アルバム5曲めは「夜明け前」
Kiinaの歌唱はこちら↓
https://m.youtube.com/watch?v=76X21PoBFsI&pp=ygUM5aSc5piO44GR5YmN
歌詞は歌ネットより。
https://www.uta-net.com/song/239485/
イントロの第1音から既に不穏な響き。松井先生・水森先生・伊戸先生トリオの作品の中で最も暗く寂しい曲ではないでしょうか。
これまで、様々な作品の中で「連れて行って」とすがった人を振り切ってひとり立ち去って来た主人公が、初めて全てを捨てて手に手を取って行き着いた先の船の上。
「花の命が輝くときは 花燃え尽きて散るときさ」
Kiinaが初めて挑んだ"駆け落ち"の物語りです。
曲のタイトルは、レコーディングの際にKiinaが「『はまなす海峡』ではないのですか?」と訊いたら、松井先生が「『夜明け前』にしたい」とおっしゃったそうです。
真っ暗な海の先に見えないけれど千島があるのなら、はまなす海峡は根室海峡でしょう。千島には渡れない。この船はどこへ向かうのでしょう。
この年のクリスマスコンサートで、西さんはこの曲に「幸せ探して海峡越えた。闇の向こうに明日を見る」と前口上をつけてらっしゃいました。
そうかも知れないし、そうではなく、もうこの先がない旅かも知れない。
たとえば「この世の名残り 夜も名残り…」(曽根崎心中)のような。
松井先生は「聴いた人がどちらに解釈してもいいですよ」とおっしゃってくださる気がします。
Kiinaの低音が響く歌声を聴きながら、このふたりの行末にあれこれ想像を巡らします。
夜明け前の北の海はただ冷たく暗いだけです。
詩もメロディーもアレンジも、Kiinaの大人な歌声も、すべてが大好きな一曲です。