あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

おちかちゃん編完結

2021-09-26 | 本(文庫本)
宮部みゆきさんの『あやかし草紙 三島屋変調百物語伍之続』を読みました。
カバー絵が白無垢のお嫁さんなので、花嫁さんにまつわるお話があるのかと思いきや、おちかちゃんが嫁いでいきます。
ん? まだ百も怪しい話は集まっていないのにおちかちゃんが嫁いで行っちゃうってことは、途中で終わり?(宮部さんの作品でそんなはずはない!) それとも……。

百物語シリーズの第五作であり、おちかを聞き手とした最終作。「開けずの間」では、行き逢い神に憑りつかれて滅んだ一家の話。「だんまり姫」は、あやかしを呼び寄せる声が起こした不思議な話。「面の家」は災いをもたらす面を守る番人とその家の話。表題作である「あやかし草紙」は、読んではいけない冊子を写した侍の話と、同じ顔をした6人の男と続けて結婚した老女の話。「金目の猫」は14年前に三島屋に出入りしていた金目の白猫の話と、おちかの嫁入りの様子が描かれる。

三島屋での生活でおちかちゃんが恋心を抱いていた青野さんが江戸を去った前作があったので、すっかり油断していましたが、本作でおちかちゃんは三島屋に出入りする貸本屋の幹一さんと夫婦になります。その経緯がまたちょっと怖くて「おちかちゃん、大丈夫?」と心配してしまいますが、そういう人と一緒になるのだから、今後、おちかちゃんの登場は絶対にあるな、と想像したりします。
とにもかくにも、おちかちゃん、おめでとう。

そして問題の今後の百物語の「聞き手」は、三島屋の次男坊・富次郎。商い修行をしていた店で奉公人同士のもめごとに巻き込まれて大怪我を負い、実家の三島屋に戻ってきていましたが、具合がよくなってからおちかちゃんがひとりで務めていた(襖の向こうにお勝さんが控えてはいたけれど)あやかし話の聞き役を一緒に努めるようになります。そしておちかちゃんが三島屋から嫁いでいくと、次の聞き役が彼にまわってきて、第二期がこれからスタートする、となりました。
あとがきで宮部さんが「(富次郎は)おちかのような辛い目に遭っていない分、おちかほど腹が据わってもいませんので、おろおろしながら聞き手を務めるうちに、少しずつ成長していくことになります」と書いています。うふふ。この先も十分期待できそうですよ。
最後に、第一期でいちばん好きな話を挙げると、やっぱりカバー絵を見ただけで泣けちゃう第八話の「暗獣」かな。本作中の「だんまり姫」もお気に入りのあやかし話です。
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