷つけてしまう。
亘理が快適に暮らせるよう気を配っている麻衣との暮らしが、どこでもいい中の一つでしかないと思ったら悲しい。


亘理の発言に振り回されている麻衣だが、同じクラスの久瀬が告白して……。
三角関係展開。

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『きみとユリイカ』2巻あらすじ・感想

●あらすじ
シッカリ者の久瀬に告白された麻衣。
気持ちが通じることはないと分かっていても、麻衣は同居人の亘理が好きだ。
麻衣は、久瀬に何と応えたらいいのか返事に窮する。
そんな麻衣に、久瀬は返事を求めないばかりか今まで通りの友達付き合いでかまわないと言ってくれるのだが……。


そんな中、数学のテストの結果が赤点だった麻衣はひとり追試を受けることに。
家には天才・亘理がいるが、彼には空気を読んで教えてあげるという発想はない為、麻衣はひとり数学に悪戦苦闘する。
告白されたこともあり何となく久瀬に気まずさを感じていた麻衣だったが、久瀬の方から手を差し伸べてくれる。


無事に追試をパスした麻衣は、久瀬にお礼をしようとするが、久瀬の希望で一緒に映画を見に行くことになる。
まるでデートのような展開に麻衣は久瀬に対し罪悪感を覚える。
亘理がひとり留守番をしている家に帰った麻衣が見たのは、亘理の横にぴったりくっついている金髪の美少女で……。


●感想
この頃、熊本で大きな地震があった為、熊本出身の香魚子さんはコミックスのフリースペースで故郷の良い所を紹介している。
私は『こっぱもち』が気になった。


さて、本題。
フィンランドから幼なじみのエマが亘理を訪ねてやって来る。
エマが亘理に初めて会った時、亘理は森の中で地衣類の観察をしていた。
引っ越して来た町に馴染めないエマに、亘理は地衣類について語る。

「たとえばこの
地衣類って
すごく
ふしぎな
生き物なんだよ

菌類と藻類
全く性質のちがうもの
同士が共生して
どんなところでも
適応して生きていける
ようになってるんだって」
(56ページ)


これって人間にも言えることだと思う。
人種とか性別とか国籍とか、人間もそれぞれ違う環境で生まれ育っているけれど、共生して生きていくことは可能だと思う。
亘理は頭が良すぎるし、日本人だから異物として捉えられてきたようだが、彼自身は他者に差別的な態度をとったり考えを持っているわけではない。
周りを見回して面白い物(長所)を見つけようとしてきたのだ。


151ページで亘理は自分についてこんな風に語る。

「僕
昔から
計算や
なにかを覚えるのは
得意だけど
人の気持ちが
どういうもの
なのかはよく
わからなくて

いつも
気がついたら
嫌われてた

謝ろうにも
なにがいけなかったのか
わからなくて
そのうち
人から何
言われても
気にならなく
なっちゃったよ」

何だか切なくなってしまった。
小さい頃からそういうことが繰り返されているならば、おそらく亘理は今は諦めの境地にいるのだろう。
人の気持ちは分からない。
でも、傷つけるのは嫌だと思っている。
だったらはじめから距離をとっている方が、嫌われたとしても気が楽だ。
そんな亘理にとって、ちょっとお節介でお人好しの麻衣は変化をもたらす存在なんだと思う。

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『きみとユリイカ』3巻あらすじ・感想

●あらすじ
麻衣と亘理の共同生活はもうすぐ4ヶ月になろうとしている。
夏休みの宿題が終わっていない麻衣は亘理を頼るが、数学の問題を難なく暗算で解いてしまう亘理の教え方についていけず。
宿題は終わらないまま新学期が始まる。


2学期の始業式に遅刻してきた隣のクラスの森川小鳥に興味を覚えた麻衣。
放課後、廊下で小鳥に呼び止められた麻衣は彼女の絵のモデルを引き受ける。
小鳥は1学期ほぼ不登校だった為、こなすべき課題がたくさんあるようだ。
小鳥はどうやら女子に敵視されているらしく、美術部でも料理部でも冷たい態度をとられてしまう。
そんな小鳥に友達認定された麻衣。
小鳥は亘理と対面して以降、積極的に亘理と接点を持とうとしてきて……。


●感想
小鳥は自分が興味を持った異性にかなり積極的になれるタイプの女の子だ。
例えその男子に彼女がいようがお構いなし。
周囲の人から見れば、横入りして人のものを奪ったとんでもない女だ。
その見方に対して小鳥本人は、奪ったわけではなく自分にウソはつけないからちゃんと伝えて行動したまでだと言う。
しかも、まだ好きなら再度告白して付き合えばいいと提案する図太さを見せる。
こんなん言われたら当事者は激怒するだろうし、周囲の人間もどん引くわ。


うっかり小鳥と友達になってしまった麻衣は、亘理に興味津々な小鳥に同居のことを隠していた。
しかし、小鳥の勢いに負け、同居のことと自分も亘理が好きなことを白状する。
おそらく麻衣は、自分が亘理を好きだと言うことを知った小鳥が引いてくれるかもしれないと1㎜くらいは期待していたと思う。
小鳥が自分に自信がない女子だったら遠慮しただろうが、多分小鳥はこれまで狙った男子に告白して受け入れられなかったことがないのだと思う。
女子から総スカンをくらっても恋に猪突猛進な小鳥が麻衣の気持ちを知ったからって遠慮などするわけがない。
恐ろしいことにむしろやる気になる。


亘理は、夏休みの間もずっと家で麻衣と過ごしていたせいか、麻衣と離れていることに違和感を覚えるようになる。
彼にとってそれはどんな感情なのか。
亘理は菌の観察ほど人間には興味を示していないのだが、麻衣と久瀬が一緒にいるのを見て嫉妬に近い感情を抱く。
多分、本人はそれが嫉妬だとは分かっていないのだろうが、そばにいるべきものがいないことで気持ちが不安定になったのは間違いないと思う。
その結果が突然のバックハグである。
おお!亘理くん、そんなことするんだ!

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『きみとユリイカ』4巻あらすじ・感想

●あらすじ
亘理は無意識に麻衣を抱きしめてしまった。
亘理の行動の真意が分からず、麻衣は亘理と距離をとる。
翌日から麻衣は学校で小鳥に無視される。
もの凄い勢いで友達としての距離を縮めてきた小鳥の態度の変わりように、麻衣は戸惑うばかり。
そんな中、アメリカにいる麻衣の母から亘理に留学話があると連絡があり……。


●感想
頭が良い亘理は、本を読めばその内容を難なく記憶することができる。
だけど、麻衣とともに暮らし、学校へ通うようになって様々な事を知る。
それは本を読んだだけでは得られないもの。
“経験”に勝るものなし。
いかに天才と言えども部屋から出て、実際に目で見て試してみないと分からないことがたくさんあるのだ。

「論理は
偉大だけど
空虚で

実在を
語ることは
できないん
だなって

ニュートンの
プリンキピアを読んで
理解できたとしても

売店での
サンドイッチの
買い方は
その場に
行ってみないと
わからないように

宇宙の
解明も

今日の
サンマの
値段も

一生ひとつの
場所に
とどまっていたら
得られないまま
なんだって」
(63ページ)


最初の頃、それほど学校へ通うことを重要だとは思っていなかった亘理だが、学校へ通うことで麻衣が毎日お弁当を作ってくれるのは当たり前ではないと知り、お昼休みの売店が戦場だと知る。
フィンランドではずっと学校へ通っていなかった亘理に、一般的な人との関わりが大きな影響を与えている。
天才に刺激を与えているのは凡人なのだ。


もうこのまま麻衣の家にいればいいのになぁと思うが、亘理には才能があり、何だかんだでその才能を放っておけない人々がいて、彼を未来へ導いてくれる。
そんな亘理を前に麻衣はどんどん自信がなくなっていく。
そもそもやりたいこともない麻衣は、未来に様々な可能性を持っている亘理のことを素直に応援できず、気持ちがやさぐれていく。


麻衣と亘理の同居生活は半年ほどかな?
亘理は、お互いがお互いを見ている時間は過去で完全に一緒の時間を過ごすのは不可能だと言うけれど、旅立つ前に全く同じ時間を過ごす方法に気づく。

「すき間もない
くらいに
ぴったりと

腕の中に
抱きしめる」
(158ページ)

>*0*<キャアアッ
これだから少女漫画はやめられない!
亘理くん、日本に帰ってくるのかな。
多分、帰ってくるんだろうな。
4巻で完結したのでその後は分からないけれど、帰ってきたらいいな。

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ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)

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