よって、「クリスマス」の前夜祭が「クリスマスイブ」となる。
そういえば、何となく一般的な名称になっているので、「クリスマス」と使っているが、調べるとこれは英語らしい。「キリストのためのミサ」を意味する「Christsmaesse」が転じて、「Christmas」となったとされる。いや、例えば、フランス語では「ノエル」というが、これは「誕生日」の意味らしい。更に、以前少しだけ習ったことがあるドイツ語では「Weihnacht」と表記されるらしく、これは「聖夜」の意味である。
つまり、各国で「クリスマス」を意味する表現が違っていることになる。
また、これは以前から拙ブログでも申し上げているように、「クリスマス」とはイエスの誕生日、ではなくて、「イエスの誕生を祝う日」である。共観福音書を見れば分かるが、イエスの生誕については4種の福音書の中で表現が分かれ、更にはイエスの生誕を一切記さないマルコ・ヨハネ両伝もある。一方で、マタイ・ルカの両伝はイエスの生誕を載せるが、それでも誕生の日付まで分かるわけではない。よって、「誕生日」は確定できないのである。
それでは、何故、明日に「クリスマス」を行うのか？といえば、元々ローマ帝国では冬至であり、更に古代のミトラ教での「太陽を祀る日」であったという。特に後者がイエスをこの世の太陽と見なす考えと習合し、結果として12月25日が「クリスマス」になったとされる。更には、ローマ帝国内で行われていた農耕神への祭りが、ちょうどこの季節に行われており、その時には参加者同士で贈り物をする習慣があったともされ、それが「クリスマスプレゼント」に影響したという説もあるらしい。
キリスト教は元々ユダヤ教からの派生だから、当然に一神教を信仰対象とするのだが、以上の通り、多くの諸宗教や民間信仰等とも習合して、現在のヨーロッパに根付いた様子が分かる。
ところで、クリスマスは西欧を主とするカトリック教会と、旧東ローマ帝国領などに多い正教会とでは、日付が異なっている。カトリックは先ほどから述べている通り、12月25日だが、正教会は1月7日であるという。この違いの由来は、用いている「暦」の違いらしい。
12月25日：グレゴリオ暦⇒【グレゴリオ暦 (Gregorian Calendar)†（国立天文台・暦Wiki）】を参照したところ、「1582年2月24日、ローマ教皇グレゴリオ13世により導入された太陽暦」とあった。現在、国際的に最も主流の太陽暦とのこと。
1月7日：ユリウス暦⇒【ユリウス暦 (Julian Calendar)†（国立天文台・暦Wiki）】を参照したところ、「 ユリウス暦は、ローマの英雄ユリウス・カエサル (英語名ジュリアス・シーザー) によって紀元前45年から導入された太陽暦」とあった。
ということで、カトリック側がグレゴリオ暦に則るのは当たり前だが、お互い破門した相手である正教会側からすれば、ユリウス暦を使うことになるのだろう。そこで、だいたい12～13日程度ずれるため、先の結果となる。
ところで、拙僧のような仏教徒は、今日・明日にクリスマス的な気分に浸ってはダメなのだろうか？とはいえ、仏教はそもそも、セム系一神教のような、苛烈な律法を持っているわけでは無い。だいたい、ユダヤ教やキリスト教（イスラームも入るけど）で信じる「創造主」たる神は、自分以外の神を信じるな、と明言している（いわゆる「モーセの十戒」）。その理由として、自分は嫉妬深い、等とも述べており、嫉妬は危ない感情なので、信じたら他は信じない方が良い。
だが、仏教の場合は実態として「神の有無が宗教としての本質に関わらない」のであり、神はいてもいなくても良い。だが、祈る時には、効きそうな神を勧請する方法が採られるので、神よりも、選ぶ人の主観の方が大事になる。この辺が、一神教と多神教の違いでもある。多神教は常に人が選ぶ側で神よりも優位なのだが、一神教は神が優位であり、神が人を選んでいることになる。
そうなると、仏教徒としては、何か仏道修行の進展に効きそうなら、イエスに祈っても良いと解釈できる。具体的に、どの辺にどういう効き目がありそうなのかは、全く分からないのだが。
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