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テルウェル東日本OB会
会長 笹倉 信行
令和のワンチームに想う
新年明けましておめでとうございます。昨年は代替わりと新年号でこれまでとは違う新しい時代が始まった年でした。同時に夏から秋にかけて大きな台風や豪雨が続き、関東を含む東日本に甚大な被害をもたらした年でもありました。
会員の皆様の中にも、何らかの被害や影響を受けた方々もいらっしゃるのではないかと思います。
私の出身地の富山、勤務地の金沢では北陸新幹線の直通運転の中止により大きな影響が出ました。また現住所の八王子市でも浸水被害があり、それが全国ニュースで流れたことから大丈夫かと問い合わせが相次ぎました。(自宅は被害無し)
1. ラグビー・ワールドカップ
ちょうどその時期にラグビーのワールドカップが開催されていました。私自身は、電電公社入社後の中央学園(当時)での3ヵ月研修で体育の授業が全てラグビーであったことから、どちらかというと苦手なスポーツでした。
「ラグビー好きの学園長が全く経験の無い新入生に無理強いをしている」としか思えず、しかも芝生ではなく普通のグラウンドなので毎回切傷をはじめ怪我続きでした。
タックルで脳震盪、スクラムでは出っ歯のA君が相手スクラムのB君の耳たぶを衝突で切ってしまうなど本当に大変で皆がもうこりごりだと思っていました。
私自身もスクラムの一番先頭で双方のスクラムの圧力がかかるポジションでしたので、今回の日本代表稲垣選手が全く笑わないというのも理解できました。
しかし今回のワールドカップで、外国生まれの日本国籍の選手や外国籍のままの選手が多数を占める日本代表の活躍を見て私も「にわかファン」になりました。
二人がかりのタックルで相手を止め、スクラムで押し込み、華麗なオフロードパスをつないでのトライなどを見ていて、本当に興奮しました。
何よりも選手達が異口同音に、「ワンチーム」、「これまでのハードな練習と自己犠牲」、そして勝利に奢ることなく「次の試合に向けての集中」を語っていたが印象的でした。
TV中継の中で様々な選手が取り上げられる中で、彼らの出身地・その後のキャリア・現在の国籍の多様性を知ることができました。しばしば対戦相手のチームの国出身の選手も出場し、日本代表として激しくプレーしていました。
出身国への想いや出身国なりのラグビーのプレースタイルがある中で、チーム全体として本当にワンチームとしてまとまった統一感のある戦いぶりでした。
合宿中でのサムライ精神を学ぶ仕掛けづくり、試合前の君が代斉唱への積極的な参加など、他スポーツの日本人選手以上の伝統的日本文化への敬意が感じられました。ワンチームの背骨にはこうした精神的・文化的な統一性があるのではと思いました。
2. ラグビー日本代表に学ぶ
今回のワールドカップで学ぶことは、何よりも多様性の尊重とワンチームという一見背反することを両立させることではないでしょうか。
我々も昔は「2本電電公社」と揶揄されるほど事務・技術系バラバラだったこともあります。また同じ事務系でもいろいろな畑があり、その畑毎に集まるという習性を持っています。その他にも出身地毎・採用地域毎・入社した会社毎など様々な属性に応じた集まりがあります。
今後のOB会の運営を考える際に、まず多様性を尊重することが肝要と考えます。いろいろな出身母体や経歴をお持ちの人が、当会に入り易いようにしていくとともに、当会に入っていて「ワンチーム」の中に居るような気がすると思ってもらえるように努力する必要があると思います。
そのためには精神的な面、文化的な面で一本、筋の通った組織運営が重要かと思います。ラグビーの日本代表の日本の伝統文化への敬意を我々なりに応用すれば、自分達の地域への関心とその歴史的・文化的な価値の再確認がスタートかと思います。
現代日本人が忘れてしまった、或いは余りにも当然と思っていることについて、改めて目を向ける、そうした機会を当会が提供することにより会員=チームの一員の意識が醸成されることを期待しています。
3. 令和2年度に向けて
今年は西暦で2020年という憶えやすい年で、かつ東京オリンピック・パラリンピックの年です。令和という新時代の中で日本全体がまたワンチームに向かってテンションの上がる年になります。
当会も他のOB会と同様会員数減少の環境の中で財政再建に向けて一歩ずつステップを刻んで参ります。何とか次の時代につないで参りたいと念じていますので、皆様のこれまでと同様、あるいはそれ以上のご理解・ご支援をお願い申し上げます。
本年が災害が少なく会員の皆様そしてご家族が安全・安心にこの一年をお過ごしになることを心よりお祈りいたします。