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バラの花を追っかけるシニア

ハイブリッドティー系の誕生はモダンローズの幕開けとなる。その後は?

1867年にフランスのギョーによって作出された「ラ・フランス」がハイブリッドティーの第1号として認定されモダンローズの幕開けとなった。ハイブリッド・パーペチュアル系統とティー系統の交配により誕生、オールドローズにない特徴を備えておりバラの全盛期を迎える事になる。とくに、完全四季咲き性の確立と木立性樹形で自立、又、見応えのある大輪の花1輪を咲かせるなどと花形から豊富な花色と個性ある系統が現れてきた。その系統と特徴を見てみよう

バラの系譜図を整理したので参考までに
モダンローズの夜明け
ラ・フランス La France
系統:     HT.    ハイブリッド・ティー 第1号
作出:     1867     フランス  ギョー


以下、モダンローズの系統です。上記フロー図参照して下さい。

1️⃣ハイブリッドティー系統 Hybrid Tea Rose.  略記:HT
上記フローの通り、ティー系統とハイブリッドパーペチュアル系統の交配により誕生したモダンローズ第1号の系統です。
特徴は、1茎に1輪の大輪を付け、四季咲きで、モダンローズの主流を占める。樹高は1から2m弱、花径は10〜15cm。花色は豊富で剣弁咲きになるものが多い。
ハイブリッドティーの名花
  ピース Peace   作出: 1945年 フランス メイアン
花色:クリーム黄色にピンクの覆輪 花形: 半剣弁高芯咲き
ネットでは、ピースは“丸弁高芯咲き”(丸くそり返る)との記載もあります。
半剣弁は、剣弁と丸弁の中間程度の花形をいう。
高芯咲きには3種類☞・剣弁高芯咲き・半剣弁高芯咲き・丸弁高芯咲き
🟢枝変わりで”つるバラ“も多数ある。(クライミング CLHT)

2️⃣フロリバンダ系統 Floribunda Rose.   略記:F
上記のフローの通り、ハイブリッドティー系統にポリアンサ系が交配して誕生した系統です。中輪房咲きの四季咲き種。樹高は1m前後、花は1茎に沢山の花を付ける。
花形は、一重咲き、半八重咲き、八重咲きと様々です。八重咲ではハイブリッドティー譲りの高芯咲きもある。この房咲き性質は、日本原産のノイバラ譲りの性質です。

サラバンド Sarabande         作出:  1957年 フランス メイアン
交配:  Cocorico × Moulin Rouge 樹形: 木立性 開花:四季咲き  花形: 半八重咲き
フロリバンダは花束を意味し、房咲きする性質から名付けられた系統名です
バラ園では、ハイブリッドティーと並んでメインの存在です
4バラ園での合算株数はほぼ同数でした
🟢枝変わり(突然変異)でつる性(クライミング)になることがある。(CLF)

3️⃣ミニチュア系統 Miniature Rose.   略記: Min
上記、フローの通り、ポリアンサ系統にロサ・キネンンシスの矮性種(ロサ・キネンシス・ミニマ)が交配されて誕生した系統です。樹高は30cm前後、樹形は木立性で、2〜4cm程度の小輪の花を咲かせる。花色は豊富ですが、香りは少ない。
🟢突然変異(枝変わり)でつる性もある。

スウイート・ドリフト Sweet Drift  系統:Min.  ミニチュア系統
     作出: 2006     フランス 樹形:木立性 横張り 花期: 四季咲き
     香り: 微香  花色:ピンク  花形:八重丸弁カップ咲き



4️⃣クライミング系統 Climbing Rose.   略記号: CL.  Cl 
いわゆるつるバラである。つるバラを大別すると、ランブラー系統(R)とクライミング系統(Cl)に分けられる。そして、クライミング系統は、①枝変わりによりつるバラではハイブリッドティー系、フロリバンダ系統、ミニバラ系統と②ラージフラワードクライマー系統(フロリバンダ系統クライミング系の交配による)、③そして、元々、つるバラとして作出された系統をクライミング系統と区分されている。

①木立性バラが突然変異(枝変わり)によりつる性となった品種群は、元々の品種名に「つる」を冠する。

つる ブルームーン  Cl.  Blue Moon
系統:  ClHT   クライミング・ハイブリッド・ティー
        作出:1976  オーストラリア 交配: ※Blue Moon の枝変わリ
        樹形:  つる性  開花: 返り咲き  花形: 半剣弁抱え咲き

つる性に突然変異したことで四季咲き性は失われ春の一季咲きとなる

②ラージフラワードクライマー系統  Large Flowered Climber. 略記号: LCl
ランブラー系統のつるバラに、ハイブティー系統やフロリバンダ系統の品種を交配により作られた系統です。「ラージフラワード」とついていますが花の大きさ大小様々です。代表的なバラは、ピエール・ドゥ・ロンサールです。独立した系統です

ピエール・ドゥ・ロンサール Pierre de Ronsard
       系統: LCl  ラージフラワード・クライマー系統
       作出: 1985年 フランス メイアン
交配:( Danse des Sylphes × Handel) × Pink wonder,Cl
      樹形:  つる樹形 開花: 返り咲き 花色: 淡いピンク+アイボリー 複色
      花形: カップ咲き〜クオータ・ロゼット咲き
      表彰: 2006年 世界バラ会議大阪大会にて殿堂入り

③クライミング系統 Cl.        元々つるバラで作出され系統

アンジェラ Angela 
系統: Cl. クライミング系統 作出:1984年ドイツ コルデス
      交配: Yesterday × Peter Frankenfeld  樹形: つる樹形
      開花:  繰り返し咲き


※同じつるバラでも、ランブラー系統とクライミング系統には違いがあります。
クライミング系統は、ランブラー系統よりも枝が太くて硬く、やや曲げにくい特性があり、枝の長さも3m前後迄です。ランブラー系統は6mから長いもので10mもありますので枝の長さは随分と違います。ここではランブラー系統の説明は省略します。

◉ネットでは、クライミング系統のつるバラは「クライミング・ハイブリッドティー系統」「クライミング・フロリバンダ系統」「ラージフラワード・クライマー系統」「クライミング・ミニチュア系統」の4種があると説明があるものもある。と記載されているケースもあります。元々つるバラとしての作出された品種群も加える必要があるかなぁ!

5️⃣グランディフローラ系統 Grandiflora.   略記号:Gr
ハイブリッドティー系統とフロリバンダ系統の交配によりアメリカで誕生した系統です。最初の品種は1954年のクイーン・エリザベスとされています。両系統の長所を取り入れる目的でしたが、ハイブリッドティー系統と区別がつきずらいことからこの系統を認めていない国もある

クイーンエリザベス Queen Elizabeth
   系統: Gr  グランディフローラ系統 作出:  1954アメリカWalter  E.Lammerts
   交配: Charlotte Armstrong × Floradora. 開花: 四季咲き 花形: 丸弁八重咲き
            樹形:  木立性       表彰: 1979年殿堂入り

6️⃣ミニフローラ系統      略記号:MinFl
近年、ミニチュア系にフロリバンダ系を交配して作り出されたものでミニバラより大型で、パティオローズもしくはミニ・フローラと呼ばれることがある。

スイート・ドリーム  Sweet Dream
      系統: MinFl.  ミニ・フローラ系統  作出: 1988   イギリス

ネット情報では、クライミング系統の扱いとなっている
その訳は、本来なら、フロリバンダ(ミニフローラ=パティオ)での登録ですが、
日本の気候では枝が伸びるためクライミングローズとして扱うことらしいですね

以上がハイブリッドティーの作出以降モダンローズの系統でした
しかし、上記の系統に含まれないバラが多くあります
それは
シュラブ系統です 
ではシュラブ系統とは?

7️⃣シュラブ系統 Shrub Rose     略記 S
本来、バラに於けるシュラブという言葉は半つる性となる樹形を指します。樹形には、①木立樹形(ブッシュ) ②半つる性(シュラブ)③つる性 の3パターン。野生種の大半はシュラブタイプであり、オールドローズの多くもそうである。
間際らしいのは、樹形を指す場合と品種系統を指す場合がある。
半つる性の品種系統を指す場合も、シュラブ系統と呼ぶが、モダン・シュラブ系統と呼んで混同を避ける説明もある。一般的には、バラの世界でどの系統にも含め難い品種全般に使われており、その種類は豊富で野生種の性質を持つものもあるが全てつるとしての性質を持っています。花容も品種も様々でつるバラとして魅力的な品種も多い。イングリッシュローズもシュラブ系統に分類されている。
◉シュラブ系統には主に3つのグループがある
❶原種交雑種 Hybrid Species   
※系統図に現れないのでシュラブに含めましたが無理があると。(モダンローズではない) 参考までにアップしました。が如何でしょうか?
野生種に各種のバラを交配して作出したもので、元の野生種の名前をとって分類している。代表的なのはHRg がある。 
○ハイブリッド・ルゴサ Hybrid Rugosa.  HRg.   ハマナシの交配種で多数ある
○ハイブリッド・ムスク Hybrid Moschata  HMsk  ロサ・モスカータの交配種
○ハイブリッド・カニナ Hybrid Canina. HCan.  ロサ・カニナの交配種
○ハイブリッド・コルデシー Hybrid Kordesii. Hkor.  ロサ・コルデシーの交配種
○ハイブリッド・セティゲラ Hybrid Setgera. Hset.  ロサ・セティゲラの交配種
その他、多数あります
バラの改良の系譜には載ってこなくても、野生種を直接の親としている場合が多い為、親の影響を受けて其々が独自のジャンルを形成して素朴な印象の品種が多い。

バレリーナ Ballerina
   系統:HMsk.  ハイブリッドムスク系統 作出:1937年 イギリス ベントール
   開花: 返り咲き 花色:ピンク系 ピンク+白 複色
   花形:      一重咲き  3cm   小輪  樹形:      シュラブ樹形

鶴見緑地バラ園

マックス グラフ Max Graf
  系統:  HRg   モダンローズ ハイブリッド・ルゴサ系統 作出:  1919年 アメリカ
  樹形:   つる性  咲き方:  一季咲き・一重咲き
浜寺公園バラ園


❷アンティークタイプ
イングリッシュローズに代表されるグループである。イングリッシュローズはオールドローズの持つ花形や香りを生かして、四季咲き性を持たせる為、モダンローズと交配してできた比較的新しいジャンルであり、イギリスのオースティンが先鞭をつけ、イングリッシュローズと名付けられたが、現在では多くの育種家が作出している。

アイヴァーズローズ Igor’s Rose
    系統  S.   シュラブ系統(Shrub) 作出:  2004年イギリスAmanda Beales
    交配: Bonica × Roundelay 樹形: 半つる性  横張り性  開花:  返り咲き

グラハム・トーマス Graham Thomas
   系統: S.  シュラブ系統 ブランド:デビッドオースチン(イングリッシュローズ)
   作出: 1983年 イギリス David Austin 
   交配: Charles Austin × (Iceberg × 実生) 樹形: シュラブ樹形 
   開花; 返り咲き  花形: カップ咲き   2009年.    世界バラ大会殿堂入り

中之島公園バラ園
         中之島公園バラ園にはイングリッシュローズは多い


❸ランドスケープローズ
修景バラ。公園などに手入れをあまり必要としないで済む様に開発されたグループです。ハイウエイローズ、ラベンダードリームなどです

以上がですが、オールドローズとモダンローズの境界線というか線引きはどうなのでしょうか?  ネット情報を簡記する

フロー図のガリカ系からランブラー系迄をオールドローズをする考え方が現在では一般的である。かつては人為的に交配されたものをモダンローズとする考え方、ハイブリッドティーローズの親となったハイブリッド・パーペチュアルとティーローズをモダンローズにする考え方など色々あったが、現在はハイブリッドティー以降の系統群をモダンローズとする場合が多い。
又、オールドローズでは成立起源の種類別に系統分けをしているのに対して、モダンローズでは樹形別に系統分けをしているのが特徴である。これからさらに交配が進むとオールドとモダンの線引きが困難になる恐れがある。
その理由は、例えば、ガリカ系同士を交配すればそのバラの系統名はガリガ系であるが、その交配を今日2024年に行ったとしてもガリカ系であることから最新の荒廃種でありながらオールドローズと呼ぶ事がおきる事になる。なので、系統名でのみ表現した方が良いのではないか。と 寄稿者は述べている。

古代から今日まで系統立てて品種改良が進んでいるバラ。植物の中でバラと言う植物だけが交配の技術進化で、花の中の花という存在感ある花となった。
バラの花を追っかけたシニアですが、バラの奥の深さに魅力を改めて感じた次第である。

バラ専用のblog開設しました
よろしくお願いします

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