快読日記

日々の読書記録

「廃疾かかえて」西村賢太

2011年09月06日 | 日本の小説
《9/6読了 新潮文庫 2011年刊(「瘡瘢旅行」(2009年 講談社)を改題) 【日本の小説 短編集】 にしむら・けんた(1967~)》

収録作品:廃疾かかえて/瘡瘢旅行/膿汁の流れ

「苦役列車」 「暗渠の宿」に続く、わたしにとっては3冊目の西村賢太の私小説。
主人公・貫多の言動の9割は不愉快だし、読んでて決していい気分になるような話じゃないのに、この2ヶ月ちょっとで3冊目って…。
これじゃあまるでファンだ。
でも、認めたくない。
例えるなら、すごく臭いんだけどなんだか癖になる食べ物みたいなかんじか。
解説で酒井順子は、この魅力を「(何かを好く、嫌う、両方向ともにある)激しさ・過剰さ」であると指摘しています。
同感です。
尋常ではない執着心と、獣じみた暴力性、そして何よりも自分に対してはとことん甘い。
人に厳しく自分に甘いと自認するわたしですが、貫多に比べたら克己心の塊かもね、などと笑いつつ、しかし、何の慰めにもなりません。
ああ、本当にいやなんだけどなあ、なんで読んじゃうんだろう。
この気色悪いほどの引力に、当分逆らえそうにありません。

/「廃疾かかえて」西村賢太
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