クリスチャン・メルラン著「オーケストラ ー 知りたかったことのすべて」
536頁もあるオーケストラに関する事典的エッセイ。
正直、読み終えるのがとても大変でした。
オーケストラの演奏者のソリストとトゥッティ、そして序列。弦楽器と管楽器の奏者の違い。国家とオーケストラの持つ伝統的音色。などなど、音楽評論家としての観点からいい点もそうでない点も詳細に記述していました。
例えばウィーンフィルは149人の楽団員が、36作のオペラと7作のバレエを年300回上演し、ザルツブルク音楽祭で10回のコンサートと20回のオペラをこなすとか。
途方も無い話です。
著名な演奏家や指揮者の名前が大量に出て来て、オロオロするととともにうんざりするほどでした。
オーケストラと指揮者の関係がすごかった。
アメリカのオーケストラは仕事のプロとして指揮者を受け入れるが、フランスのオーケストラは容赦なく指揮者の技量を暴いていく状況だったとか。セミヨン・ビシュコフとパリ管弦楽団との相剋は相当のものだったようです。
演奏家としての女性の受け入れ、指揮者としての女性の受け入れ双方に相当な偏見があったようです。現在では女性蔑視の傾向も弱まり、指揮者としてスザンナ・マルッキ、シモーネ・マーガレット・ヤング、マリン・オールソップ、シャン・ジャン、ジョアナ・カルネイロ、ジョアン・ファレッタ、ケリー=リン・ウィルソンらが活躍しているとしています。
日本人名が出てこないのが残念です。昨年のブザンソン国際指揮者コンクールで優勝した沖澤のどか氏はじめたくさんいるのになぁ。
最後に指揮者とオーケストラの組み合わせで素晴らしい演奏ができた例を示しています。その最初に、フランス国立管弦楽団と小澤征爾のラ・ヴァルスを上げています。
聴いてみたいものです。
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