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YOUTH

青春とは人生のある期間ではなく 心の持ちかたを言う
by Samuel Ullman

令和2年10月の読書

2020年11月02日 | Weblog

読んだ本の数:25
読んだページ数:8024

中山七里氏の作品が多かったのですが、最も感じ入った作品は南杏子「ブラックウェルに憧れて」でした。
また藤原かずえ「テレビ界「バカのクラスター」を一掃せよ」は現代におけるテレビ情報番組のあり方に問題を投げかけており、大変参考になりました。

 


もっこすの城 熊本築城始末もっこすの城 熊本築城始末感想
日本の城郭研究の第一人者である千田嘉博先生は、何度もNHK BSの番組「英雄たちの選択」で拝見しています。そのような方にいろいろとお話を伺ってできたこの作品、慈愛に満ちて城づくりの原点にたどり着くような感じがいたしました。築城家木村藤九郎は架空の人物ですが、息をしていまそこにいるような描き方でした。熊本城は二度ほど拝見していますが、御存知の通り地震の被害が膨大で、崩れた石垣には涙を堪えられませんでした。お城の再興がなったら、改めて本書に目を通したいものです。
読了日:10月29日 著者:伊東 潤


トッカン 特別国税徴収官トッカン 特別国税徴収官感想
大変時間がかかりました。それは働く人への敬意があまり見られないまま話が進むから。税務署のお仕事は他の官僚の仕事に落ちたから仕方なくやるのでしょうか?税金を滞納する人はみな悪人なのでしょうか?文字の上ではそんなことは書かれていませんが、全体を通して人間の尊厳を感じられません。(最後の方は良かったけれど) このシリーズ読もうと思っていましたが、私の趣味には合わないようなのでこの一冊のみで止めにしました。
読了日:10月28日 著者:高殿 円


僕の神さま僕の神さま感想
小学五年生の佐土原くんの葛藤が描かれている。深い観察に基づく推理をするのはクラスメートの水谷くんは「神さま」というあだ名で呼ばれている。上手に不穏な空気を描いていると思います。クラスメートの川上さんの日常的に受けているらしい虐待が、読者の心に大きな比重を占めさせます。
「桜茶」は多分桜湯のことで、そしてめでたい朱を表現するため使われるのは通常八重桜です。これをあえて異なる表現をしている意図は何なのかと、もやもやが残っています。
読了日:10月24日 著者:芦沢 央


ブラックウェルに憧れてブラックウェルに憧れて感想
世界で初めて「医師」と呼ばれた女性エリザベス・ブラックウェルの名が題名につけられたとおり、女子受験者への一律減点など不正入試が行われていた医科大学を始めとする医学界における女性差別を扱った作品です。医学界に関わらず、生理、出産などによる休暇取得を理由とした差別は続いています。その状況を上手に描ききった作品でした。私は差別した方の立場でしたが、未だに解は見つからないように感じています。それは組織に余裕がないことが一番、そして既得権を離さない偏見が二番なのでしょう。女性の立場の憂鬱さが強く伝わってきました。
読了日:10月23日 著者:南杏子


スタート! (光文社文庫)スタート! (光文社文庫)感想
今は誰でも動画を撮って公開できる世の中です。そこであえて劇場で見る映画に求められるものは一体何なんでしょうか。私は写真を趣味として撮っていますが、写真の世界でもデジタルを拒否しフィルムにこだわり続ける方がおられます。お金持ちの道楽だと思ってはいますが、大学生の頃白黒フィルムで撮って現像していたことは懐かしく思い出されます。今年観た「キャッツ」のCGには流石にやりすぎだと感じましたが、いまやデジタルの技術抜きには映像を語れない世の中になりました。一方で、劇場で聴く音楽はCDなどとは別物だと思っています。
読了日:10月22日 著者:中山 七里


テミスの剣 (文春文庫)テミスの剣 (文春文庫)感想
「静おばあちゃん」からの流れで手に取りました。渡瀬がまだ浦和署の巡査部長だった昭和59年不動産業の夫妻が殺された強盗事件が起きる。後に埼玉県警へ異動となった理由が徐々に明かされる。中山七里氏の他の作品ともあちこちでクロスオーバーして、楽しい一方ややこしさも感じました。最後にカップルとなった葛城公彦と高遠寺円が静の墓参りに訪れて、これで「静おばあちゃん」シリーズは幕となりました。
読了日:10月21日 著者:中山 七里


ランウェイ (下) (角川文庫)ランウェイ (下) (角川文庫)感想
下巻も再読。私が社会人となった1970年、東京出身の同僚はおしゃれにアイビー・ファッションに身を包んでいました。ヴァンヂャケット(VAN)」の創業者の石津謙介氏もこの作品の主人公柏木真昼のように、人を飾りたいとの志が大きかったのでしょうね。ストーリーはとにかくスピーディーで休む暇もなく、ページからページへと驚くべき展開をしていきました。また来年も読むかもね。
読了日:10月21日 著者:幸田 真音


ランウェイ (上) (角川文庫)ランウェイ (上) (角川文庫)感想
再読。改めてページを繰ってみると、そのスピード感に圧倒されます。そもそもファッションには縁遠いいワタクシですが、ファッション業界が下火になった理由に、働く女性が増えたことにより働いたり、普段の生活をするための服しか買わなくなった、というのがあるそうです。上巻の最後に全く予想もしていなかった不況が業界を襲いました。今後の展開やいかに。
読了日:10月21日 著者:幸田 真音


テレビ界「バカのクラスター」を一掃せよテレビ界「バカのクラスター」を一掃せよ感想
藤原かずえ氏はマスメディアの報道の劣化を強く憂いている。氏のツイッターで見られるように、いろいろなコメンテータの発言を細かく分析し、以下の結論に至っている。「民主主義社会において、国民は選挙を通じて権力を有する政治家を落選させる権力を持つ。一方で、国民の電波を独占的に使って、「報道の自由」の名の下に、国民を自由にマインド・コントロールする、絶大な権力を持つテレビ局に対して、国民は全く無力です」。報道は是々非々の両面から公平にしてもらいたいものです。私はそれらの番組を見ていませんが。
読了日:10月20日 著者:藤原かずえ


交響録 N響で出会った名指揮者たち交響録 N響で出会った名指揮者たち感想
139ページから始まるクルト・マズアのページでは、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団が東ドイツだった話などが出てきて、その指揮者の色が伺える。ロジャー・ノリトンのピリオド奏法も興味深かった。また筆者がいろいろな指揮者から推薦状を獲得する話もおもしろい。クラシック演奏に暗い私でも色々と楽しめる一冊でした。
読了日:10月19日 著者:茂木 大輔


静おばあちゃんにおまかせ (文春文庫)静おばあちゃんにおまかせ (文春文庫)感想
読メの皆さんの感想を読んで、「ドビュッシー」を遡って来ましたが、「要介護探偵」よりも事象としてはこちらがあとなんですね。それにしても最後にはびっくりしました。更に静さんシリーズをさかのぼりたいと思います。
読了日:10月17日 著者:中山 七里


海路 (テーマ競作小説「死様」)海路 (テーマ競作小説「死様」)感想
活字が大きくて童話かと思いました。藤岡作品らしく、淡々と淡々とストーリーが進んでいきます。私がお世話になっていた耳鼻咽喉科の先生はおいくつだったのか、キビキビとした看護師がサポートしていましたが、一昨年に閉院し昨年お亡くなりになったことを思い出しました。はたして人生の目標とは何でしょうかねぇ。死んでしまえば「是故空中」ですが生きている限り悩みはつきませぬ。
読了日:10月16日 著者:藤岡陽子


静おばあちゃんと要介護探偵静おばあちゃんと要介護探偵感想
さよならドビュッシーからずいぶん遠くに来ちゃいました。読メの皆さんの感想を見ると静おばあちゃんも別のシリーズの主役なんですね。しかも本作の続編「銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2」が最近(2020.10.12)に出たばかり。よくまぁ五話も面白い話を作り出すものだと感心しきりですが、なかでも第五話が一番のお気に入りです。当地でも農業部門で外国人労働者がたくさん働いています。彼らともウインウインの関係でありたいものです。
読了日:10月15日 著者:中山 七里


へんぶつ侍、江戸を走るへんぶつ侍、江戸を走る感想
亀泉きょうのデビュー作で宝暦の「郡上一揆」を題材に描いた作品です。御駕籠之者を務めている明楽久兵衛のあがめる歌姫「愛乃」の大首絵のすだれを発注したところから物語は始まりました。すだれ屋の娘「津ね」も重要な登場人物でした。巨悪に立ち向かう久兵衛が江戸の街を疾走する一方、郡上藩の幕閣を巻き込んだ重い課税。そして将軍家重の狙い通りに商人の活動に課税する運上金が制度化される。宝暦の時代の歴史を楽しく勉強した気分です。
読了日:10月13日 著者:亀泉 きょう


すぐ死ぬんだからすぐ死ぬんだから感想
NHK BSP のドラマを先に見てしまっていたのでどうかと思ったのですが、やっぱり小説は面白い。ドラマでは描ききれないことがたくさんありました。ただ読んでる最中に三田佳子さんの顔がチラチラするのにはまいりました。私も品格のあるなしに関わらず衰退の道を走っている一人でありますが、この表紙絵の皆さんのリュックよりファッショナブルな製品を背負っております。しかし、靴は元ランニングに使っていたもんなので、残念ながらちょっと近いのかもしれません。
読了日:10月13日 著者:内館 牧子


掟上今日子の推薦文 (講談社BOX)掟上今日子の推薦文 (講談社BOX)感想
作者のあとがきに「表紙を書いたVOFANさん」への感謝が載っていたので改めて表紙絵を鑑賞したところ、作者の名前が回分なのに気づいた次第。いまごろ感はありますが。さて、前巻とは異なる依頼者=ワトスン君で意外な感じでスタートしました。親切守(おやぎりまもる)はガードマン?。絵画をめぐる話なのですが、絵画についての記載は少ないママお話が進みました。掟上さん、結構人前で裸になるの平気だったんだなぁ。
読了日:10月12日 著者:西尾 維新


掟上今日子の備忘録掟上今日子の備忘録感想
皆さん書かれていますが、すごい登場人物のネーミングです。「おきてがみきょうこ」「かくしだてやくすけ」そして軽快なストーリー展開。一日で解決する探偵なので話の展開が早く、ドラマ化もしやすかったのでしょうか(見てませんが)。25歳で白髪、過去に何かあったのでしょうが明かされません。最後の一行が気になるので続きを読もうと思います。
読了日:10月12日 著者:西尾 維新


雲を紡ぐ雲を紡ぐ感想
盛岡市で大学4年間を過ごした身としては、美緒が自転車で走り回る市内の景色が走馬灯のように流れてとても楽しいひと時でした。共働きの両親とも仕事がうまくいっていない。娘の美緒もいじめをに耐えられなくなって不登校となっている。救いを求めたのは父方の祖父が営む山崎工藝舎。盛岡駅から銀河鉄道で渋民の一つ手前の駅滝沢で下車する。宮沢賢治の世界です。祖父と祖母との関係も複雑な絡み合いがあって、全てが紡ぐ前の羊毛の塊のよう。とても懐かしく心おだやかに読み終えました。
読了日:10月11日 著者:伊吹 有喜


さよならドビュッシー 前奏曲(プレリュード)~要介護探偵の事件簿 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)さよならドビュッシー 前奏曲(プレリュード)~要介護探偵の事件簿 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
「さよならドビュッシー」のちょっと前の時間設定なので「前奏曲」。短編集だし、音楽のことはあまり出てこない、サブタイトルにある通りの「要介護探偵の事件簿」でした。曲を聞き分けながら読み進めた「さよならドビュッシー」からするとちょっと拍子抜けですが、ミステリー短編としてはとても面白い。レコード管理についての場面はとても懐かしく読みました。
読了日:10月10日 著者:中山 七里


母と神童 (小学館文庫)母と神童 (小学館文庫)感想
【再読】NHK教育(現 NHK Eテレ)の1993年11月20日放送の英会話Ⅱに五嶋みどりさんが出ていました。(https://www.youtube.com/watch?v=Pb_4bEbofrU)練習時間やタングルウッドん奇跡、ファウンデーションのことなど明るい言葉でお話になっていました。本書を読む限りはもっと暗いイメージでしたが、なかなかどうしてこのビデオのテーマ(The former prodigy coming of age.)通り素敵な女性に成長なさっていました。
読了日:10月05日 著者:奥田 昭則


おやすみラフマニノフ (宝島社文庫)おやすみラフマニノフ (宝島社文庫)感想
おおおお!解説が仲道郁代様ですよ!ミステリではありますが、メインは音楽小説ではありませんか。最後の場面でラフマニノフ前奏曲嬰ハ短調「鐘」を弾かせるために作られた小説かと思ってしまいました。「クレムリン宮殿の鐘の音を模した大小の和音が交錯し、最後の一音が空気に消えていった」。ストラディバリウスのチェロの紛失、東海地方を襲う嵐、数々の演奏会妨害工作、貧しいヴァイオリニストの卵、一癖ある音大仲間。そして岬洋介先生の謎解きが始まる。
読了日:10月04日 著者:中山 七里


トライアウトトライアウト感想
藤岡作品、気づいたら6冊目。主人公が大変な思いをして暮らしていても、淡々と表現された日常に悲壮感が少ないのでスラスラ読めます。題名からしてあまり興味はありませんでしたが、野球はほんのお飾りでした。しっかり仕事をしているのに望まない部署への転属となった主人公の可南子、球団に放出された選手深澤。二人の生活がどこかで絡みだし、生きていくことの本質を見いだせそうな内容でした。
読了日:10月04日 著者:藤岡陽子
猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち (講談社文庫)猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち (講談社文庫)感想
東大法科トップの成績。そんな主人公が・・・面白い話になるはずです。結婚相談書を利用し、百瀬太郎の情けなさを引き出しながら、最後にその理由を明らかにするとはね。霊柩車が盗まれる、老婆が片方の靴のみ水を使って磨き上げる、聴力を失ったチンチラ。これらがまとまって大団円を迎えることがあろうとは、予想すらさせない描き方でした。
読了日:10月03日 著者:大山 淳子


永遠をさがしに (河出文庫)永遠をさがしに (河出文庫)感想
トワとは永遠なのかTOI(仏)なのか。お母さんはプリオン病(調べたらクロイツフェルト・ヤコブ病や狂牛病もその一種)、その弟子のチェリストは突発性難聴でやがてすべての聴力を失う。中山七里の岬洋介も突発性難聴でしたね。音楽家が聴力を失うことの大変さを、本書ではあまり深刻にしていません。あまりに有名なカザルスの鳥の歌。私は堤剛のドヴォルザークを聴いたことがあります。すごく良かった。弦楽器は幼少の頃からの練習が不可欠のようです。「きらクラ!」でおなじみの遠藤真理さんの演奏を聴いてみたいと思っています。
読了日:10月02日 著者:原田 マハ


晴れたらいいね晴れたらいいね感想
5年ぶりの再読。以前は2015年から1944年にタイムスリップしたと解釈していましたが、一晩で雪野サエの1年間を夢見たのではないかと思うようになりました。いずれにしても過酷なマニラでの看護経験は高橋紗穂の意識に貴重な経験として残り、この先々の看護に大いに役立つのではないだろうか。
読了日:10月01日 著者:藤岡 陽子

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