快読日記

読書とともにある日々のはなし

「独白するユニバーサル横メルカトル」平山夢明 光文社

2008年03月18日 | 日本の小説
表題作の"地図の一人称"はおもしろかった。





春日武彦との対談「『狂い』の構造」がまあまあおもしろかったし、「このミス1位」だし、こりゃ堅い!と期待して。
そしたらこれがちっとも良くなかったんだよ~。
どういうことでしょう。
グロいのが生理的にムリ!っていうんじゃないんです。
むしろ大好きです。

ではなぜいまいちだったのか。

たとえば恐竜の歯の化石が大きいよって言いたいときに、
横に10円玉か何か並べるでしょう。
狂人がそれと分かるのは、あくまでもマトモと思われる人と比較するからなのであって。
そういう「規準」が本作には全く出てこないのです。
登場する人物や状況のほぼすべてが「異常」ってことになっている結果、何が異常なのか全然分からなくなっているんです。
ノーマルあってのアブノーマルだということですね。
これが敗因かと。
■2/22読了