川柳茶房 Toujirou

笑いの少ない川柳ですが・・・。

アダン~田中一村の画帖

2022-09-17 13:12:51 | 日記

友達夫婦に誘われ私たち夫婦も奄美大島を訪れた。以前から奄美には一度行きたいと思っていた。田中一村記念美術館を見ておきたかったからである。東京美術学校日本画科に入学。同期には東山魁夷らがいた。しかし2か月ほどで中退している。画壇からもほとんど評価されなか独自の画業を追究し、南の島へ向かった姿から「日本のゴーギャン」とも称された。絵は素人目にはルソーを感じさせる。一村には壮大な夢もあった。❝5年働いて3年間描き、2年働いて個展の費用をつくり、千葉で個展を開く❞というものだった。しかし、10年が過ぎても個展は開催できず、その後も働いては辞めて絵を描き、また働くということを繰り返した。

この、日本画に向き合う情熱と精神性の高さは何なのだろうか。

私がこの南の島へ来ているのは歓呼の声に送られて来ているのでもなければ人生修行や絵の勉強に来ているのでもありません。私のえかきとしての生涯の最後を飾る絵をかく為に来ていることがはっきりしました(昭和34年 知人への手紙より)

えかきは我儘勝手に描くところにえかきの値打ちがあるので、もし御客様の鼻息を窺って描くようになったときはそれは生活の爲の奴隷に轉落したものと信じます。(昭和40年頃 知人への手紙より)

私の絵の最終決定版の絵がヒューマニティであろうが悪魔的であろうが、絵の正道であろうとも邪道であろうとも何と批評されても私は満足なのです。それは見せるために描いたのではなく私の良心を納得させる為にやったのですから・・・・・(昭和43年 知人への手紙より)

熱砂の浜アダンの写生吾一人  一村

清貧に生き、自身の美学を貫いたした一村、ただただ、頭が下がる。

 

魂のおもむくままに南へ島へ                                           流れ着くアダンの浜は熱い砂浜                                           凝視するアダンの先の空は夢幻  陶次郎