メジナ一筋追いかけて、かれこれ20数年が経ちました。私の経験から、メジナ師になるための極意を以下に書いてみます。陸釣り小磯でのメジナ釣りのお話しです。
●メジナの種類
メジナ(写真)、クロメジナ、オキナメジナの三種類です。メジナは俗称「口太(クチブト)」とよばれます。さらに、地方により、関東では「メジナ」関西では「グレ」九州では「クロ」といいます。クロメジナは尾びれがメジナより長いので、俗称「尾長(オナガ)」とよばれています。尾長は口太よりパワーとスピードがあるので、メジナ師にとって羨望のメジナです。クロメジナとオキナメジナは、小磯ではめったにお目にかかれません。以下、一番身近な口太のお話です。
●メジナは特別な魚
町の魚屋さんやスーパーでメジナを買ったことがありますか? この魚は、磯魚のため漁ができません。よって、店頭販売しておらず、一般家庭の食卓にのることはまずありません。釣り師しか接点のない特別な魚なのです。ブルーアイズのとってもかわいいお魚です。
●メジナの食べ方
磯魚なので、基本的に磯の香りがします。刺身がベストです。冬場の脂ののったメジナの刺身は美味しいです。塩焼きは25㎝くらいのサイズがよいのですが、磯の香りがします。煮つけも25㎝くらいのサイズで、生姜で匂い消しをすると磯の香りがあまり気にならなくなります。磯の香りが苦手な場合は、ナメロウにしましょう。
●メジナと狩猟本能
私のように、メジナ専門の釣り師は多いです。メジナ専門の釣り同好会も全国に沢山あります。なぜかというと、この魚は、現代人の眠っていた狩猟本能を掻き立てるのです。狩猟本能は、生存本能であるため一度目覚めると虜になってしまうのです。何故、狩猟本能を掻き立てられるのかは謎です。鮎も似たようなところがあります。冬はメジナ、夏は鮎、という釣り師もいます。
●メジナ釣りの大敵はメジナ
手のひらよりも小さいサイズのいわゆる小メジナ(俗称:コッパ)は、非常に厄介なエサ取りです。夏場にコマセを撒くと、10㎝くらいの小メジナがウジャウジャ群がってきます。サシエは一瞬でなくなるか、小メジナが釣れてしまいます。非常にすばしっこいので、かわすのはほとんど不可能です。小メジナが湧くと釣りになりません。最強のエサ取り軍団なのです。
●メジナのサイズ
上述の「コッパ」はメジナ師にとってはメジナではありません。「手のひら」サイズと言われている22~23㎝以上からメジナです。このサイズなら釣るのに力も技術もいりません。「足の裏」サイズと言われている26~27㎝くらいになってくると引きが強くなるので、メジナ釣りの面白さが出てきます。30㎝オーバーなら立派なメジナです。結構、遊ばせてくれます。
●メジナ釣りの基本
①季節や場所によって当たりエサが変わります。当たりエサを選びましょう。②タナは2ヒロが基準となります。あとは状況によりタナを探ってみましょう。③コマセとサシエを同調させます。この①②③が基本中の基本になります。さらに、潮が読めるようになると釣果がアップします。
●メジナ釣りの基本タックル
竿は、磯竿1.5号の5.3m。リールは、道糸3号が150mくらい巻けるスピニングリール。レバーブレーキタイプが有利で面白いですね。道糸3号、ハリス1.5号、円錐ウキ2Bが基本になります。釣具屋さんに行くとメジナ用のタックルや小物類が沢山あります。ウキと針は迷うほどあります。肝心なことは、安物の竿とリールだけは避けることです。
●メジナの性格
メジナは潔いよい魚です。釣った瞬間は縞模様になります。これは怒っているのです。サバやカツオは釣られても、釣られたことに気が付いていないのかまだ泳いでバタバタしています。メジナは釣られてしまうと、一度怒って縞模様になりその後観念したかのように、じっとして暴れません。釣られるまでは理性があるかのように本気で抵抗しますが、勝負に負けたら観念する腹の座った性格の持ち主です。リリースすると空中で尾っぽを振ってバイバイしてくれます。
●メジナ師になるためには
40㎝オーバーを釣ったらメジナ師の仲間入りです。といっても、簡単には釣らせてくれません。メジナは大きくなるほど警戒心が強くなると言われています。学習能力があるということでしょう。絶対数も少なくなります。ということは、フッキングさせるだけでも簡単ではありません。フッキングしたとして、ここからメジナとの勝負が始まるのです。40㎝オーバーになると、アワセを入れてもびくともしません。次の瞬間に、岩礁に向かって突進します。岩礁でハリスをこすって切ろうとします。ハリスが切れなくても、岩礁に潜り込んで、ヒレを張って出てきません。アワセを入れて動かなかったら、大物と判断しましょう。地球は論外です。
●40㎝オーバーを釣るためには
メジナの引きは、瞬発力があり強いのが特徴です。それなりのタックルと技術が必要です。タックル(竿、リール)は安物でなければなんとかなります。リールはレバーブレーキが有利です。アワセを入れて大物の予感がしたら、一発目の突込みが強力なので、まずここは踏ん張ります。そして、岩礁に突っ込まれないように、竿さばきで岩礁から引き離します。それでも、岩礁に向かって何度も何度も突っ込みます。踏ん張っているだけではハリスが切れてしまいます。突っ込んだら、レバーブレーキを緩めてハリスが切れないように少し糸を出します。メジナがひるんだすきに、竿先をやや下げながら一気にリールを巻き竿を立てます。この繰り返しを何度かします。そうこうしているうちに、さすがのメジナも疲れてきます。ウキが見えたら一安心です。
2号以上のフロロハリスなら、力任せに釣ることができるので、そんなに難しくはありません。しかし、あまり太いハリスだと食いが渋いので、通常1.5号を基準に使います。1.5号で40㎝オーバーを釣るためには、そこそこの経験が必要です。
夢の40㎝オーバーを釣ってメジナ師になりましょう (^^)/