じつはこれだけ有名な作品なのに、
いままで見たことが無かったのです。
・ソフィア・ローレン主演映画『ひまわり 50周年HDレストア版』予告編
新型インフルエンザによる自粛が開けても、
新作ロードショー映画が中々公開されない中、
名作館でなく一般館でも過去の作品を次々に上映してくださるのは
大変ありがたい。
で、『タワーリング・インフェルノ』とこの『ひまわり』とどちらを見ようかと迷ったのですが、
先ほど申し上げた通り、人生50年生きて居ていままで一回もDVDでもテレビでも見たことが無かったので、
見てみようかと思った次第です。
リバイバル上映なのに、ロードショー映画と同じ1,800円取られたのは痛かったです「
で、これだけ超有名映画ですから、ストーリーは皆様ご存じだろうし、
知ら無くてもwikiでもみればバッチリ書いてあるので今更書きませぬが、
思い付いた点をいくつか述べさせていただきたく。
1.ヘンリーマンシーニ、やっぱすげい!
全編に渡ってヘンリーマンシーニ作曲のテーマ曲が流れるのよ。
ヘンリーマンシーニといえば「ムーンリバー」なんかも有名だけど、さすがの劇伴の王様!
何とも言えない抒情的な雰囲気が、何とも言えず盛り上がってくる
ただ、オッサンとしてはどうしても、
淀川長治さんが解説していらした「日曜洋画劇場」のEDと
被って聞こえてくるのよ
2.ソフィアローレン、軽いなぁ~
リゾラバかいな?って感じで恋に落ちて、結婚。
イタリアってこんな感じなのかも。
夫のアントニオの方はこれからアフリカ戦線に出征なのに、ひと時の逢瀬はあっても結婚はありえない!って感じなのに。
それでも、ロシアに出兵した後も、年老いたアントニオの母親の面倒を見たりと、
何気に一途を貫いているところが、なんともけなげ。
3.ロシアは結婚相手も畑から獲れる!
「ロシアの兵士は畑から獲れる」という言葉がある。
ロシア革命で大量の粛清を行い、スターリンが大虐殺行ったあと、幹部から一兵卒まで大量に人材不足になったところにヒットラーが進軍してきたため、本当に人員が足りなくなって、農作業しかしてこなかった男性を無理くり人員徴収をかけたことを指す言葉。それの影響で21世紀の今に至るまで、ロシアは人口が少ないし、男性が少ないし、女性が男性同様の労働(肉体労働を含む)をすることが多かったりする。
それは知っていたんだけど、まさか、
酷寒のロシアで行き倒れたアントニオを拾い上げ、自分の夫にしてしまうとは!!!
日本でも、南方戦線に従事した後そのまま居着いて、現地の女性と結婚してしまった男性の話は良く聞くし、
この『ひまわり』のケースと同じように、日本で妻が居るのに現地の女性と結婚してしまった話も聞くので
無い話では無いよねえ、と思いながら見て居た。
それにしても、あれだけ死体?重傷者?がゴロゴロしている中で、アントニオだけ選んだのは
意味があるのかしら?
4.正妻戦争、こわい!!
「正妻戦争」という言葉の解説はめんどくさいので、ここ参照。
簡単に言うと、まあ、「大奥」とかでもある、1人の男性を巡る女性たちのアレです
イタリア嫁であるソフィアローレン演ずるジョヴァンナと、ロシア嫁であるマーシャ(ロシア嫁なのに、太っていない!!!)との
何とも言えない駆け引き!!
2人とも言語が違うので会話はできないのだけれども、
ジョヴァンナ:マーシャの慎ましやかな住居を見て、まだ小さいけれども子供も生まれ、小さな家だけれどもごく普通な幸せそうな家庭を築いて数年経っていることで、絶望感を味あわされる。
マーシャ:言葉は通じないが、必死の形相で夫の写真を持って訪ねてきた外国人女性を見て、全てを察し、だけれども自分の今の状態を「勝ち組」として誇ることもなく、ただ突然「その日が来た」ことに怯えている
この場面が、本当のクライマックスだったのではないのかしら?
で、ロシア嫁マーシャが性格が悪ければ戦争になるだろうけど、
自分の子供にはイライラを押し付けて当たるものの、
けっこう良い人で、
家庭もすべて見せるし、仕事に行っている夫が帰ってくる列車の駅にちゃんとジョヴァンナを連れて行っている。
それもあって、
既に良い家庭を築いているのを見せられたジョヴァンナは
の予告の1:00にある有名なシーンである、来た列車にそのまま飛び乗るわけですよ!!
まあ、そこから先は、蛇足かなぁと思いましたが。
5.イタリアの鉄道は、今日もストをしている
その「蛇足」の場面で、夫のアントニオが
何を今更イタリアに戻ってきて、
ジョヴァンナとよりを戻したい!なんて言うんですよ
あんた、ロシアで幸せそうな家庭を築いているじゃないの!!!!
と、総スカン食う場面です。当然です。
で、ストで間引かれている列車に乗るアントニオで「劇終」となるわけです。
昔の映画ですから、いまのように長々とエンドロールを流すことなんてありません。
ぷっつりと切れます。
そのまえにも、鉄道ストで色々あるのですが、
まああの時代、イタリアといえばストとテロが有名でしたから
そうなるのかと。
6.ソビエトの宣伝映画になっている
その一方で、ソフィアローレン演ずるジョヴァンナが戦後ソ連でアントニオを探すんだけど、
・まず行ったモスクワの「復興されておしゃになった街並」、そして「スターリン様式」とも呼ばれる、ソ連外務省の建物の威風堂々とした有様
・アントニオを探す過程で、あるイタリア人?を見つけるが、その男性と接触した駅が、エスカレーターが整備された、日本では1980年代ぐらいの都内によくありそうな清潔な駅
・ロシア嫁マーシャの、どこの郊外にもありそうな、慎ましやかでも満ち足りた家庭。お家自体は小さいけれども、すべてが整っていて、何不自由なく暮らしているように見える。
・アントニオが仕事から帰って、ジョヴァンナが列車に飛び乗った駅。駅自体はホームが一本しかない郊外のローカル線の駅であり、汽車も昔からの列車ではあるものの、背後に巨大な原子炉が建設中だった!
・また、そのあとアントニオとマーシャは引っ越すのだけれども、田舎の木造建築から「文化的な団地」に居住を移すのよ!
・そして、表題通りの、どこまでも続くひまわり畑!!!
「5.イタリアの鉄道は、今日もストをしている」との対比でもあり、ある意味意味深なのよね
戦後を引きずっていつまでも混沌としているイタリアとの対比で、
表題でもある、どこまでも続くひまわり畑の映像も加味されて、ソビエト連邦の状態が「地上の楽園」のように画面に写されていた!
気がするのよ
イタリアは伝統的に共産党が強い国だったから、制作者側がほんとうに意図してそのように製作したのかどうかは知らないけど
どうにもこうにもそう言う風に受け取ることが出来る。
・イタリア共産党 - Wikipedia
まあ、当時はソ連ですから
ソ連国内の撮影を許可するとすれば、ロシア(撮影地はウクライナらしいけど)の「良い場面」を撮影するようにとソ連側の関係者が五月蠅く言ってきた可能性ももちろん大きいとはおもうのですけどね。
================================
この映画「ひまわり」について
・エピソード集(日本語):在ウクライナ日本国大使館
・『ひまわり』 I girasoli (1970) : 居ながらシネマ
この方によると、ソ連での撮影場所は、ひまわり畑以外はほとんどモスクワ市内のあちこちらしいです。
ソフィアローレンが列車に飛び乗るシーンがここなのは
まあ時代が違うとこうなるかなあ、とはおもうけど
(後ろの原発みたいな建物は、火力発電所らしいです)
それ以前に、違うイタリア人っぽい人と接触した駅(モスクワの地下鉄Воробьёвы горы(ヴァラビヨーヴィ・ゴールィ駅:ソ連時代は「レーニンスキエ・ゴルイ駅」)
・Воробьёвы горы (станция метро) - Википедия(ロシア語wikipededia)
駅自体はあるものの、映画の中で特徴的だった長大エスカレーターは
この有様らしいです。
いままで見たことが無かったのです。
・ソフィア・ローレン主演映画『ひまわり 50周年HDレストア版』予告編
新型インフルエンザによる自粛が開けても、
新作ロードショー映画が中々公開されない中、
名作館でなく一般館でも過去の作品を次々に上映してくださるのは
大変ありがたい。
で、『タワーリング・インフェルノ』とこの『ひまわり』とどちらを見ようかと迷ったのですが、
先ほど申し上げた通り、人生50年生きて居ていままで一回もDVDでもテレビでも見たことが無かったので、
見てみようかと思った次第です。
リバイバル上映なのに、ロードショー映画と同じ1,800円取られたのは痛かったです「
で、これだけ超有名映画ですから、ストーリーは皆様ご存じだろうし、
知ら無くてもwikiでもみればバッチリ書いてあるので今更書きませぬが、
思い付いた点をいくつか述べさせていただきたく。
1.ヘンリーマンシーニ、やっぱすげい!
全編に渡ってヘンリーマンシーニ作曲のテーマ曲が流れるのよ。
ヘンリーマンシーニといえば「ムーンリバー」なんかも有名だけど、さすがの劇伴の王様!
何とも言えない抒情的な雰囲気が、何とも言えず盛り上がってくる
ただ、オッサンとしてはどうしても、
淀川長治さんが解説していらした「日曜洋画劇場」のEDと
被って聞こえてくるのよ
2.ソフィアローレン、軽いなぁ~
リゾラバかいな?って感じで恋に落ちて、結婚。
イタリアってこんな感じなのかも。
夫のアントニオの方はこれからアフリカ戦線に出征なのに、ひと時の逢瀬はあっても結婚はありえない!って感じなのに。
それでも、ロシアに出兵した後も、年老いたアントニオの母親の面倒を見たりと、
何気に一途を貫いているところが、なんともけなげ。
3.ロシアは結婚相手も畑から獲れる!
「ロシアの兵士は畑から獲れる」という言葉がある。
ロシア革命で大量の粛清を行い、スターリンが大虐殺行ったあと、幹部から一兵卒まで大量に人材不足になったところにヒットラーが進軍してきたため、本当に人員が足りなくなって、農作業しかしてこなかった男性を無理くり人員徴収をかけたことを指す言葉。それの影響で21世紀の今に至るまで、ロシアは人口が少ないし、男性が少ないし、女性が男性同様の労働(肉体労働を含む)をすることが多かったりする。
それは知っていたんだけど、まさか、
酷寒のロシアで行き倒れたアントニオを拾い上げ、自分の夫にしてしまうとは!!!
日本でも、南方戦線に従事した後そのまま居着いて、現地の女性と結婚してしまった男性の話は良く聞くし、
この『ひまわり』のケースと同じように、日本で妻が居るのに現地の女性と結婚してしまった話も聞くので
無い話では無いよねえ、と思いながら見て居た。
それにしても、あれだけ死体?重傷者?がゴロゴロしている中で、アントニオだけ選んだのは
意味があるのかしら?
4.正妻戦争、こわい!!
「正妻戦争」という言葉の解説はめんどくさいので、ここ参照。
簡単に言うと、まあ、「大奥」とかでもある、1人の男性を巡る女性たちのアレです
イタリア嫁であるソフィアローレン演ずるジョヴァンナと、ロシア嫁であるマーシャ(ロシア嫁なのに、太っていない!!!)との
何とも言えない駆け引き!!
2人とも言語が違うので会話はできないのだけれども、
ジョヴァンナ:マーシャの慎ましやかな住居を見て、まだ小さいけれども子供も生まれ、小さな家だけれどもごく普通な幸せそうな家庭を築いて数年経っていることで、絶望感を味あわされる。
マーシャ:言葉は通じないが、必死の形相で夫の写真を持って訪ねてきた外国人女性を見て、全てを察し、だけれども自分の今の状態を「勝ち組」として誇ることもなく、ただ突然「その日が来た」ことに怯えている
この場面が、本当のクライマックスだったのではないのかしら?
で、ロシア嫁マーシャが性格が悪ければ戦争になるだろうけど、
自分の子供にはイライラを押し付けて当たるものの、
けっこう良い人で、
家庭もすべて見せるし、仕事に行っている夫が帰ってくる列車の駅にちゃんとジョヴァンナを連れて行っている。
それもあって、
既に良い家庭を築いているのを見せられたジョヴァンナは
の予告の1:00にある有名なシーンである、来た列車にそのまま飛び乗るわけですよ!!
まあ、そこから先は、蛇足かなぁと思いましたが。
5.イタリアの鉄道は、今日もストをしている
その「蛇足」の場面で、夫のアントニオが
何を今更イタリアに戻ってきて、
ジョヴァンナとよりを戻したい!なんて言うんですよ
あんた、ロシアで幸せそうな家庭を築いているじゃないの!!!!
と、総スカン食う場面です。当然です。
で、ストで間引かれている列車に乗るアントニオで「劇終」となるわけです。
昔の映画ですから、いまのように長々とエンドロールを流すことなんてありません。
ぷっつりと切れます。
そのまえにも、鉄道ストで色々あるのですが、
まああの時代、イタリアといえばストとテロが有名でしたから
そうなるのかと。
6.ソビエトの宣伝映画になっている
その一方で、ソフィアローレン演ずるジョヴァンナが戦後ソ連でアントニオを探すんだけど、
・まず行ったモスクワの「復興されておしゃになった街並」、そして「スターリン様式」とも呼ばれる、ソ連外務省の建物の威風堂々とした有様
・アントニオを探す過程で、あるイタリア人?を見つけるが、その男性と接触した駅が、エスカレーターが整備された、日本では1980年代ぐらいの都内によくありそうな清潔な駅
・ロシア嫁マーシャの、どこの郊外にもありそうな、慎ましやかでも満ち足りた家庭。お家自体は小さいけれども、すべてが整っていて、何不自由なく暮らしているように見える。
・アントニオが仕事から帰って、ジョヴァンナが列車に飛び乗った駅。駅自体はホームが一本しかない郊外のローカル線の駅であり、汽車も昔からの列車ではあるものの、背後に巨大な原子炉が建設中だった!
・また、そのあとアントニオとマーシャは引っ越すのだけれども、田舎の木造建築から「文化的な団地」に居住を移すのよ!
・そして、表題通りの、どこまでも続くひまわり畑!!!
「5.イタリアの鉄道は、今日もストをしている」との対比でもあり、ある意味意味深なのよね
戦後を引きずっていつまでも混沌としているイタリアとの対比で、
表題でもある、どこまでも続くひまわり畑の映像も加味されて、ソビエト連邦の状態が「地上の楽園」のように画面に写されていた!
気がするのよ
イタリアは伝統的に共産党が強い国だったから、制作者側がほんとうに意図してそのように製作したのかどうかは知らないけど
どうにもこうにもそう言う風に受け取ることが出来る。
・イタリア共産党 - Wikipedia
まあ、当時はソ連ですから
ソ連国内の撮影を許可するとすれば、ロシア(撮影地はウクライナらしいけど)の「良い場面」を撮影するようにとソ連側の関係者が五月蠅く言ってきた可能性ももちろん大きいとはおもうのですけどね。
================================
この映画「ひまわり」について
・エピソード集(日本語):在ウクライナ日本国大使館
・『ひまわり』 I girasoli (1970) : 居ながらシネマ
この方によると、ソ連での撮影場所は、ひまわり畑以外はほとんどモスクワ市内のあちこちらしいです。
ソフィアローレンが列車に飛び乗るシーンがここなのは
まあ時代が違うとこうなるかなあ、とはおもうけど
(後ろの原発みたいな建物は、火力発電所らしいです)
それ以前に、違うイタリア人っぽい人と接触した駅(モスクワの地下鉄Воробьёвы горы(ヴァラビヨーヴィ・ゴールィ駅:ソ連時代は「レーニンスキエ・ゴルイ駅」)
・Воробьёвы горы (станция метро) - Википедия(ロシア語wikipededia)
駅自体はあるものの、映画の中で特徴的だった長大エスカレーターは
この有様らしいです。
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