「恐ろしい疑惑」
【登場人物】
莘月 …狼に育てられた娘
衛無忌 …皇帝の妃の甥
九爺 …医学の知識も高い御曹司
石謹言 …九爺(莫循)の側近
黒石 …漠北王の息子
驪姫 …砂漠の芸妓
為すべきことはすべて行ない、莘月さんも無事に戻るはずだと九爺に話す石謹言。しかし九爺は「だが牢獄でつらい思いを」と言う。皇宮は油断のならぬところ、牢獄に長くいれば、それだけ危険が増す、この件を解決して宮中から連れ出せば彼女の身を守ってやれると。
花籤を仕切った宮女の首を吊った遺体が発見される。その宮女と秦湘に嫉妬していた尹婕妤が組んでいたことが分かり、皇后は尹婕妤を冷宮へ送ることに。
「莘月は無実だったようね。陛下に釈放をお願いするわ」と九爺に言う皇后。
食事に毒が盛られ、莘月は牢獄の中で倒れてしまう。そこに迎えに来た九爺が来る。
九爺は莘月を石舫へ連れて行く。
寝台に横たわる莘月に向い「死なないでくれ。お腹の子供と衛無忌のために。そして私のために」と言う九爺。
九爺が3日間、不眠不休で解毒を続けているが、莘月の毒が抜けないと陛下に報告が。陛下は必ず莘月とお腹の子を助けるように言い、羯族の王と戦っている無忌の作戦に影響がでないよう、この件を密かに調査することを決める。
莘月の容体は今日が峠だと聞いた秦湘は“先日、伝えた玉塔の件ですが、陛下は莫循(九爺)のために莘月を釈放しました。でも彼女は牢獄で毒を盛られずっと昏睡状態に。今日が峠だそうです。どうかこの件を衛無忌に”という文を書く。
九爺の懸命の治療で、莘月は意識を取り戻す。子供を心配する莘月に「安心しなさい。無事だ」と言う九爺。疲れが溜まっていた九爺は、莘月の脈を診ながら意識を失う。驪姫は「彼は4日間ずっと、あなたの看病をしてたの」と莘月に話す。
寝台に運ばれた九爺は、意識のないまま驪姫の腕をつかみ「莘月、無事でよかった。本当によかった」と言う。そばにいた莘月は、そんな九爺を見つめる。
莘月は食欲も出てくる。「他に食べたいものは?」と九爺に聞かれ「じっくり考えさせて。牢獄の食事はひどかったもの」と返す莘月。そこに衛府から陳が来る。「お迎えにあがりました」と莘月に言う陳。謹言が不愉快そうに「静養するならば九爺様のいる石舫が最適だ。具合が悪くなれば九爺様がすぐに診てくれる」と言う。しかし陳は「彼女は若様の子を宿しているゆえ、衛府へお戻りになられるべきです。いつまでも九爺様のもとにいれば妙な噂が立ちます」と話す。「衛府の方は莘月を守ってくれますか」と言う九爺。何も言えなくなった陳は、莘月に「ゆっくりご静養を」と言って帰って行く。
煎じてある薬を見にいく九爺。来ていた紅姑も一旦帰ることに。莘月の隣にいた驪姫は「九爺様も衛将軍もあなたのことを心から想ってる。最高に幸せなことよ。同じ女としてうらやましいわ」と言う。莘月はふっと笑うと「2人から想われても幸せは2倍にならない。一歩間違えば3人とも不幸になるわ」と話す。
外に出た莘月は、九爺がいることに気づき近く。「あなたにずっと聞きたかったの。あの日、陛下と何を話して、どんな約束をたの?なぜ、あなたが前日の件の調査を?」と聞く莘月。九爺は「気にしなくていい。君は戻ったのだから」と言う。無事でよかったと。
“私も母となった身だから、妊娠中のつらさは分かる。九爺様のもとにいると聞いて安心したわ”という秦湘からの文が莘月に届く。それを九爺や謹言、石風がいる中で目を通す莘月。使者は「夫人は旧友のあなたが心配で、ここ最近、安眠できなかったようです」と話す。それを聞いていた石風が「湘夫人は我々商人より口がうまい。眠れないくらいで情に厚いふりを?」と言う。使者が慌てて帰り「よく笑顔で話ていられましたね。私なら…」と皆に言いかける石風。九爺はさえぎるように「お前ならどうした?今後、お前が使者の相手を。失態を演じれば建安から追い出す。砂漠へ行って下働きをするがいい」と告げる。沈んだ声で「分かりました」と言って石風は部屋を出ていく。
「石風は世渡りの術を知る必要がありますな。だが正直で頭がいい。建安の商いも安心して任せられます」と言う謹言。九爺は「石風は志が高いが、建安で成功するには権力者との付き合いも必要だ。ただ今日叱ったことで、権力に媚びてしまわないかと心配もしている」と言う。一体、どう諭せばいいのやらと。
謹言や石風がいる中、外で茶を飲む九爺に「お礼の挨拶をしに皇宮へ行くわ」と話す莘月。九爺が駄目だと言うと「権力者との付き合いも大切なんでしょ?」と莘月は言う。「確かにそうだが、真心を失ってはならぬ。建安の富豪の多くは、最後、金以外の大切なものをすべて失う。この乱れた世で清い心を保てるかは自分次第だ」と話す九爺。莘月は、石風、これはあなたへの言葉よ、かつて私も富豪を相手に商いをしたけれど自分を見失わなかった、私は知り合った頃から変わってないでしょ?と石風の顔を見る。石風は「確かに」と答える。
「私を心配してくれるのは分かるわ。でも現実に向き合いたい。皇宮へ行って陛下や妃にお礼を言わなきゃ」と莘月は九爺に話す。九爺は「宮中では何も食べるな。皇后や湘夫人のところに長居するのも許さない。何かあれば陛下を頼りなさい。衛将軍という盾がある以上、陛下だけは信用できる」と言う。
皇宮へ行った莘月は、陛下に「潔白を証明してくださったお礼に参りました」と言う。体調も回復し、お腹の子も無事に育っていると。陛下は下がろうとする莘月に、子供がいつ生まれるか聞く。「今より3か月のちに」と莘月は答える。
下がりながら“なぜあんなことを?無忌が出産に間に合うか確認しただけ?”と考える莘月。莘月がいなくなったあと“あと3か月か”と陛下は思う。
外で秦元棋と丁玲に会いながら“次々と勝報が届くのに、彼からの返信はない”と思う秦湘。そこに莘月が来る。
莘月は見舞い品のお礼を秦湘に言い、皇后のもとへ行こうとする。秦湘は秦元棋たちを帰し、莘月を寝所へ連れて行く。
皇后の賢さには衛夫人も及ばない、皇后と万謙は万家で最も頭の切れる2人、無忌とあなたの結婚に一族が反対した中、あの2人だけは明確な意思を示さなかった、でも皇后はあなたの力になってくれてる、よく考えてみて、賢いあなたならその理由に気づくはずよ、と秦湘は莘月に話す。そして「毒を盛ったのは私だと思ってる?」と聞く秦湘。莘月はそれには答えず去ろうとする。そんな莘月を「瑾瑜、こう呼ぶべきかしら」と言って秦湘は止める。
秦湘は「どうして羯族の王を討たなかったの?父親の敵なんでしょう?」と莘月に言う。私が胡偉立に恨みを持つ羯族だとしても復讐を企てたりしない、と返す莘月。さらに莘月は、父は私のことを深く愛していたし、ずっと私の幸せを願ってくれていたわ、死に瀕した父に何度も言い聞かされなければ砂漠で復讐の機会を待ってた、あなたと同じく覚悟を決めて胡偉立に取り入り嫁いだかもしれない、だとしても私は胡偉立を殺せば満足よ、あなたは我が子を帝位に就けようとしてる、と言う。莘月の父親は莘月を過去の恨みから解放し幸せを願っていた。一方、秦湘の母は恨みを忘れることを許さなかった。同じ運命を背負いながら莘月だけが自由で不公平だと思う秦湘。出ていく莘月に向い、秦湘は「なぜあなたは莫循にも衛無忌にも愛されるの?私には誰もいないのよ。莘月、あなたが憎い。憎くてたまらない。恨んでやる」と泣きながら叫ぶ。それでも涙を拭き、諦めるもんですか、と秦湘は言う。もうすぐ望んだものが手に入る、あと少しだと。
秦湘の寝所を出た莘月は“秦湘、あなたは1人じゃない。愛してくれる兄さん、何よりもあなたの幸せを優先する李佶、そして賢く可愛い子供まで。陛下もあなたを寵愛してる。あなたは勝手に恨みを背負い自分を見失ってるだけよ”と思う。
莘月は賢明な父のおかげで、どけだけ幸せだったかを実感する。
莘月は最後に皇后に会いに行く。皇后は「いい勉強になったでしょう。今後は慎重に行動しなさい。耐えるべき時は耐えなければ駄目よ」と言う。「ですが耐えがたい時もあります」と莘月は返す。「それでも耐えるよう努力するの。難しいことじゃないわ」と言う皇后。
花を愛で始めた皇后は「私はいつも退屈で時間を持て余してる。花を愛でて過ごすしかないの」と話す。
莘月が皇宮から出て来ると、待っていた紅姑が「やっと出て来た。心配でたまらなかったわ」と言う。そして丁玲も秦元棋と一緒に莘月が出てくるのを待っていた。「あなたと話がしたくて待ってたの。あなたは衛府へ行ったし、子を身ごもったからなかなか会えなかったんだもの」と言う丁玲。「そのほうがいいわ。2人には皇宮と距離を置いて幸せに暮らしてほしい」と莘月は言う。湘夫人もそう願っていると。「湘夫人は私の妹ですから、何があっても守ります。妹はいつかきっと分かってくれるはず。妃となった今でも家族の待つ家があるということを」と言う秦元棋。「彼女は孤独じゃない。でも、本人はそれを分かってないわ」と莘月と言う。
謹言が御者をする馬車で帰りながら、莘月は何度もため息をつく。「ため息ばかりつかれると落ち着かないわ」と言う紅姑。莘月は宮中の人は本当に恐ろしいと返す。さらに莘月は、秦湘だけじゃなく皇后様も、陛下だって同じ、無忌が万家を支持すれば私は従うし、支持せずともその考えを尊重する、無忌には自分の思うようにしてほしい、でも皇后様は無忌を取り込みたがってる、私と無忌の結婚に賛成する素振りを見せたのは彼に恩を売るためかも、陛下も無忌に公主を娶らせ彼との関係を強固にし、彼に万家より自分を選ばせようとしてる、だから皇后様は無忌の意思を尊重して陛下からの縁談を断わらせた、もしかしたら事のついでに万将軍への圧力をなくすために、無忌が陛下の寵愛を失えばいいと考えたのかも、万家の長である皇后様が私を支持すれば誰も反対できない、と言う。
紅姑が「皇后様は、あなたの味方じゃないってこと?」と莘月に聞く。莘月は、断定はできない、皇太子選びの時は無忌は万家を支持したわ、でも皇后様は無忌も陛下のことも信じてない、今回、私を陥れたのが湘夫人だったとしたら皇后様は喜ぶはず、時機を逸さず用意周到に事を行なえば望みをかなえることができるんだもの、無忌は湘夫人を許さない、だから皇后様は手を下さずに最大の敵を排除できる、と答える。話を聞いていた謹言が「君に毒を盛ったのは皇后の仕業だと?」と言う。首を横に振った莘月は、分からない、目的は違えど皇后様にも湘夫人にも私を 殺す理由がある、私とお腹の子の無事を願ってるのは陛下だけ、でもそれも権力維持のためにすぎない、皇宮に行く前、九爺様は私に何かあれば陛下を頼れと言い聞かせた、分かっていたのね、でも今までは無忌に遠慮して言えなかったんだわ、と話す。
秦湘は“これが運命であるなら突き進むのみよ。莘月、あなたと私、間違ってるのはどちら?絶対に私じゃないわ”と改めて決意する。
ーつづくー
莘月が助かって良かった(o´д`o)=3
でも、そのためにまた九爺が…。
驪姫はうらやましがっていたけど、2人に愛はあげられないものね…。
それにしても、誰が莘月に毒を???
秦湘がさらにさらに怖くなった感じヾ(・ω・`;)ノ
母親に言われたことにこだわらなければ、秦湘も李佶と幸せに暮らせたのに…。
せめて子供のことを考えてくれたらいいんだけど。
秦湘が手紙を出していた相手って李佶だよね?
李佶には届いているのかな?
届いていたとしたら、李佶は衛無忌に話してしまうの?
あぁぁ、本当に皇宮って恐ろしい。
いろいろ渦巻いていて、一歩でも間違えたら命取りにΣ(・ω・ノ)ノ
陛下が莘月に子供がいつ生まれるかを聞いたのも意味がありそう。
何なの何なのー!?
衛無忌と莘月のいちゃいちゃだけみていたい…_(:3」∠)_
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陛下も信用できるのかしら。
九爺、本当に辛いくらい献身的です。
秦湘は一人ぼっちじゃないのに、母の恨みで何も見えなくなってる。
復讐、復讐っていったい何がしたいのかも分からない。子どもを皇帝に就かせること?
娘に復讐心だけで一生を過ごさせるなんて実の母ながら酷い。
兄たちはそんなことはないのに・・・母娘関係はそうなるのかな。
それに比べて幸せだけを願う養父に育てられたシン月との違いは一目瞭然です。
利害と利害がぶつかり合う。。。
誰が味方なのか見極めが本当にできない、
複雑な状況。。。
これ以上のことが月兒に起こってほしくないです。。。
その中でわかりやすいのが秦湘ですけれど
お母さんの影響が多大であるとはいえ、
月兒との関係だげでなく、
子どもや兄妹などに目を向けると
楽しく暮らせそうなのに。。。