「断ち切られた想い」
【登場人物】
莘月 …狼に育てられた娘
衛無忌 …皇帝の妃の甥
九爺 …医学の知識も高い御曹司
秦湘(湘夫人) …秦元棋の妹。皇帝の側室
紅姑 …落玉坊の元女将
秦元棋 …琴師
秦元超 …秦元棋の弟
丁玲 …落玉坊の芸妓
万子矜 …皇后
石謹言 …九爺(莫循)の側近
石風 …石風 …石舫の見習い
九爺が石舫を縮小したのは、陛下の目から逃れるだけでなく羯族の野心を抑えるためだと分かる莘月。莘月は九爺が秘密を話してくれたのは私を信頼しているから、私を受け入れてくれるかも、という希望を持つ。
「あと数日で新年よ。前に決めてくれたわよね、再会したその日を私の誕生日にするって。落玉坊で待ってるわ。来なければ、あなたを諦める。でも、来てほしい」と言って莘月は帰ろうとする。九爺は「待ってくれ」と莘月を止め「家族が欲しいか?」と聞く。
「ええ」と莘月は答える。賑やかな家庭がいいわ、とても憧れるの、子供を胸に抱きおしゃべりしている夫婦や、両親や兄弟姉妹に囲まれて暮らす人々に、私は子供がたくさん欲しい、と。「あなたは?」と莘月に言われ、つらそうに「私もだ」と返す九爺。「今晩、聞いた中で一番嬉しい言葉よ」と言い、莘月は部屋を出て行く。
正月。秦元棋と丁玲の婚礼の酒宴があり、紅姑や芸妓たちは一品居へ。
落玉坊へ1人残った莘月は、砂漠で九爺からもらった青い着物に着替え、九爺の来るのを待つ。しかし九爺はいつまで経っても来ない。
ようやく来てくれたと思い嬉しそうに扉を開けた莘月だったが、そこにいたのは衛無忌だった。
青い着物を着た莘月を見て「初めて会った日を思い出す。女子に初めて目を奪われたよ」と衛無忌は話すが、落胆した莘月の耳には届かない。
何も言わず、沈んだ顔で座り込んだ莘月に「建安にいたくないなら、私と砂漠へ行こう」と言う衛無忌。莘月は力なく「砂漠を離れて3年。兄さんの様子を見に帰ろうかしら」と言う。しかし衛無忌が「では決まりだ」と言うと「今はまだ無理よ、やることがある。でも片付けば、たぶん…砂漠に戻るわ」と言う莘月。
雪が降り始め、莘月は立ち上がる。ぼんやりと雪が舞うなか莘月は立ち尽くす。そこに小謙が飛んで来る。小謙には九爺からの"すまない"という文がついていた。部屋の中へ駆けて行った莘月は、その文を燃やしてしまう。衛無忌の前で泣きながら「傷ついてない。傷つかないわ。振り回されるのはご免よ」と言う莘月。
赤い着物に着替えた莘月は、朝しか食べてないからお腹が減った、今日は誕生日なの、麺が食べたい、と言う。元旦の夜更けでどの店も閉まっていると、衛無忌は手料理で麺を作る。「おいしい」と言いながら食べる莘月。
その頃、九爺も1人、麺を食べていた。
莘月は麺を食べた後、酒を浴びるよう飲む。
翌日。昼過ぎまで寝台で横になっている莘月に衛無忌が会いに来る。
「飲んだ翌日、頭が痛くないのは初めてよ」と莘月は言う。衛無忌は香入れに薬草を入れておいたと話す。
石風は九爺に莘月の好意をなぜ拒むのか理解できないと言う。「大切だから手放したのだ」と言う九爺。
九爺は"莘月よ、君を危険にさらしたくない。我が一族の宿命を負えば自由には生きられなくなる。苦しむのは私一人で十分だ。家族を作れない私では、君を幸せにしてあげられない"と思う。
庭師は花の咲かない鴛鴦藤から別の花への植え替えを莘月に勧める。しかし莘月は「そのままで」と言う。
衛府から陳が莘月に会いに来る。明日の早朝、若様(衛無忌)は南山へ出兵する、莘月さんの見送りがあれば活力を得て戦で大活躍なさる、若様の見送りに来てほしいと莘月に頼む陳。莘月は「分かったわ」と言う。
夜。莘月は耳飾りの入った箱と笛を持って石舫へ。
九爺の部屋の前に箱を置き、九爺からもらった笛を吹く莘月。
「"我が心は雪のごとく潔白 月のごとく清明 君に二心あると聞く ゆえに決別せんと来たる 今日 別れの杯を交わし 明日 堀のほとりに立つ 寄る辺なき我をよそに 水は流れ続ける 我が心は冷えわたれど 願わくは真心ある人と 白髪まで添い遂げん" 九爺様。昔の私はこの詩の曲を明るく吹いていたわ。詩の心が分かってなかった。詩を理解した今の私は上手に吹けたはず。でも二度と吹きたくないし、理解したくもなかった」と言いながら莘月は涙を流し、笛を真っ二つに折ってしまう。その笛を箱の横に置き、自分で涙を拭って莘月は立ち去る。
"莘月。君はそうやって強がり、苦しみを心の奥底に隠す。全て分かっているよ"と思う九爺。
九爺は扉まで歩いて行き床に座ると、扉の前に置かれた箱と笛を手に取る。箱の中には九爺との出来事を書いた落ち葉が。「何も言えなかった。怖いんだ、口を開けば君を引き留めてしまう。でも私には家族が作れない」と九爺はつぶやく。
落ち葉に書かれた莘月の想いを読み「君はこんなにも私を想っていたのか。君のためを思って身を引いたが、逆に傷つけたとは…」と言う九爺。
莘月は紅姑宛に歌舞坊や娼妓坊をあなたに託すという置き手紙を書く。ここに戻るとも戻らないとも言えない、だから私のことは忘れて、半月が過ぎたら衛無忌宛の文を衛府の家職に渡して、と。
夜が開け、莘月は荷物と一緒に小淘や小謙の入った籠を持ち、落玉坊を出ていく。
一晩中、床に座ったままだった九爺は、石風に呼ばれた声で我に返り、用意させた馬車に乗って屋敷を出ていく。それを知り、石舫は大騒ぎに。
衛府。出立の時間になっても莘月は来ない。衛無忌は莘月が建安に残ると考える。陳は今回の戦は注意するように、先の戦で大勝利したことで羯族は若様への警戒心を強めている、と衛無忌に話す。さらに朝廷は先の大勝を単なる偶然と考えている、と。「今回は私の力を示す機会だ。大臣を黙らせるには勝利しかない」と言う衛無忌。
馬に乗れない莘月は、砂漠へ行くための馬車を雇う。
莘月がいなくなり、紅姑や芸妓たちは必死で莘月を捜していた。そこに九爺が来る。
紅姑は莘月が置き手紙を残し、いなくなったことを九爺に話す。行き先は砂漠としか書いてないと。
九爺を捜して落玉坊に石謹言たちも駆けつける。九爺は莘月が馬車を雇ったはずだと調べさせることに。
馬車に乗っていた莘月は、敦煌へ向かおうと考えていた。しかし衛無忌が一両日中に南山へ着くと知り、莘月は遠回りをすることにする。
屋敷に戻っていた九爺に、やはり莘月が馬車を使っていたという報告が。"蒼狼印"に莘月を捜すよう伝えろ、と命じる九爺。しかし九爺は、私を避けているならいくら人出を増やしても無駄、狼の群れに戻ったのなら見つかるまい、と思う。
衛無忌宛に書いた莘月の別れの文を、紅姑が衛府に届けさせる。受け取った陳は急いでそれを衛無忌のもとへ。
"砂漠に戻るわ。一緒に行けなくてごめんなさい。私が思うに人生は金銀花のようだわ。絡むのではなく、金と銀が出会い別れる。向き合うことや逃げること縁の有無。あの花から人生の悲喜を学んだ。今回、私は逃げることを選ぶ"と書かれた莘月の文を読む衛無忌。
衛無忌は「君はまた私をだましたな。君がくれた最初の文だ、最後の文にはさせない。莘月、羯族を倒す前に君を捕まえる」と言う。
莘月は宿で入浴していた。そこに怒っている衛無忌が現れる。「なぜ、ここに?」と言った莘月はハッとする。"半月後に文を渡すよう紅姑に頼んだのに、裏切ったのね"と思う莘月。
ーつづくー
今回の衛無忌はすごくよかったー!!
傷ついて落ち込んでいる莘月に余計なことを言わなかったし。
それに手料理まで作ってあげたり(*´ー`*)
あと薬草の香もいいよね。
どうしたの?衛無忌。(←おい)
九爺には言いたいことがある!!
でも、九爺を見てると切ない(;△;)
もどかしくもあり、切なくもあり…苦しい _(:3」∠)_
最後、入浴している莘月に衛無忌がすごく怒っていたけど、見てる私はおかしくておかしくて。
あの後、どうなるのー!?
やっぱり、この2人のやり取りが面白くて好き。(*´艸`*)
↓ポチッと押していただけると嬉しいな。
よろしくお願いします


にほんブログ村
いつもポチッをありがとうございます(*´ー`*)
「大切だから手放した」のは一見なるほどと思いそうだけど、納得いきません。本当に大切だったら手放さないもの。ほら、手放した途端に後悔したでしょ。
「家族を作れない」のが一番大きな理由かな。
肉体的にも状況的にも作れないという意味?
九爺のシン月の幸せを願う気持ちも分からないではないけど・・・・・三度目の正直、仏の顔も三度まで・・・気づくのが遅いよ。
衛無忌はまたバッドタイミングな登場だったけど
本当に辛いときにいつもそばに寄り添ってくれているのは、衛無忌ですよね。
やっぱりシン月に確かめてほしいけど九爺の気持ち分からないでもない…苦悩する姿も様になるけど切ないね(;△;)
でも「全て分かっているよ」って思ってたけど九爺…
シン月のこと分かってなかったよね。やっと気づいたけどもう遅いような…
またまたタイミング悪かった衛無忌だけど麺を手作りしたり薬草用意したり気づかいは、うん、パーフェクト(*^^*)
手紙を燃やしに部屋にかけ込むシン月を見た時の、傘を斜めに雪のかかる衛無忌の姿がカッコよかった(*≧∀≦*)
砂漠に戻ることにしたシン月。
建安で最初にシン月に再会したのは九爺だったけど、建安を出たシン月を最初に見つけたのは衛無忌ですね。
入浴中に現れた衛無忌。
シン月~紅姑が裏切ったと考える前に衛無忌を外に追い出さなくていいの?(*≧∀≦*)
知的で紳士な九爺様が個人的には好きなんですが、
でも、でも、でも!
大切だから手放す、って発想は、違うと思う!
苦労や危険を伴う道を選ぶかどうかはシンゲツが決める事、じゃないのかな??
彼女のためにしてあげた、っていうのは何かちょっと、違う気がする・・・
九爺は本当には、彼女の事を理解していなかったということなのでしょうね。
花がだめになった時。
ブルーの衣装が破れた時。
ここまでは、自分の意思で壊したわけじゃない。
でも笛を真っ二つに折った時。シンゲツは、自ら、最後の未練を断ち切ったのだと思えました。
衛無忌は本当に、今回はパーフェクト!な対応でしたね。
宿で1泊するシンゲツをいち早く見つけたのも衛無忌でした。
どうやって見つけたのか分からないけど、いつも絶妙なタイミング(間が悪い時も)で現れる衛無忌には、才能を感じます(笑)。
次回どういう展開になるのでしょうか?
无忌がどう出るのか楽しみです。
今回は九爺の心が行動に表れていましたね。
自分の掌の中にいるはずの月兒がそうでなくなって。
无忌手作りの麺も美味しそうでしたけれど、
あのブルーの衣装が切なかったです。。。
それにしても続きが気になります!