「甲州路」Cタイプのカップリング曲は「あゝ純情港町」です。KIINA.の歌唱はこちら↓
歌詞は歌ネットより。
いわゆる「マドロス歌謡」ですが、海鳥や潮風、三日月に話しかけるかず翼先生の歌詞が楽しいですね。
一度は別れを告げて港を後にしたけれど、それを悔やんで彼女を探しに戻ってきた若い船乗りさん。「潮風さんてば 潮風さん♪」と歌うKIINA.の声もどこか可愛らしいです。
KIINA.は他にどんなマドロスものを歌っていたかなぁと思い出してみたら、オリジナルでは2007年に「あばよ」を、カバー曲では2009年のアルバム「演歌名曲コレクション11〜ときめきのルンバ〜」の中で三橋美智也さんの「あの娘が泣いてる波止場」を収録していました。
KIINA.は今年リリースした「氷川きよしの昭和歌謡史」の中にもこの曲を入れていますね。
粋がって「あばよ」なんて言って船に乗りこんだ船乗りさん。結局後悔してあの娘を探しに港に戻ってきたんですね。
「マドロス歌謡」と呼ばれる船乗りさんを主人公にした一連の曲は、昭和30年から40年までの10年間に大量に作られ、その後急速に衰退していったそうです。
ひとつには、この時期にコンテナ輸送が普及して荷揚げの効率化が進み、船員さんたちの港での待ち時間が大幅に短縮されたこと。
さらには人員整理が進む中、往時は8万人を数えた外航船員が今は2千人ほど。マドロスそのものが絶滅寸前であること。
もうひとつ、マドロス歌謡の流行に対して当時の船員組合からは「酒を呑み、喧嘩をし、港港に女を作るという誤った認識を持たれる」と猛抗議があったそうです。
「続昭和街場のはやり歌」(彩流社)を出された前田和男さんが、マドロス歌謡について詳しく調べていらっしゃいました。
もちろん、KIINA.の「あばよ」にしても「あゝ純情港町」にしても、今この時代にこんな別れや再会の物語が港で繰り広げられているとは誰も思っていないでしょう。
股旅ものもマドロスものも根っこは同じ。いつかそんなマドロスさんがいたかもしれないというひとつのメルヘンを、KIINA.がスクリーンに映し出してくれているのだと思っています。