どこの保育園もこの時期なのか
職場でも子育てママから生活発表会の声を聞く
けんちゃんの保育園は土曜日で良かった
お仕事に支障なく
心置きなく生活発表会に行ける
古い園舎の狭いお遊戯室にゴザがひかれた見学席
そこに詰め詰めで保護者が座る
おたよりに書いてあった
ご家族そろってお越しください
けんちゃんちも家族総出でけんちゃんの晴れの舞台を見に行った
かあちゃんもとおちゃんもビデオ撮影
発表するのは2歳児以上のクラス
けんちゃんの年少クラスは2クラスある
来年は1クラスに合わさって年中クラスになる予定
そのもうひとクラスと一緒にまずは歌と手遊びの発表がある
家でもご機嫌に歌ったりして
生活発表会のことを楽しみにしている
かっこいい発表をしてね
お迎えに行くと先生がけんちゃんの悪ふざけぶり
オブラートに包んで知らせてくれる
知ってる
分かってる
けんちゃんは楽しくて嬉しくてふざけてる
でも
今日は舞台から落ちそうでした
なんて聞くとヒヤヒヤ
先生のピアノの伴奏が聞こえて子ども達が声を出す
年少さんらしく歌って言うか
まあ叫んでいるって言うか
でも、
大きな声を出そうって姿に
な…みだ?が?
出ない
いや、
手が…震える
おかしい
おかしいのはけんちゃん
元気に叫びながらなぞのダンス?
いつから?
いつからそんな路線を歩み始めた?
気付いてはいた
登園の時だって、お迎えの時だって
一筋縄ではすまない
朝のあいさつが「さようなら」なのはかわいい方
遠くに見える大好きな先生を呼び捨てで呼びつけたり
お支度を手伝うためにテラスの外に脱いだかあちゃんの靴を園児用の靴箱に押し込む
これは毎朝
去年の今頃は前の園でけんちゃんが持っていたおもちゃ
お友達が持って行っちゃっても
ポケッとした顔して
見送っていた
泣きも怒りもしない
ただ
ちょっと残念そうな顔してるだけ
嫌なときはいやって言っていいんだよ
そんなことレクチャーしたりもした
それが、
今や舞台に上がって立ち位置巡って隣りの男の子と押し合っている
先生が間に入って引き剥がす
どっちが心配って
そりゃ
ほどほどが良いんですけど
そして
成長に涙がこぼれる心配よりは
せっかくのビデオが取ってるかあちゃん自身
小刻みに揺れてるのが心配
まぁいい
予感はあった
劇遊びの発表も無事おわった
前の園の担任だった先生が見に来てくれていた
この先生
入園してから気付いた
かあちゃんの高校時代の部活の後輩
なんだか半年でおかしな路線に行ってしまったみたい
そう言うと
けんちゃんが自分自身を表現できるようになって
この園で楽しく過ごしてることが分かって良かったって
言ってもらえた
けど
あの奇怪なダンスがけんちゃんの自分自身なのかと
これまた微妙
夕方から2人で過ごしてお風呂も済ませて
布団に入る
けんちゃんがふと言う
どうだった?せいかつはっぴょうかい
よかったよ、けんちゃんが元気に発表会してたから
かあちゃん嬉しかった
かっこよかった
いっぱい褒めておいた
でもちゃー
けんちゃん、あんまりおーきいこえじゃなかったよ
・・・・・・
でも、かっこよかったよ
楽しそうだった
手ぶれだし