ウクレレとSwing(スヰング)音盤

Hawaii Connie (1968) / Connie Francis

8月は勝手に特集月間として『オータサン in セッション・ワーク』と題し、スタジオ・ミュージシャン或いはゲストとして他人名義の作品に登場したオータサンの仕事をまとめて、週刊ペースでご紹介。

今週はMGMレコード、1968年リリースの音盤。主役であるコニー・フランシスは1961年『可愛いベイビー(Pretty Little Baby )』や翌1962年『ヴァケイション(Vacation) 』など有名なヒット曲を連発したアメリカのポピュラー歌手。わが国でも中尾ミエさんなどが日本語でカバーしヒットした事でお馴染みの曲が数多い。60年代には青春映画でも活躍した。

従って本盤もアメリカ本土のポピュラー歌手によるハワイ音楽集で、ボーカルスタイルも含めサウンドの手触りはハワイアンというよりもオールディーズといった耳当たりがかえって新鮮で、音盤としては面白い。但し当然ながら歌は上手い(声が良い)し、サウンドも60年代アメリカン・ポップスとして上出来である。企画意図に沿って楽曲はアメリカ本土でスタンダード化した有名なハワイアンソングばかりが選ばれている。勿論歌詞はすべて英語で、ごく一部にカタコトのハワイ語も飛び出すがあくまでもご愛嬌であろう。

A1 Tiny Bubbles (Hua Li'i)
A2 I'll Remember You
A3 One Paddle, Two Paddle
A4 Red Sails In The Sunset
A5 Waikiki
A6 Happy Hours

B1 Pearly Shells (Popo O Ewa)
B2 Lahaina Luna
B3 Blue Hawaii
B4 Forevermore
B5 Harbor Lights
B6 To You Sweetheart, Aloha

本土アレンジの為かハワイのサウンドらしく聞こえないが、きちんとハワイのミュージシャンを起用してホノルルのCommercial Soundスタジオにてベーシックな伴奏やコーラスは録音されており、ニューヨークでストリングスやアディショナルなミュージシャンの演奏が加えられたようである。このあたり、さすがに資金力のあるアメリカ大手レコード会社の仕事だといえそう。恐らくハワイでのセッションのバンド・リーダーを務めたClem Lowの編曲・指揮のトラックがハワイ録音であろう。

プロデュース Bob Morgan
編曲・指揮 Al Ham (tracks: A1-A5, B5, B6), Clem Low (tracks: A2, B4-B6), Joe Mazzu (tracks: A6, B1-B4)

ホノルル・ミュージシャン(抜粋)
バンド・リーダー/Puili(bamboo) - Clem Low
Ukulele – Herbert Ohta, John Kamana
Bongos, Congas – Billy Len
Bass – Archie Grant
Guitar – Bud Lee, Tomo Fukui
Drums, Conch Shell – Harold Chang
Vocals – Anne Gable, Harry Du Val, Jack Manno, Jerry Duane, Marlene Ver Planck, Mary Mayo, Ronald Martin, Stephen Steck, Toni Wine

ニューヨーク・ミュージシャン(抜粋)
Guitar – Frank Cerchia, John Pizzarelli, Vincent Bell
Organ, Celesta – Morris Wechsler
Percussion – Doug Allen
Reeds – Henry Freeman, Joseph Soldo
Clavietta – Angelo Dellaira
Violin – Arnold Eidus, Arthur Bogin, Emanuel Green, Gene Orloff, George Ockner, Harry Katzman, Harry Lookofsky, Joseph Malignaggi, Julius Brand, Julius Held, Julius Schacter, Leo Kruczek, Max Pollikoff, Paul Gershman, Paul Winter, Raoul Poliakin
Cello – Charles McCracken, George Ricci, Harvey Shapiro, Lucien Schmit

個人的に目を引くのはホノルル・ミュージシャンとしてはオータサン(ウクレレ)=ここでのクレジットはハーバート・オオタ名義での参加、68年というとSurfside Records専属だった頃だろう。と、いう事は親会社であるHula Recordsがホノルルでのセッションのお膳立てに関与した可能性は無いだろうか。またニューヨーク・ミュージシャンではジョン・ピッツァレリ(ギター)とあるが勿論年代的にお父さんのバッキー(本名はJohn Paul "Bucky" Pizzarelli)だろう。ウクレレの神様=オータサンと、スヰンギン・ギターの名手バッキー・ピッツァレリのリモート参加セッションという訳である。残念ながらギターもウクレレも複数の演者さんが奏でておりどれが担当パートか音からは不明だが、両者ともそれらしいソロ・ワーク等はなくセッション・ミュージシャンとしてバッキングに徹している。今となっては実に贅沢なバッキング・トラックといえよう。
時代の空気を反映したカラフルなレコード内袋にはハーマンズ・ハーミットやロイ・オービソンといった60年代の人気歌手たちの名が並ぶ。



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