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YOUTH

青春とは人生のある期間ではなく 心の持ちかたを言う
by Samuel Ullman

9月の読書メーター 27冊

2020年10月02日 | Weblog

9月の読書メーター
読んだ本の数:27
読んだページ数:9557
ナイス数:617

いつまでもショパン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)いつまでもショパン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
ベートーヴェンシリーズを読んだら中山七里呪縛に捕まって、本棚にあった本作を開きました。参考文献を見るとアシュケナージのCDが並んでいますし、謝辞には仲道郁代さんの監修を受けたとある。さらに解説は清塚真也ではないか。もう卒倒しそうです。
読了日:09月30日 著者:中山 七里


手のひらの音符 (新潮文庫)手のひらの音符 (新潮文庫)感想
45歳の服飾デザイナーである瀬尾水樹、恩師の入院を機に故郷へ赴き、幼馴染の3兄弟はじめ、幼児から青春を過ぎした日々をを邂逅し、明日を生きる力を見出す。ただ、音信不通であった堂林健吾はどうやって水樹と連絡が取れたのだろうか。SNSもやってないとなると、個人情報の壁が厚くて探し出すのはなかなか大変であろう。そこがキーになるだけに何とも。貧しさとか、世間が許さない愛とか、特に強調するでもなく、市井の人間の前向きに生きる姿を巧みに描いた作品でした。
読了日:09月29日 著者:藤岡 陽子


もういちどベートーヴェン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)もういちどベートーヴェン (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)感想
「合唱」「どこかでベートーヴェン」からのこの作品。既読でなかったようです。「合唱」で活躍する天生君の聴くベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第30番 Op.109 ホ長調、サントリーホールで聴くピアノ協奏曲 第5番「皇帝」 Op.73 変ホ長調、そしてカラオケルームで練習した予選曲ピアノ・ソナタ 第32番 Op.111 ハ短調、本選のピアノ・ソナタ 第21番「ワルトシュタイン」 Op.53 ハ長調。すごい表現力に圧倒され続けました。もちろんミステリ構成もね。
読了日:09月28日 著者:中山 七里


どこかでベートーヴェン (『このミス』大賞シリーズ)どこかでベートーヴェン (『このミス』大賞シリーズ)感想
「合唱」からさかのぼって再読。高校生の岬洋介。転校先の音楽室でベヒシュタインを使ってベートーヴェン作曲ピアノ・ソナタ第14番「月光」作品27-2嬰ハ短調を奏で始める。そして夏休みを終えて聴かせるのはピアノ・ソナタ 第8番「悲愴」 Op.13 ハ短調。この2曲の表現だけで十分と思えるほどです。もちろんミステリーなんですけどね。
読了日:09月28日 著者:中山 七里


いつまでも白い羽根 (光文社文庫)いつまでも白い羽根 (光文社文庫)感想
看護専門学校生の生活を覗いたようなお話でした。看護師になるには本作品のような3年制の専門学校の他に、3年生の短期大学や4年制の看護学部などがあるようです。さらに博士前期課程(修士)を先行する方も随分増えているようです。ただでさえ命に関わる仕事で大変なのに、今年はCOPID-19のために更に大変なのだろうと思います。さて、看護師課程の3年間を経て国家試験資格を得ることのなんと大変なことか。このお話のその後も覗かせてほしいものです。
読了日:09月25日 著者:藤岡 陽子


七つの海を照らす星 (創元推理文庫)七つの海を照らす星 (創元推理文庫)感想
児童養護施設、七海学園を舞台にした謎解きです。舞台からして社会的な問題点は伝わってくるものの、主体は若く明るい保育士の北沢春奈と小中高校生の子どもたちなので、日常のちょっとした不思議の謎解きのように感じられます。いよいよ読み終える段になると突然雰囲気が変わります。Nanakawa Kananという作者名にすらヒントが隠されているというのです。私も「たけやぶやけた」くらいの回文は知っていますが、いやはや最初から目眩ましにかけられていたのですね。
読了日:09月25日 著者:七河 迦南


黒き侍、ヤスケ:信長に忠義を尽くした元南蛮奴隷の数奇な半生黒き侍、ヤスケ:信長に忠義を尽くした元南蛮奴隷の数奇な半生感想
著者はまえがきで執筆の意図を明らかにして、ありえたかもしれない弥助の半生を楽しんでほしいと記している。しかしなかなか弥助の心うち、奴隷としての日々の心のあり様や、開放されたときの頼るべき主のない心細さなどが全く伝わってこない。とても良いテーマだし、あの激動の時代を侍にのし上がったアフリカ人はどんな気持ちだったか誰もが気になるところではないか。相撲の稽古はいくらか書かれてはいるが剣術には記載が少なく、正座にはどう対応したなど、もっと苦労点を明確にすべきと思う。楽しい内容ではあったが、もったいないと感じた。
読了日:09月23日 著者:浅倉 徹


跳べ、暁!跳べ、暁!感想
バスケットボール日本代表のチーム愛称「アカツキファイブ」から主人公の名前が来ているのでしょうね。この作品は中学生の女子しか出てこないスポーツ小説でした。あまりに訳のありすぎる家庭の子供達。部活コーチのパワハラや外国人の不法滞在問題にも触れていて、子どもたちの問題意識醸造にとてもいいと思いました。最後の「シャトルラン」。勝ちを譲るという設定は相手の選手を侮辱したように感じられて残念です。表紙絵で暁はシュートのために跳んでいますが、暁が跳ばなければならなかったのが別の理由だったのでびっくりしました。
読了日:09月23日 著者:藤岡 陽子


輪舞曲輪舞曲感想
大正から昭和にかけて活躍し、短い生涯を閉じた女優伊澤蘭奢を、関わった男性の視点で描かれた作品でした。演劇界に詳しくないので、登場人物は徳川夢声しか知りませんでした。映画と何がどう異なるのかよくわかりませんが、女優として貧しくとも舞台を選ぶという選択に心が揺れました。大正の時代、幕藩体制を批判しロシアの革命に心踊らせマルクス・エンゲルスの思想に傾倒する文化人が多かった様子も上手に描かれているのですが、現代の感覚で看るとある種の薄汚さを感じさせるように思いました。それもまかてさんの狙いなのでしょうか。
読了日:09月21日 著者:朝井 まかて


絢爛たるグランドセーヌ 16 (チャンピオンREDコミックス)絢爛たるグランドセーヌ 16 (チャンピオンREDコミックス)感想
1年間のロイヤル・バレエ・スクール留学が始まった奏。言葉や表現力などの新たな課題に直面しながら、更に上を目指します。ロシア人先生の英語表現や、米語と英語の違いなど、多国籍な芸術家を上手に表現しています。成長期のダンサーの身体のケアを骨格や筋を通して解説するのも、このコミックの素晴らしいところだと思います。
読了日:09月20日 著者:Cuvie(キュービー)


殺し屋、続けてます。殺し屋、続けてます。感想
第一話のターゲットは女子大生。大学が終わってから3時間、駅前の交番の脇に立ち尽くしている。彼女は何をしているのか。そして依頼人は誰でその目的はなにか。「殺し屋」第二弾では女性の同業者が現れ、最終話で図らずも接近する。依頼者が物事の解決に殺人を選択し、それを引き受けて実行するというのは倫理的に問題があると思いますが、なぜターゲットになるのかという推理には興味を惹かれました。
読了日:09月20日 著者:石持 浅海


しばしとどめん北斎羽衣しばしとどめん北斎羽衣感想
図書館のジュブナイル棚にて見つけました。北斎(鉄蔵)はタイムスリップで現代に現れ、手術を受けたあと、リハビリとしてあちこちを歩き回る。スカイツリーに行ってもあまり驚くことはなく、西洋人に囲まれても良くその様子をを観察し、帰ってからサインペンで見事に描いたのだった。僕の名も「為一」と北斎の号ではありませんか。現代にタイムスリップしても驚かなかったのには理由がありました。15歳の女を知らない少年に、江戸の大人はそう対応したかとニンマリしました。
読了日:09月18日 著者:花形 みつる


背中の蜘蛛背中の蜘蛛感想
第一部の始まり早々に池袋署刑事課長の本宮夏生は、渋谷署で一緒だった後輩の上山から連絡をもらう。これが第三部の伏線になっていました。三部構成の三部が本書全体の60%を占めています。途中のモノローグでは、一体誰の言葉なのかわからないまま読みすすめるのですが、それがいつしかきれいに焦点を結んでいました。街中にたくさん設置されているカメラ、写っただけで誰だと特定されてしまう世界。すでに中国ではその段階にあるようですが、一体我々はどこへ向かって進歩しているのでしょうか。大いに楽しませていただきました。
読了日:09月18日 著者:誉田 哲也


江戸の夢びらき江戸の夢びらき感想
初代、二代目團十郎の様子を初代の妻であった栄光尼(恵以)の視点で語られた作品。流石に松井今朝子氏、史実に基づいたフィクションで、團十郎が見事に生き生きと動き回っています。あまり良く知らない歌舞伎の世界ですが、演目や伝統ある名跡など、よくわかったような気にさせていただきました。
読了日:09月16日 著者:松井 今朝子


三兄弟の僕らは三兄弟の僕らは感想
平凡な中流家庭の3兄弟。25周年の結婚記念日の旅行に送り出した両親が交通事故で死んだ。唯一の係累である母方の祖母が、北海道から来て世話をしてくれることになった。葬儀屋それに伴う事務手続きもそうだが、母に任せっきりだった町内会のことが三人の方ののしかかる。母方の祖父は、父方の祖父母は、と自らの来し方を改めて確認する3人。そして父の親友という海外出張していた元同僚が持ってきた新事実が。3兄弟と祖母+1の語り口で描かれていました。淡々とした描き方なのに、一気に読まされてしまいました。
読了日:09月16日 著者:小路 幸也


比類なきジーヴス (ウッドハウス・コレクション)比類なきジーヴス (ウッドハウス・コレクション)感想
人の良い貴族青年バーディーと狡猾な従者ジーヴスの物語。森村たまき氏が訳者あとがきで述べていますが、職業名として執事を選んだが、もともとbutlerではなくgentleman's personal gentlemanだそうで、そんな職業なのかと往年の英国の歴史をちょっと想ってみました。この頃の貨幣価値は1ポンド=2千円でしたでしょうか?何でもかんでもベット(賭け)の毎日。もはや想像を超えたところの貴族生活で、読破に意外と時間を要しました。
読了日:09月14日 著者:P.G. ウッドハウス


時代小説アンソロジー てしごと おんな職人日乗 (文芸書)時代小説アンソロジー てしごと おんな職人日乗 (文芸書)感想
ページを開いたらいきなり鷹ヶ峰御薬の元岡真葛さん登場で、気分は最高です。続いては鹿児島で黒酢の造りに精を出す沙奈の襷にフォーカス。掌中の天の奥山景布子氏は初読み。根付は江戸だと思いこんでいましたが、黄楊の木を材料とした伊勢根付も有名なのですね。4話目は茶店の姉妹。短いページで秩父の風景をうまく描き出していました。小松エメル氏も初読みですが、なかなかの心理描写で面白かった。最後はあさのあつこ氏。こんな揉み師のお世話になりたいものです。6人6様の面白さで楽しませていただきました。
読了日:09月12日 著者:あさのあつこ,奥山景布子,小松エメル,西條奈加,澤田瞳子,志川節子


猫弁と透明人間 (講談社文庫)猫弁と透明人間 (講談社文庫)感想
煙草の香りではピースとゲルベゾルテを思い出します。マルボロは喫ったこともありませんでした。孤独な隠遁者沢村透明、この人物像は百瀬太郎と表裏一体のように感じました。このシリーズを順不同で読んでいるためなのか、なんで仁科七重さんのような方が事務員としているのか不思議でしかたありません。タイハクオウムは大白の名の通り、素晴らしい姿なんですね。飼おうとは思いませんが。スラスラ楽しく読了しました。
読了日:09月12日 著者:大山 淳子


8年 (集英社文庫)8年 (集英社文庫)感想
野球には興味がないのですが、大変面白い小説でした。そんなわけで大リーグのお勉強からはじめました。MLBは30チームでアリーグもナリーグも東中西の3地区に別れそれぞれ5球団ずつ所属しているとの事。その東地区ニューヨークにはアリーグの野球にはヤンキースとナリーグのメッツがあり、フリーバーズは見当たりませんでした(笑)。題名の8年には随分深い悔恨の情が隠されていたんですね。登場人物は英語での意思疎通になんの問題もないようで、羨ましい限りです。
読了日:09月10日 著者:堂場 瞬一


猫弁と少女探偵猫弁と少女探偵感想
図書館に並んだ猫弁シリーズ、どの順番なのかわからなかったのでこの少女探偵から。ミステリーなのか偶然なのかよくわからないシチュエーションでしたが、最後には登場人物がそれぞれにつながってなるほど、となりました。弟を演じたのが誰でどんな目的だったのだろうか。楽しくスラスラ読めた分、細かいところを読みそこねたのかもしれません。
読了日:09月09日 著者:大山 淳子


ハーレーじじいの背中ハーレーじじいの背中感想
優等生であだ名が「委員長」の阿部真理奈は、医学部を目指すことにした。一文字違いでアベ・マリアなのですが、後から説明されるまで気づきませんでした。4人の祖父母と父母との同居生活する個々人、中でも母方の祖父はハーレーでさすらう男だった。なぜさすらうことになったのか、母は何者で父とはどう結ばれたのか、少しずつ物語が進むにつれて明らかになる。単車に乗るときに避難用のヘルメットでは問題です。きちんとフルフェイスのヘルメットを使うような話であって欲しかった。お母さんのがきっとどこかにあるはずなのに。大型二輪、いいな。
読了日:09月09日 著者:坂井 希久子


独走 (実業之日本社文庫)独走 (実業之日本社文庫)感想
読後にスポーツの意味について考えてしまいました。大辞泉では「身体運動の有無にかかわらず、一定のルールに則って勝敗を競ったり、楽しみを求めたりする活動の総称」だって。身体運動がなくても?と驚きました。ラテン語を語源とした本来の意は「気晴らしをする、遊ぶ、楽しむ」であるようです。伝わった日本では富国強兵が掲げられていた時期も相まって「遊び戯れる」を切り捨てて、体育をSPORTの翻訳としたため、eスポーツについて違和感を持つ日本人が多いのだそうですよ。昔、中国やソ連のオリンピアンをステート・アマと呼んでたなぁ。
読了日:09月08日 著者:堂場瞬一


キング (実業之日本社文庫)キング (実業之日本社文庫)感想
大学でともに箱根駅伝を走った3人が時を経てオリンピック代表選考の最後の1枠を争う。30歳という年齢を考えるとこれが最後の挑戦になる3人。それぞれのスタイルと方法でトレーニングを進め、ついに当日を迎えた。高地トレーニングで赤血球が多くなれば酸素供給が楽になる一方、血液が凝固しやすくなるという危険性を併せて紹介している。これまでの作品に比べて、あまり後味はよくなかった。
読了日:09月05日 著者:堂場 瞬一


梅と水仙梅と水仙感想
津田塾大学の創設者である津田梅子とその父仙を描いた作品。本書では「梅」と表記されていますが、多くの書物では「梅子」とされており、私にもこちらのほうが収まりがいいです。題名はその名である梅と父親の仙から水仙を想起させたもののようです。さてさて、幕府の瓦解により6歳で単独アメリカに赴くという場面には、吾が7歳の孫娘を当てはめると途方も無いことのように思います。訪米中も帰国後も幾多の困難に見舞われる5人の女子留学生たち。眼病を患い1年で帰国した吉益亮と一緒に帰国した上田悌についても丁寧に記載されていました。
読了日:09月04日 著者:植松 三十里


合唱 岬洋介の帰還 (『このミス』大賞シリーズ)合唱 岬洋介の帰還 (『このミス』大賞シリーズ)感想
ベートーヴェン生誕250年に合わせているのでしょうか。「もう一度ベートーヴェン」から随分と時が過ぎましたが、今回の題名は Sinfonie Nr. 9 d-moll op. 125 の副題「合唱」で嬉しくなります。そして次々と登場する個性のたったいつものキャラクター。洋介に弁護させるために御子柴を拳銃で撃たせるなんて、その前提づくりからして中山七里さんあんまりです(笑)。オールスターキャスト登場で大変満足した一日になりました。
読了日:09月03日 著者:中山 七里


砂上砂上感想
メイキングノヴェル、小説を作品として仕上げるお話。40歳の令央はバツイチで夫からの慰謝料とビストロの手伝いで生計を立てているが、趣味のように小説を書いては出版社に応募していた。ダメダメな令央の作品を読んだ編集者の乙三が訪れてから物語はスタートする。乙三は、物語は三人称の一人にさせるべきとか、体験談や日記ではなく人の行動の背景にあるものを描くなどの助言を与えては東京に戻る。令央が何度も書き直しをしていく過程で、家族の不思議な有り様や普段の生活が明らかにされる。さて、「砂上」とは何を意味するのだろうか。
読了日:09月02日 著者:桜木 紫乃


めぐり糸 (集英社文庫)めぐり糸 (集英社文庫)感想
解説の谷崎由依はエミリー・ブロンテの嵐が丘を想起するとしていて、思わず腿を叩きました。大阪から東京に向かう列車で泣いている女性に語る老婆の一代記なのですが、その本質をよく掴めずいらいらします。「哲治はわたしだ」がストーリー全体を覆っている観念のように感じました。理屈では理解できない情動の世界を表しているようです。
読了日:09月02日 著者:青山 七恵

読書メーター

中山七里と藤岡陽子の作品が多かった。面白くて続けて読んだからね。

 

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