決着を急げば命を危険にさらすことになると心配する宇文神挙。しかし急ぐのは我が軍と斉の民の犠牲を抑えるため、高緯の暴挙により斉の民は悪政に苦しんでいる、こたびは民を救う正義の戦だと宇文邕は言う。そして「民を傷つけるな。軍紀を乱すでない。背けば即刻斬首」と告げる宇文邕。
高延宗が宮中へ来ると、高緯は物乞いの格好をしていた。「周に攻め込まれ、今や国が奪われんとしているのですぞ」と高緯に言う高延宗。周の軍隊に平陽城が落とされたと。しかし高緯は「平陽城?思い出せぬな。はてどこだ?構わぬ。欲しいと申すならくれてやるがよい」言う。高延宗は宇文邕自ら軍を率いて破竹の勢い、平陽城だけではなく、ほどなくこの鄴にも攻め入ってくると説得しようとする。しかし高緯は「そなたに任せる。いつ攻められても安徳王(高延宗)がおれば、皆、安泰というもの」と何もしようとしない。イラだった高延宗は「奮起せねばこの国が滅びますぞ」と言い、その場から立ち去る。それを鄭児が見ていた。
鄭児は高緯の元へ行き「安徳王が耳障りなことでも申したのですか?」と聞く。平陽城が周の手に落ちたゆえ、反撃せねばならぬと言われた、なれど今の朕に国を憂える気力などないと返す高緯。鄭児は「戦ですか?実は私、書物の中でしか戦を知りません。兵士達が殺し合うさまを一度この目で見て見たいものですわ。陛下、どうか私に見せてくださいませ」と言う。何よりも見たいのは、鎧兜に身をお包みになった陛下の凛々しきお姿だと。その言葉で「皇后のため、朕が自ら全軍を率いてみせるぞ」と高緯はやる気に。
高緯が鎧を着けに行き、鄭児は「狼煙が上がるわ。殿下。この国に戦火が広がれば、あなたは必ずや姿を現すはず」とつぶやく。
西暦576年・平陽の戦い。
資治通鑑には建徳5年、周の皇帝・宇文邕は、14万5千の兵を率いて腐敗しきった斉の国へと攻め入った。新たな進路を用い、皇帝自ら晋州を攻撃。10月下旬、主力部隊は平陽城下に到達すると記載されている。
幕舎で「朕は戦に勝つ光景を皇后に見せると約束したのだ。何ゆえ平陽城のひとつも取り返せぬと申すか」と段韶に怒鳴る高緯。段韶は兵たちは全力を尽くしていると話すが、高緯は「御託はいらぬ。城を取り返せ」と聞く耳を持たない。そこに斛律光が来る。平陽城から知らせが届きまいた、城内には数百の見方が潜んでいる、内外で攻撃し反撃しましょうと話す斛律光。申の刻に門を開け、我が軍を突入させるのですと。
「よい知らせだ」と高緯が喜んでいると「陛下。我が軍が勝つ所を見物しとうございますわ。支度をしますゆえ、お待ちいただけますかしら」と鄭児が言う。顔を見合わせる段韶と斛律光。「出陣はそなたのためだ。言わずとも待つに決まっておろう」と高緯は鄭児に返す。
申の刻が近付くが、鄭児の支度が出来ないため「待て」と高緯は言う。「平陽城では見方が命を賭として門を開けるのですぞ。今我らが攻め入らねば手遅れとなりましょう」と高緯に話す段韶。それでも皇后を待つと高緯は譲らない。
ゆっくりと支度をしている鄭児は「高長恭。あなたが現れぬかぎり斉の国は着々と破滅へ近付くのよ」とつぶやく。
申の刻になっても高緯は出兵しようとしない。我が軍の兵士たちを見殺しにはできないと、救いに行こうとする斛律光と段韶。そこに「平陽城の奪還は相成らず、城内にいた味方は全滅です」という報告が。
「愚かなものよ。好機を捨て、兵の命も顧みぬ。高緯に軍を率いる資格などない。民を傷つけてはならぬぞ。入城」と宇文邕は言い、平陽城へ。
高延宗から宇文邕が北から攻め入り、平陽城を落としたという文が蘭陵王に届く。宇文護の時代は、城を落とした兵士たちが虐殺や略奪を行なったが、こたびは厳しく禁じられているらしい、ゆえに今のところ民は無事だと蘭陵王は雪舞に話す。「宇文邕も分かってくれたのね。戦は国の都合よ。民を巻き込んではいけない」と雪舞は言う。
雪舞は「戦はどうなるのかしら」と蘭陵王に言う。「宇文邕は洛陽を避け北から奇襲をかけた。二つの城を落とせば鄴にたどり着く。されど長旅では兵士も疲れよう。その点では斉軍に地の利があるな。そうとは申せ勝負の決め手は率いる者の才覚だ」と答える蘭陵王。
高緯の頭を抱えている姿に「陛下、恐い顔は嫌ですわ。私を恨んでおいでかと思ってしまいますもの」と鄭児が言う。「そなたは責めぬ。城を守りきれぬ兵たちが悪いのだ」と言う高緯。鄭児は「落ちたのはたかが城ひとつございますわ。敵が欲しがるならくれてやれば済むこと」と言う。我慢できなくなった斛律光は「陛下。城が落ち、味方が犠牲となりましたのも、総ては皇后様ゆえにございますぞ。皇后様。あなたは国のため戦う兵士たちの魂を踏みつけたのだ」と怒る。
「どうしましょう。恐いわ」と言い、鄭児は高緯の胸の中へ。高緯は無礼は許さぬと斛律光に言う。しかし斛律光は「せがれの斛律須達も命を捧げました。国のお役に立つならば恨み言など申しますまい。なれどこたびの戦を見るに、私はせがれの死が悔やまれてなりませぬわ」と言い返す。「陛下の悪政が国を傾けた。馮小憐、斉を滅ぼす腹黒いおなごめ。お前の罪も計り知れぬ。分かっておろうな」と。
「無礼千万。そなた死にたいか」と声を荒げる高緯。斛律光はうなずき「いかにも。ここまできたは蘭陵王の御為。然らずばとうに身を引いておりましたわ。愚かな主君と汚らわしい毒婦に仕えるならば、死んだほうがましと申すもの」と言う。私は死など恐れない、我らが済の国を滅ぼすは、あなたのごとき暗君なのだと。自分を高長恭より下に見ていたと分かり、高緯はこの場で斛律光を刑に処すと言う。段韶は斛律光は名将、苦言を呈しただけで死罪にすれば、かえって敵が喜ぶだけだと止める。しかし高緯は「斛律光がおらねば斉の国は滅びるのか」と聞こうとしない。
虚しさに笑い出す斛律光。「無念かな。実に無念。先帝の後を継いだのが蘭陵王であれば、斉の国はかような有様になど陥らずに済んだものを」と言う。怒りを抑えきれなくなった高緯は、弓の弦で首を絞め、斛律光を殺してしまう。段韶は斛律光に向かい「愚直なる忠義ゆえ命を落としたのだ。何たることか。もはや陛下にはどんな臣下の真心も届かぬ。忠義ある進言さえ受け付けぬ」と涙を流す。そんな段韶を蹴飛ばし「そなたが忠義を尽くす相手も蘭陵王か」と怒鳴る高緯。段韶は牢に入れられる。
鄴も陥落寸前の状況に。鄭児に「こたびは敵の勢いが凄まじい。もはや斉は持ちこたえられぬ。朕には国を治める才がない。されど降伏しとうはないのだ。それゆえ朕は決めた。敵が現れる前に鄴に火を放つ」と言う高緯。噂を流すのだ、敵には朕とそなたが自害したと思わせる、そして密かに宮中を出て、どこかで高緯と馮小憐ではなく、名もなき夫婦として生きていこう、と。「それでもよいか?」と高緯に聞かれ「喜んで」と鄭児は答える。
旅の支度をすると下がった鄭児は、紅萼に"明日、午の刻。段韶を斬首する"という命令を伝えるように言う。"高長恭、段韶を処刑するわ。あなたは必ず現れる"と思う鄭児。
高延宗から斛律光の死を聞き、怒りが込み上げる蘭陵王。私にとっては剣術の師、父のように思っていたと言う。さらに高延宗は民を道連れにし高緯が鄴を燃やそうとしていることや、段韶が明日、処刑されることを話す。
蘭陵王の表情に雪舞は「殿下、約束したわよね。どんなことが起きても一緒に立ち向かうって。何か考えがあるなら隠し事は嫌。私に打ち明けて」と言う。蘭陵王は雪舞の顔を見る。「段韶殿が処刑されると聞いて、あなたが放っておくはずがない。妻ですもの、分かるわ。段韶殿と民を救うには一刻の猶予もない」と言う雪舞。蘭陵王は「段韶殿に伝えてくれ。"決して諦めるでない。必ず助ける"と。今宵、参る」と高延宗に言う。
「分かった」と言い、出て行こうとする高延宗を雪舞が止める。小翠を連れてきてもらえるなら、この家で二人で殿下たちが帰ってくるのを待っていられると言う雪舞。高延宗も義姉上が一緒にいてくれるなら安心だとうなずく。
蘭陵王は家を出た高延宗を追いかけ、今宵、楊士深や仲間たちも呼ぶように言う。「こたびは段韶殿を救い出し、馮小憐と高緯の二人を討つ」と。
雪舞は家の中に戻ってきた蘭陵王に、荷物に仮面や必要なものを入れたと言う。蘭陵王は鄭児と高緯を討つことを雪舞に話すか迷っていた。しかし雪舞は「口にしなくても、もう分かっているわ。高緯と鄭児に立ち向かうつもりなのでしよう。あなたが生き返ったのは、たぶん使命があったからよ。民を救う使命だわ」と言う。
我が一族は民に何を与えただろう、苦難に満ちた暮らしの他には何もない、と言う蘭陵王。雪舞は首を横に振り「蘭陵王がいるわ」と言う。苦難に喘ぐ民にとって蘭陵王は希望だった、亡き後には仮面の義士が現れたわ、殿下、行ってちょうだい、と。「私を止めぬのか」と聞く蘭陵王に、雪舞は「母親ですもの。子供には平和な世で育ってほしい。今まで殿下が決めたことには従ってきたつもりよ。ゆえに信じてる。私が決めたことも受け入れてくれるわよね」と言う。「雪舞。誠、勇敢で得難き女人よ。君を妻に迎えこの長恭、幸せであった」と言い、蘭陵王は雪舞を抱き締める。
高緯と鄭児の身代わりの躯は衛兵の一人と紅萼だった。重大な秘密が外に漏れては困ると、用意をした四喜に高緯は毒酒を飲ませる。
四喜が亡くなった直後、慌てた様子の鄭児が来る。「明日、都に火を放つ。もはや君主ではない。二人して平凡に暮らそう」と言う高緯。鄭児は「宮中で過ごすのも今宵限り。よくお休みなさいませ」と言い、薬を取り出す。「朕は眠りとうない。ずっと起きていたいのだ。そなたを連れて逃げねばならぬ」と高緯は言うが「お休みにならねば気力も衰えますわ」と返し、薬を渡す鄭児。高緯はそれを口の中に入れる。
しばらく経ち、高緯が眠ったと思った鄭児は出て行く。体を起こした高緯は、口から薬を吐き出し"小憐、そなたは何ゆえ朕を欺くのだ"と思う。
蘭陵王は作った小さな木馬と、母の作った木剣、そしていつの日にか父について尋ねるだろうと、自分の似顔絵を平安に残そうとしていた。「この絵を見せてやってほしい」と言う蘭陵王に「やめてちょうだい」と言い、雪舞は座っている蘭陵王を後ろから包むように抱き締める。
「絵などいらない。私が教えるわ。父上はね、世にも稀なる美男子なのよ。母上は出会った時におなごと間違ったくらい。きりりとした美しい目元をしているの。口べただけれど、その目が語ってくれる」と話す雪舞。蘭陵王は立ち上がり、雪舞はその顔を見ながら「まっすぐすっきりと鼻筋が通ってる。口元はね、にっこり笑うとまるで小さな子供みたい。体中に数えきれぬほどの傷があるの。父上はこの世で誰より素晴らしい人よ」と言う。見つめ合った二人は口づけをしながら強く抱き締め合う。
ーつづくー
斛律光がΣ( ° △ °|||)
悲しいけど、すごくすごく立派な死。
蘭陵王府で皆で笑っていた頃が懐かしい。
あの頃に戻れたらいいのに…(;_;)
段韶もどうなってしまうのかな?
鄭児は蘭陵王をおびき出そうとしているし…。
蘭陵王が平安に残したい物と、雪舞が平安に話そうと思う父親のこと。
もう、切なくて切なくて。
最後の蘭陵王と雪舞の口づけも、とても切なかった。
でも、とても素敵でもあって。
残りもあと1話。
どんな結末が待っているんだろう…。
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今週は忙しかったのですねー(;△;)
視聴は進みましたか?
たまってしまうと視聴も大変ですよね…
でも打ち上げお茶会でお会いできたら嬉しいです(*´ω`*)
いつもありがとうございます。
本当にすれ違いばかりでした…。
その中で、高延宗と小翠が結ばれたことが
とても嬉しかったです(*´ω`*)
打ち上げのお茶会でお会いできたら嬉しいです(*⌒ー⌒*)
コメント、有り難うございました♪
高緯と鄭児はどこまで人の命を奪えば気が済むのでしょうか。
自分たちのためにそこまでしなくとも
といまの常識が通じればいいのに、、、
と思わずにはいられません。
まさか四喜たちの命までも。。。
それもこれも高緯は鄭兒を手に入れるために
懸命なのでしょうけれど
鄭兒とともに身勝手に見えることがイタイです。。。
タイトル通り、斉の国がもう・・・ボロボロ・・・
史実通り「馮淑妃の化粧に時間を取られたので平陽奪還はできなかった」
を実施したのですね。鄭児、故意に化粧をゆっくり遅らせて
斉軍を負けるように仕向けたような感じもありますよね
蘭陵王をおびきだすために・・・
好きな男の人のために国まで滅ぼそうとするななんて
鄭児=毒婦・妖婦 がホントにピッタリ
>Berryさん
「この髪型もお髭もよいけどもう少しだけ髪をまとめて欲しいなぁ~」
同感です~~!私はおひげもキレイにして欲しいです~
また、宇文ヨウのお出かけプライベートヘア(?)が
ステキにスッキリまとめあげているので
(私的には)余計にそう感じてしまうかもしれません
いつもうささんありがとうございます
今週のお茶会
果して参加出来るんだろうか…(-"-;)??
「蘭陵王」が悲恋もののお話だとは分かっていたけれど、いつもどこかでハッピーエンドになることを期待していました。
でもでも、どこをむいても悲しいすれ違いばかり。。
唯一の救いは高延宗夫妻でしょうか。
蘭陵王は死を覚悟し、宇文ヨウは余命宣告され、雪舞も何かを心に決めた重い表情・・
個人的にですが、納得のいかない結末になりそうで最終回を見るのが恐いです。。
というわけで、皆さんの意見を聞きたくて、できたら打ち上げのお茶会に参加したいな~って思ってます。。
蘭陵王は、せっかく雪舞と再会した所なのに、また命をかけて段紹を助けに行く決意を固めたたし、それを受け入れる雪舞。二人の最後の抱き合う所は絵になりますね!
もう一組は、身代わりなんていいのでさっさと逃げて姿を消して欲しい~
あんなにつくしたコウガクと四喜が哀れです。自分たちの末路がわかっていたならたかえてなかったろうし。
斜律光も哀れです。忠義をつくして国を守ってますがてきた大将軍です。今頃蘭陵王を皇帝にしなかっだ事を後悔しても遅いけれど、生きてるって知っていたら、絶対に謀反おこしていたよね。
独り言です。
ごめんなさい、どうでもいいことがきになって、、この時代に鉛筆みたいな絵を描くものってなかったはすよね。平安に残すもののが気になりました。
子馬ちゃん、いつも行動が早いけど、もうちょっと、雪舞たちをゆっくりさせてあげてほしかったよ~、攻めてくるのが早すぎです
この非常事態だし、大将軍も大人しく殺されてないでさっさとこのアホどもを誅殺すればいいのにと思ってしまいました^^;
「世にも稀なる美男子」「この世で誰より素晴らしい人」が父親なんて、平安も幸せですね。
最終回が楽しみです。
とってもいい人だったのに~
段韶もどうなるのかな?蘭陵王を誘き寄せるから、殺されないけど…
自らとか、蘭陵王が来たら殺されちゃうとか~
どちらも助かって欲しい
雪舞と蘭陵王のお別れ…大丈夫!帰って来るよね~
切なかったね~涙でたよ~
もう、最終回なんだ~早い
どうなるのかな~
Berryさんに一言
私も無精髭は納得でいいな~って思うのですが…髪縛って欲しいって思いました~
神挙様はいつもスッキリしてる~(*^^*)
うささん、失礼しました~後1話宜しくお願いします。