大好きな作家・高田郁の時代小説・新シリーズ
「あきない世傳 金と銀 」(角川春樹事務所)は
商売をしている方々に必読の小説だ。
以前、ベストセラーになった「みをつくし献立帖」の
詳細にわたる料理の知識もすごかったが、
この江戸時代のあきないシリーズは、
現代においても、商売を生業にしている人に
面白い教えがたくさん詰まっている。
「源流篇」のP116~118に、
番頭の治兵衛と主人公の幸との会話の中に、
とても面白い表現の大阪の洒落言葉が出てくる。
4つほど引用させていただくと、
「畑の羅漢」で、はたらかん つまり怠け者。
「袖口の火事」で手が出せぬ
「赤子の行水」は「たらいで泣いてる」、
つまり(銭が)足りないで泣いてる
「うどん屋の釜」は「湯ぅばっかり」、
つまり「言うばっかり」
「大阪は商いの街だす。尖ったことも丸うに伝える。
言いにくいことかて、笑いで包(くる)んで相手へ渡す。
そうやって日日(にちにち)を過ごすんだす。』
洒落言葉を紹介した後、番頭はこのように結んだ。
仕事に笑いの要素を入れて商売する大阪
あきんどの生き生きとした姿が目に浮かぶ。
広大HP