小さな幸せ出会い旅

山乱造の「歩き旅妄想おしゃべり紀行」

○○県○○市「背筋を伸ばせ!」2021.6.2

2021-06-04 09:42:25 | 紀行
青いひごい「お父さん、はずかしいよー。」
赤いひごい「・・・たしかに。・・・まるで、魚の干物だね。」
まごい「・・・この家では、やっとで男の赤ちゃんが生まれたんだ。そりゃ、じいさんもうれしいさ。・・・だから、これくらいはがまんしろ!」
青いひごい「・・・・。」
赤いひごい「おい、お前、泣いてんのか。」
青いひごい「兄ちゃん、鯉のぼりって、5月5日の子どもの日までだよね?・・もう6月なのに、どうして片付けてもらえないの?」
赤いひごい「この地域は、ひと月遅れの6月5日までさ。・・・あと少しの辛抱さ。」
まごい「かわいいお孫さんの健やかな成長を願ってのことだ。・・その力になれるなんて、素晴らしいことさ。・・・お前たちにも、きっと分かる時がくる。」
赤いひごい「お孫さん、元気に育ってほしいね。」
青いひごい「そうだね。元気に育ってほしいね。・・・そういえば、ぼくたちは、雨の日だって泳いだいられるね。」
赤いひごい「そうだ、そうだ。よけいに願いが伝わるってことか。」
まごい「・・・本当だな。」
まごい「おい、お前たち。背筋を伸ばせ、胸を張れ!」
青いひごいと赤いひごい「はい!」
青いひごい「お父さん、長い棒が、串焼きのようにまっすぐお腹の中を通っているから、背筋はバッチリだよ。」
まごい「・・・おっ、そうだな。」
吹き流し「おい、おれはどうなるんだ。風を受けてこその吹き流しだそ。・・・・まあ、いっか。」

岐阜県高山市「調子にのるなよ!」2015.7.31

2021-05-02 15:09:12 | 紀行
子グマ「とうちゃん、こんな道のど真ん中にうんこしていいの?」
父グマ「たまにはいいんだよ。」
子グマ「どうして?・・・ぼくは、ダメだと思うけど・・・。」
父グマ「この森は、もともとは、俺たちクマや仲間の動物たちのものだった。・・・それなのに、人間たちが勝手に道をつくりやがった。」
子グマ「・・・。」
父グマ「本当は人里におりて、人間たちをこらしめてやりたい。・・・でも、それはできん。」
子グマ「どうして?」
父グマ「人間たちを驚かすことはできる。・・・ただし、たぶん俺は二度と帰ってはこれまい。・・・お前たちのことを思うと、それはできない。」
子グマ「とうちゃん、人里におりるのは絶対にやめて!」
父グマ「・・・悔しい!・・・。」
父グマ「だから、たまには、人間たちが勝手につくった道にうんこぐらいしていいんだよ。・・・人間たち、調子にのるなよって。」
子グマ「・・・・・・。」
子グマ「とうちゃん、今度は、ぼくが道のど真ん中にうんこするよ。・・調子にのるなよ!人間たち。」



岐阜県○○市「ファ、イ、トー!」2011.10.3

2021-04-28 09:38:53 | 紀行
中村「鈴木さん、あの子、どうしてグランドの反対側を向いて構えてるの?」
鈴木「本当やね。・・・どうして?」
中村「・・・あっ、そうか。隣のグランドの球ひろいじゃない?」
鈴木「・・・そうだ。隣のグランドで、高校生が練習しとった。」
中村「つらいね。・・・ここ、けっこう、人、通るし・・・・。」
鈴木「かわいそうで、顔、見れない。」
中村「あの子の気持ち考えると、たまらないね。」

鈴木「つらいけど、ファイト!・・・オバちゃん、応援してるよ。」
中村「必ず、将来、生きるよ。・・ファイト!・・ファイト!」
鈴木「ファ、イ、トー!」

岡山県岡山駅前「信じられません。」2016.10.30

2021-03-13 17:36:25 | 紀行
大森「課長、・・・何か不思議です。」
課長「どうした、大森。」
大森「課長、我々は、昨晩、この通りを歩きましたよね?」
課長「そうやなー・・・。」
大森「ここ、昨日の夜も歩きましたよ。」
課長「だから?」
大森「課長、昨晩のこと覚えてます?」
課長「・・?。」
大森「ハロウィーンの行列、すごかったですよ。」
課長「・・・そうや、すごい人やった。」
大森「みんな仮装して、大騒ぎでしたよ。」
課長「そうや、子どもから大人まで、お祭り騒ぎやった。」
大森「課長、今、朝の7時半ですよ。なんで、何も落ちてないんですか?・・・空き缶や紙くずどころか、タバコの吸殻一つ落ちていないんですよ。きれいなもんです。・・信じられません。」
課長「本当やな。信じられん。」
大森「す、ご、い、です。」
課長「確かに、すごい。岡山市民、なかなかやるな。」
大森「はい!」

北海道中川郡「いい町だねー。」2012.2.17

2021-03-06 15:51:31 | 紀行
課長「山田君、なんでこんな所に宿を取ったの・・・?」
山田「すいません。このあたりは、あまり旅館がないんです。」
課長「昼間なのに、人が誰も歩いてないよ。・・・寒いし、気温は間違いなく氷点下。」
山田「旭川より北です。しかも2月ですから、寒いのは仕方ないというか・・・。」 課長「それはそうだが、・・・雲ひとつない晴天なのに、誰もいない。どうなってるの。」
山田「・・・すいません。」
課長「君が謝る問題ではないが・・・。昼間なのに、誰も歩いてない。不思議というか、さみしいというか・・・。」
山田「・・・・・。」
課長「景色は真っ白だけど、暗い町だねー。・・・もう来ることはないと思うけど・・・。」
山田「・・・・・・・。」
山田「あっ、課長。駅の方から、人が歩いてきます。」
課長「おっ、・・珍しい。初めて人に会えるね。」
山田「女子高生じゃないですか。・・学校帰りみたいですね。」
課長「本当や。初めて、まちの人とすれ違いそうや。」
山田「はっ、はい。」

女子高生「こんにちは!」
山田「こっ、こんにちは!」
課長「こっ、こんにちは・・・。」
課長「山田君、いい町だねー。」
山田「そっ、そうですね。本当にいい町ですねー。」
課長「真っ白で、明るくて、あたたかい。・・いい町だねー。」
山田「はい。いい町ですねー。」
課長「山田君、ありがとう。」
山田「はっ、はい。・・・ありがとうございます。」