YOUTH

青春とは人生のある期間ではなく 心の持ちかたを言う
by Samuel Ullman

北村 薫 著 「玻璃の天」 文藝春秋

2007年05月09日 | 
本書は「花村英子と別宮みつ子」コンビが活躍する第二作です。
前作の「街の灯」は文庫にもなっていて、このブログで紹介させていただきました。

昭和8年の東京。そんな親切な説明はありません。
「昨年のロス五輪がラヂオで実感放送された」との記述で年代を解説しています。この年にヒトラーがドイツの首相に就任し、日本は国際連盟から脱退しました。そのような社会背景をも巧みに盛り込んでいます。

巻末に記載されている「主な参考文献」を読むのも大変に楽しいものです。

ベッキーさんの正体がいよいよ判明するのでしょうか? 深窓のご令嬢を覗き見する楽しみまでちりばめられた北村ワールド。お兄様を含めて、楽しく毎日を過ごしている上流階級に所属する「英公」が、しっかりとした目で時代を感じている様をよく表現していると思います。この結果として、戦争に対する見方に関しても考えさせられる一冊でありました。

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