快読日記

日々の読書記録

「デンジャラス」桐野夏生

2020年11月25日 | 日本の小説
11月13日(金)

「デンジャラス」桐野夏生(中央公論新社 )を読了。

文化勲章をもらった谷崎潤一郎が4人の女に囲まれてご満悦な場面から始まります。
語り手は、谷崎の義妹(3番目の妻の妹)で、この人選がまずすごくいい!

この義妹目線で一族の人間模様のあれやこれやが語られ、
その奥に君臨する谷崎の姿はちらちらとしか見えてこない気がします。
ところが読後、作品全体を見渡すと、
谷崎潤一郎という男の、いや、「作家」という生き物のおぞましさでびっしり埋まってたんだこの話!という戦慄!!
そこから1ミリも逃げたり目をそらしたりせず格闘し描き切る桐野夏生が凄まじいです。