(キーワード:バンド、アマチュア、バンマス、ライブ、スタジオ、空中分解、もめごと、トラブル、楽しむ)
バンド活動を長年してきて思うのですが、バンドってもめごとが多くないですか? 空中分解の経験はありますか?
私も経験があります。プロでもよくあることですよね。そこで、アマチュアバンドの楽しみ方について考えてみましょう。
プロやインディーズはお金が絡むので別として、そもそもアマチュアバンドってなんなのでしょうか?
アマチュア = 素人 = 趣味 ⇒ 楽しむ 以外のなにものでもないと思うのですが、なぜ趣味のことでもめるのでしょうか?
ボーリングとバンドを比較してみます。
ボーリング = 個人プレー(団体戦は別)
バンド = 団体活動
人間十人十色。好み、考え方などが同じ人は誰もいません。
例えば、ビートルズは好きだけど、ローリングストーンズは嫌い。ディープパープルは好きだけど、レッド・ツェッペリンは嫌い。松田聖子は好きだけど、中森明菜は嫌い。近藤真彦は好きだけど、田原俊彦は嫌い。このような好みはあげたらきりがないですよね!
バンドは、好みや考え方の違う人間の集りで、曲という一つの作品を作っていかなければならない、という宿命があります。一方、ボーリングには、みんなで何か一つのものを作らなければならない、という宿命はありません。ここに大きな違いがあると考えます。
ボーリングは、自分の思うがままに、好き勝手にやっていても何の問題もありません。※団体戦は別ですが。
バンドでメンバー各自が自分の考え好みで何も決めずにいたら、果たして人に聴かせられるまともな演奏ができると思いますか。
例えば、フェイドアウトのエンディングはどうしたらよいのでしょうか? まさかバンドでフェイドアウトしませんよね。※可能な曲もありますが・・・。普通、エンディングをどうしたらよいのか決める必要があります。そこにメンバーそれぞれの考え方や好みが介入してきます。
フルオーケストラの曲をバンドで演奏するには、編曲をする必要があります。なんらかの形で編曲をしないと、フルオーケストラの曲はバンドでは演奏できません。そこにもメンバーそれぞれの考え方や好みが介入してきます。
これらは一例です。では、もめごとを起こさずに、楽しくバンド活動をするためにはどうしたらよいのでしょうか?
一、バンドは妥協の産物であると認識すること。
好みではないけれども、「この程度ならまあ仕方ないか~」と譲歩することが必要不可欠です。妥協ができないバンドは、確実に空中分解します。しかしながら、技術的に出来ないこと、本当に嫌なことは、ハッキリと言った方がよいでしょう。
一、ベクトルを認識すること。
よくプロのバンドが、「音楽的方向性の違い」という理由で解散・脱退することがあります。これは、プロの使う言葉です。アマチュアバンドは、ベクトルが概ね同じならそれでよいのです。ベクトルとは、数学で出てくる、長さ(やる気度)と方向(好み)を合わせたものです。少々ベクトルが異なっていてもよいのです。それが普通です。
一、自己主張の強い人とはバンドを組まないこと。
バンドは団体活動です。人の意見を聞き入れない、自我を突き通す性格の人にはバンド活動はできません。アマチュアバンドは、どこまでいっても妥協の産物です。協調性がなく、他のメンバーの意見を無視し、個人プレイで目立ちたい人は、弾き語りなどの一人でもできる音楽をお勧めします。
一、課題曲は必ず個人練習をしてくること。
例えば、ドラム担当が個人練習を全くしてこなかったら、全体練習はできません。他のメンバーがどんなに練習をしてきても、ただ無駄な時間を費やすことになります。完璧である必要はありません。それなりにできていればよいのです。他のパートについても同じことが言えます。ただし、特段何の事情もないのに、全く個人練習をしてこない人は論外です。
一、メンバーの状況を理解してあげること。
仕事、生活、体調などは人それぞれ異なります。仕事や生活に追われていては、バンドは二の次三の次になって当たり前です。体調がすぐれないときも同様です。なぜならば、アマチュアバンドの場合、何が何でもバンドを優先しなければならない理由はないからです。メンバーは仲間です、仲間に余裕がない時などは、状況を理解してあげることも大切です。
一、誰かが「汚れ役(悪役)」になること。
バンマス(又はリーダー)がこの役目になるのが一般的です。アマチュアバンドのバンマスの実態は連絡雑用係です。しかし、誰かが音をまとめていかなければ、まともな演奏はできません。本来のバンマスは、曲をまとめるにあたって、どうしたらよいのかを考えています。バンマスの考えとメンバーの考えが対立した時には、バンマスが職権乱用で一刀両断してはいけません。問題が起きた時には、時としてバンマスが汚れ役になることも必要です。
一、細かいことを言い過ぎないこと。
完璧を目指してはいけません。アマチュアなのだから、カンコピバンドでない限り、そこそこでよいのです。特に違和感がなければ、それでよいのです。どうしても違和感のある場合には指摘をしましょう。しかし、細かいことを指摘するのはやめましょう。細かいことを指摘しても、指摘される側の身になってみれば、余計なお世話以外の何ものでもありません。なぜならば、指摘する人はプロでも音楽家でもないただの素人だからです。
一、雑用などを役割分担すること。
一から十まで一人に任せたら、大変な時間と労力を要します。その人は、次第に苦痛を感じてくることでしょう。メンバーが、自分でも出来ることは買って出ましょう。または、協力してあげましょう。バンドは裏方仕事が結構多いのです。メンバーみんなで協力して、一人に負担が集中しないようにしましょう。
一、メンバーみんなで曲を作り上げていくこと。
本来、バンマス(又はリーダー)主導のもと、曲作りをしていきます。しかし、人間である以上、人それぞれ好みや考え方が異なります。メンバーから意見が出てきたら、その意見を尊重し、メンバーみんなで試行錯誤して曲を作り上げていきます。これが、アマチュアバンドの醍醐味です。ここで肝心なのは、バンドは妥協の産物であることを決して忘れてはいけないのです。
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アマチュアバンドは趣味でやっているのだから、「楽しむ」ことが目的です。この基本コンセプトを絶対に忘れてはいけないのです。バンドは「楽しく」です。それ以外のなにものでもありません。
社会人バンドの場合、仕事や日常生活に追われ、時間的に練習する余裕があまりありません。また、人間には感情があります。そこにもアマチュアバンドの難しさがあるのです。
以上は、私のこれまでのバンド経験からの個人的な考えです。
この記事を読まれたアマチュアバンドの方へ。バンド活動が趣味として楽しくできるよう参考にしていただければ幸いです。