夫「うちのミーコ。いい人にもらってもらえるといいな。」
妻「それは、そうやけど。・・・こんな所に書かんでも・・・。」
夫「ばか。大事なミーコやぞ。・・うちの魚と同じや。」
妻「ひらめの横じゃ、ねこかどうか分からんよ。・・・それにしても、何で字が薄いの。『子 ね こ』がよく見えんよ。」
夫「ばか。・・どうしても、はっきりと書けんかったんや。・・・。」
妻「何?・・・ミーコを誰かにもらってほしんやろ。・・・分からんなあ。」
夫「・・・・。」
妻「・・・・?」
夫「うちが海鮮問屋でなかったら、こんなことにならなんだ。可哀想なミーコや。」
妻「そうやな。大好きな魚に囲まれとるのに、・・・。そのことが、かえってミーコを苦しめたな。ミーコには申し訳ないことをした。」
夫「ミーコにとっては生き地獄やろ・・?」
妻「・・・・。」
夫「・・・・。」
妻「あんたも辛かったな。ミーコをかわいがっとったもんな・・・。」
夫「・・・・・・・・・・。」
妻「次の飼い主は、海鮮関係だけはさけたいな。」
夫「・・・・。」
妻「『子ねこ』って字。もっとでかい字で、太く書こう。自慢のねこなんやで。」
夫「そやな・・・。」
妻「きっと、優しい飼い主が見つかるさ。」
夫「そやな。海鮮問屋のど真ん中に『子ねこ』や。いい加減な気持ちでは引き取らんやろ・・・・・・。」
妻「次の家では、気楽に大好きな魚が食べられるといいな。」
夫「・・・・・。」
妻「・・・・・・・・・。」