前回の続きです。
以下は、2024年に見た報道特集やドキュメンタリー系の番組で、勝手に付けた自分的ランキングです。
☆1位
メルトダウン File.8 「前編 原発事故・危機の88時間」NHK 2023年再放送
「我々のイメージは、東日本壊滅ですよ」(吉田所長の証言記録:政府事故調)
東京電力福島第一原発事故について、2011年3月11日~15日までの88時間を再現した実録ドラマ。
今は亡き大杉漣さんが出演されています。
内容はとても緊迫していて、見るのがつらくなるほど。
でももし機会があれば、一度は見て欲しいです。
誰も経験したことのない危機を、命をかけて、必死に乗り越えて下さった方々に尊敬と感謝を。
☆2位
「クローズアップ現代 追跡!全国 PFAS汚染 発がん性も?汚染源は?」NHK
有機フッ素化合物(PFAS)の恐ろしさについて、初めて知ったのがこの番組でした。
水や油をはじき、熱にも強く、防水スプレーやレインコート、フライパンのコーティング、泡消火剤などに使用されているPFAS。
主な汚染源は、化学工場、産業廃棄物処理場の汚染水、泡消火剤を多用する基地、空港と言われています。
自然分解されない安定的な物質であり、取り締まる法律もないため、長年放置されてきました。
結果、地下水が汚染され、高濃度のPFASが全国各地の水道水から検出されているそうです。
発がん性、脂質異常症など引き起こす恐れが高いと言われているPFAS。
水道水が安全ではなかったなんて…、他人事でなく恐ろしいです。
“PFAS汚染”全国マップ(河川・地下水等 令和4年度)NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/tokushu/20240612/pfasmap/#4/37.45/137.5
☆3位
第33回 FNSドキュメンタリー大賞「Tokyo Young Homeless 彼らを見つめた半年間」フジテレビ
冒頭、ニコニコしながら楽しそうに路上生活をしている、28歳のホームレスの男性シンさんに密着した番組。
偏見をなくしたいと、においや身なりに気を使い、ボスと慕うホームレスの先輩や同年代の仲間と助け合いながら暮らす半年間の記録です。
彼らが語る、社会で理不尽な目にあって自殺未遂した過去、現在の安らぎある路上生活。
ボスが年齢的な事情で路上生活を卒業、仲間も社会へ戻っていく流れの中で、体調を崩し、どうしようもなくなるシンさん。
不本意ながら生活保護を受け、宿に入るがすぐに路上へ戻ると、彼から笑顔が消え、生活は荒れてしまう。
最後に会った時のシンさんは、新しい服、たくさんのピアスを付け、暗い目をして。
「路上は卒業した、今は忙しい」と去っていく。
見終わってすぐ、やるせない…と思いました。たくさんピアスが自傷行為に見えて。
あんなに目をキラキラさせて頑張っていた人が、絶望して路上生活からも去っていく。
仲間たちのように、少しでも希望をもって社会に戻るならよかったのだけど…。
番組ディレクターの「ホームレスに至るまでの“普通の社会生活”が彼らにとってそれだけ生きづらかった」
「生きづらさを感じる人たちへのまなざしが、少しでも温かい世の中であってほしい」
というメッセージが重く感じられました。
引用:フジテレビ 第33回 FNSドキュメンタリー大賞「Tokyo Young Homeless 彼らを見つめた半年間」紹介ページ
☆4位
「NNNドキュメント24 アボジが眠る海」山口放送
戦時中、山口県宇部市の長生炭鉱で起きた海中炭鉱の水没事故。
183人が亡くなり、7割が朝鮮半島出身だったそうです。
炭鉱の支援団体は遺骨の収集返還を国に求めるも、海中で見えない遺骨は受付不可とのこと。
長年にわたる支援団体の方々の努力、代替わりしていく遺族の深い悲しみ。
番組最後に、炭鉱の坑口の発見と潜水調査があり、遺骨収集が一歩前進したそうで、嬉しかったです。
☆5位
「BS世界のドキュメンタリー『生成AIの正体 シリコンバレーが触れたがらない代償』」NHK(制作 オランダ)
「(私たちは)よく知りもしないテクノロジーをあまりにも信用しすぎている」
セルビア メディア研究者 ブラダン・ヨーラー氏
生成AIに限らず、デジタルテクノロジーを提供する大企業は、その仕組の見えない部分を「クラウド」と呼ぶ傾向があり、内容を伏せる。
これは、決して見ることができない「仕組」について迫った番組ではと思う。
生成AIはデータセットと呼ばれる大量のデータとアルゴリズム(手順や方法)で機能する。
データセットは、大量に集めたデータを細かく分類する必要がある。
それは過酷な作業で、主に行っていたのは世界中の賃金の安い人々だった。
毎日残酷な画像を見続け、自殺した方もいるとか…。
今は自動的にネット上で大量のデータを収集しているが、情報が偏りがちになる。
(例:「美しい」=「裸の女性の画像(エロ)」など)
ChatGPTはバージョンアップごとに計算能力が100倍、コストも約100倍になるそう。
ゆえに生成AIを開発維持できる企業は限られ、独占が生まれる。
大規模AIが内部でどんな動きをしているか、開発者でさえも説明できないブラックボックスであるそう。
そして、生成AIはオリジナルを作り出すのではなく、学習したデータの平均値を導き出すため、生成されたものは「平均的な偽物」になるという。
「何か対策しなければあと数年で、生成AIのコンテンツが人間の作り出したコンテンツの量を超える。
統計学を駆使した高度なシステムが、ガラクタを生み出すために使われている。
AIが作り出した世界に生きるのは、平均値を求める凡庸な世界に生きることだ」ブラダン・ヨーラー氏
引用:BS世界のドキュメンタリー『生成AIの正体 シリコンバレーが触れたがらない代償』
※情報量がすごくて、しかも衝撃的な内容だったのでメモもこんな長く…!
ネット上に生成AIコンテンツが出回ってる今、AIが作った偽物すら学習対象になっているのでしょうね。
偽物から偽物が生まれていく…、恐ろしい時代になったと思いました。
ツールとしてきちんと管理し、本物や正しい情報が汚染されないようにするためにはどうしたらいいんだろう…。
2024年は前半、あまり報道・ドキュメンタリー系の番組を見ていなかったので、後半どーんとまとめて見た感じです。
今年はどんな番組に出会えるかなぁ。
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