どうも、
最近仕事やらなにやらが多くて、やらなければいけないことが山ほどあるのに
サブカルチャーに逃げている人です。
というわけで、今回はこんなマンガを紹介したいと思います。
『チ。-地球の運動について-』
舞台は、地球が宇宙の中心であり、太陽や惑星が地球の周りを回っているという、いわゆる「天動説」が主流な中世。
その「天動説」を中心とした宗教に支配されている中で、純粋な天体学的動機から、地球が太陽の周りを回っているのではないのか?という「地動説」に真理を求める人たち、を描いたフィクション(作者の想像のお話)になります。
このマンガの中では、「地動説」っぽいものを研究するだけで家宅捜索を受け、証拠が挙がれば異端者として火あぶりにされてしまいます
実際の中世ヨーロッパ歴史では、もちろんさすがに「地動説」を研究していても火あぶりに処されることもありえませんでしたし、
作者もそれを分かってわざと大げさに、「地動説を考えただけで異端で死刑」という設定にしたのだそうです。
・【インタビュー】『チ。ー地球の運動についてー』魚豊「大地のチ、血液のチ、知識のチ。その3つが渾然一体となっているのがこの作品。」【by コミスペ!】 : TSUTAYA/ツタヤ
このお話でたびたび登場する「プトレマイオス理論」なんかも、この物語では聖書の文言よりも重要だったりします
でですね、この「地動説が禁じられた世界」で天文学を学ぶと、惑星の軌道が「どうしても美しい線を描くことがない」ので、天動説を研究すればするほど、なんかおかしくないかとなるわけです。
天体の軌道は自然原理で出来ているのだから、一直線で綺麗に出来ているはずなのに、観測すれば観測するほど、天動説で描いた基本図形のようには動かないことが分かっていきます。
そしてたどり着くのが、
『神が作ったこの世界は、きっと何より美しい。』
ほんとうに神さまが世界を作ったというのなら、この世界は素晴らしいもののはず!
であれば、天体がこんな意味のわから無い軌跡を描くはずがない!と
実はこの『神が作ったこの世界は、きっと何より美しい。』という言葉は、「プトレマイオス理論」以上にキリスト教の概念を示しています。
(「プトレマイオス理論」は元々聖書関係無いんですけどね。聖書から発展した考えではなく、当時の天文学の流行から発展した考えを、スコラ哲学が主流だった中世教会が採用した経緯があるわけで)
この『神が作ったこの世界は、きっと何より美しい。』という言葉は、クリスチャンではない作者が、図らずも教会用語で言うところの「一般啓示」を現す場面となっています。
聖書には旧約聖書・新約聖書合わせた全体の流れとしての、神さまから人間への説明(啓示)があるのですが、それを分類すると、この2つになります。
・特別啓示
・一般啓示
その、「すべての人の為に神さまが用意された創造物、それらは本来素晴らしいものであるはず」という考え方が
「一般啓示」なのです。
だからこの物語は、
「宗教が説く天動説」「神さまが本来用意していたのは地動説」
という図式になっていくわけです
(ほんものの中世ヨーロッパでの天動説のやり取りは、ここまでドラマティックには展開しませんでしたが、まあ、フィクションですので)
そしてこの物語は、読み進めていくと一筋縄ではいかない、クロニクル(年代記)な展開をみせていきます。
非常に知己的な面白さが進むマンガではあるのですが、
1巻第1ページ1コマ目から拷問シーンが登場します
お嫌いな方は避けた方が良いかもしれません
でも、おもしろいマンガであることは間違いありません
最近仕事やらなにやらが多くて、やらなければいけないことが山ほどあるのに
サブカルチャーに逃げている人です。
というわけで、今回はこんなマンガを紹介したいと思います。
『チ。-地球の運動について-』
舞台は、地球が宇宙の中心であり、太陽や惑星が地球の周りを回っているという、いわゆる「天動説」が主流な中世。
その「天動説」を中心とした宗教に支配されている中で、純粋な天体学的動機から、地球が太陽の周りを回っているのではないのか?という「地動説」に真理を求める人たち、を描いたフィクション(作者の想像のお話)になります。
このマンガの中では、「地動説」っぽいものを研究するだけで家宅捜索を受け、証拠が挙がれば異端者として火あぶりにされてしまいます
実際の中世ヨーロッパ歴史では、もちろんさすがに「地動説」を研究していても火あぶりに処されることもありえませんでしたし、
作者もそれを分かってわざと大げさに、「地動説を考えただけで異端で死刑」という設定にしたのだそうです。
・【インタビュー】『チ。ー地球の運動についてー』魚豊「大地のチ、血液のチ、知識のチ。その3つが渾然一体となっているのがこの作品。」【by コミスペ!】 : TSUTAYA/ツタヤ
──古い価値観である天動説で、地動説を唱える人たちを裁いていく……確かに知性と暴力が混在しています。
魚豊:ただ、弾圧があったような印象を受けるのですが、史実ではどうやら、地動説ってそこまで迫害を受けてはいなかったらしいんですよね。しかし、現代では迫害があったと思い込んでいる人が多い。この勘違いも面白く感じて、テーマにしたい! と思った要因の一つです。
──ガリレオ・ガリレイの宗教裁判を授業で習うと、思い込んじゃいますよね。
魚豊:『チ。』で描かれる迫害はフィクションですが、調べてみると、超安全で気軽に話せる話題ではなかったのは事実だと思います
疫病や戦争で死が近い時代において、最大に勢力を伸ばしたのが宗教だと思います。「なんで死ななきゃいけないんだろう」って疑問に対して「死んだら神の国に行けます」って答えは、強い安心感があったんでしょう。だけど、近代化していくにつれて「死後の国なんかない」という考えが広まっていきます。
──天動説から地動説のように、近代化で人々が気づき始めている。
魚豊:そういう時代の変わり目に、人々の価値観が変わっていく様子をオクジーたちに出そうと心がけています。
このお話でたびたび登場する「プトレマイオス理論」なんかも、この物語では聖書の文言よりも重要だったりします
でですね、この「地動説が禁じられた世界」で天文学を学ぶと、惑星の軌道が「どうしても美しい線を描くことがない」ので、天動説を研究すればするほど、なんかおかしくないかとなるわけです。
天体の軌道は自然原理で出来ているのだから、一直線で綺麗に出来ているはずなのに、観測すれば観測するほど、天動説で描いた基本図形のようには動かないことが分かっていきます。
そしてたどり着くのが、
『神が作ったこの世界は、きっと何より美しい。』
ほんとうに神さまが世界を作ったというのなら、この世界は素晴らしいもののはず!
であれば、天体がこんな意味のわから無い軌跡を描くはずがない!と
実はこの『神が作ったこの世界は、きっと何より美しい。』という言葉は、「プトレマイオス理論」以上にキリスト教の概念を示しています。
(「プトレマイオス理論」は元々聖書関係無いんですけどね。聖書から発展した考えではなく、当時の天文学の流行から発展した考えを、スコラ哲学が主流だった中世教会が採用した経緯があるわけで)
この『神が作ったこの世界は、きっと何より美しい。』という言葉は、クリスチャンではない作者が、図らずも教会用語で言うところの「一般啓示」を現す場面となっています。
聖書には旧約聖書・新約聖書合わせた全体の流れとしての、神さまから人間への説明(啓示)があるのですが、それを分類すると、この2つになります。
・特別啓示
アダム以降、罪を持った(神以外のものを神とした)人類のために、神自身が人類の為だけに特別な救済処置を行ったこと。
旧約聖書の時代では、預言者という神の言葉を神託された人を通し、動物や穀物を捧げる行為によって罪に対して救済されていた。新約聖書の時代では動物などを捧げるのではなく、神自身であったキリストが十字架刑にかかることによって罪から救済され、その言葉は預言者だけのものでは無くすべての人のものになったという行為を指す。
・一般啓示
旧約聖書の一番最初「はじめに神は天と地を創造した」という文言。
その神が創造した範囲は、手近な動植物などから「光・闇」など概念までも含まれる。預言者による広告や聖書を手にした人のみに有効な「特別啓示」と違い、自然環境など誰でも手に取って感じることが出きるものなので、「神」という概念を持って居ない人でも享受できるもの
その、「すべての人の為に神さまが用意された創造物、それらは本来素晴らしいものであるはず」という考え方が
「一般啓示」なのです。
だからこの物語は、
「宗教が説く天動説」「神さまが本来用意していたのは地動説」
という図式になっていくわけです
(ほんものの中世ヨーロッパでの天動説のやり取りは、ここまでドラマティックには展開しませんでしたが、まあ、フィクションですので)
そしてこの物語は、読み進めていくと一筋縄ではいかない、クロニクル(年代記)な展開をみせていきます。
非常に知己的な面白さが進むマンガではあるのですが、
──物語の冒頭。いきなり拷問シーンから始まる、衝撃的な幕開けです。残酷描写を冒頭に描くことで、読者を振り落とすような心配はなかったんでしょうか?
魚豊先生(以下、魚豊):これが予想外でして。僕、残酷描写があった方が読者が喜んでくれるだろうと、なんというかサービスシーンのつもりで描いたんですよ。そうしたら、意外と苦手な方もいらっしゃったという……(笑)。
──喜んでもらうつもりが、やっぱり抵抗があった人もいた(笑)
魚豊:そうなんですよね。「この漫画はこれがいいんだ!」って褒められるかと思ったら、そんなわけがなかった……暴力描写が苦手な人、ごめんなさいと思いつつ、このまま突き進むしかないんですけど。
ただ、冒頭にこのシーンを持ってくることで「この作者は何をやるか分からないぞ。この作品、この先に何があってもおかしくないな。」ってスリルは演出できているんじゃないでしょうか。
1巻第1ページ1コマ目から拷問シーンが登場します
お嫌いな方は避けた方が良いかもしれません
でも、おもしろいマンガであることは間違いありません
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