豆腐というものが日本に伝えられたのは仏教伝来の頃、つまり奈良時代の頃だと言われています。
長い間、僧侶や貴族など特権階級の人々の食べる物だったと考えられており、初めて文献に登場したのは平安時代。
奈良春日神社の供物帖に「唐符とうふ」の文字が登場しています。
その後、鎌倉時代の書簡には「すり豆腐」の文字が、南北朝時代から室町時代にかけては、寺院の書物の中に豆腐に関する記録が急激に増えています。
このことから、肉食が禁じられた僧侶にとって、貴重なたんぱく源であった豆腐が精進料理として広まっていきます。
室町時代以降は、茶道の広まりとともに、精進料理が一般にも浸透し始め、水が良い京都で豆腐が盛んに作られるようになりました。
そして、京都の南禅寺の精進料理の1品として生まれたのが湯豆腐だと言われています。高井和正