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ばりん3g

マイクラ補足 兼 心理学のつぶやき

予習はめちゃくちゃ有効だし、老いたからと言って何も学べないわけではない

2021-10-31 | 旧記事群

2005年に発表された論文によると、物事の学習には「その場にある情報を処理する知能」のほかに「経験を通じて事前に学んだ知識と記憶」も重要になるという。

難しく言えば、前者を流動性知能、後者を結晶化知能となる。この難しい言葉を使った説明をするならば、知識の習得には流動性知能と結晶化知能の両方が必要になるという。

例えば、学校の授業を受ける前に予習をして事前に把握し、実際の授業では黒板に書かれる内容を要領よく処理できることが、授業内容をよりよく学べることだといえる。

また、流動性知能と結晶化知能は強化される年齢傾向と発揮される分野の傾向に若干の違いがある。流動性知能は加齢とともに能力が減少し、柔軟な発想を求められる問題に対し長けている。結晶化知能は加齢とともに上昇することが多く、基盤通りの行動を求められる問題に長けている。

若干の性質の違いはあれど、どちらも学習というプロセスに必要不可欠であり、特に結晶化知能のちからは『馬鹿にできない』ものであるという。

 

ちなみに、流動性知能の現象は20歳から始まるという説があり、このことが「老化は20歳から始まる」と巷でうわさされる原因であると筆者は推測する。

 

ーーー「私はもう年だから、新しいことは学べないわ」

確かに、年老いたあなたは新しいことに対する即答性は劣ったかもしれない。

だが、今まで築き上げてきた知識に目を背けてなければ、これぐらいは楽勝だと思うぜ?

ちょっとだけ、意地張ってやってみようか。

 

 

参考文献

Beier, Margaret E. Ackerman, Phillip L. (2005) Age, Ability, and the Role of Prior Knowledge on the Acquisition of New Domain Knowledge: Promising Results in a Real-World Learning Environment.


うつの一種は、自分に対する理想が高すぎることでも起こりうる

2021-10-30 | 旧記事群

2012年に発表された論文によると、うつの一種である気分障害者は実際の自尊心は低いが、理想的な自尊心が高い傾向にあるという。

このことから、気分障害を患う人は理想的な自尊心と実際の自尊心とのギャップに苦しむ一面もあるという。「思っている自分と違う」との思い込みから、気分を害することも考えられるという。

そして理想的な自尊心に、理想的な姿に没頭するあまり実際の自尊心とさらにギャップが増すこともあり得る。

また、このような特性はある種の自己申告制の自尊心テストにて実際の自尊心ではなく理想的な自尊心を反映した成績にさせるという。これらは『自分』と『なりたい自分』という対比の指標を用いることで回避できるらしく、これらの指標をより精査することで認知行動療法になにやら貢献できるらしいがクワシイコトハヨクワカラン。

 

ーーー或いは、理想的な自尊心を表に出さなければ保てないほどの自己を。

或いは、理想的な姿に自己投影しなければ保てないほどの自己を。

……彼らに対しては、そういった解釈も可能なのだ。

 

 

参考文献

Jonathan Remue,Jan De Houwer et al. (2012) Self-esteem revisited: Performance on the implicit relational assessment procedure as a measure of self- versus ideal self-related cognitions in dysphoria.


「やる気も一種の才能」という言説は、あながち間違いではない。

2021-10-28 | 旧記事群

2010年に発表された論文によると、内発的動機・外発的動機のどちらにおいても能力の高さとやる気の維持は相関するとのこと。

正確に言えば知覚された能力が高い場合であり、自分は高い・適当な能力を持っていると確信できたときにやる気が維持しやすくなるという。

また、達成目標理論でいうところの課題志向(自身にある課題を解決することに楽しみを見出し、タスクをこなす志向・思考)や自我志向(自身の承認欲求や自己肯定感を満たすことに楽しみを見出し、タスクをこなす志向・思考)のどちらを主軸に置いたとしても、能力の高さとやる気の維持は相関するとのこと。自己決定理論においても同上、というかこちらにおいてはやる気をだすためには知覚された能力が必要とあるため、理論通りではあるが。

自己決定理論いわく、知覚された能力の高さは、もしくは純粋な能力の高さは自己効力感を直接的にも間接的にもあげているのだという。ほれ、できることが増えると気分が高揚するじゃろ? その感覚だ。

ちなみに、能力の低さ、もしくは知覚された能力の低さと自我志向が結びついた場合やる気の低下につながるという。「やりたいことだけが積みあがる人」のような、そんなイメージだ。

 

自身の能力が高いことが、自分の能力が適当であると認知することが、やる気を焚きつける自信になる。

このことから、純粋に能力が高い人は基本的にやる気も維持されやすく、やる気も一種の才能だと巷で言われる要因となっている。

 

ーーーだからと言って、「自分には能力がないから」と構える必要はない。

知覚された能力だけが、やる気にかかわっているわけではない。

一本の論文だけでも、今回の記事だけでは引用しきれないほどに

やる気・動機という分野は非常に複雑なのだ。

その証拠に、恐らく聞いたこともない理論が2つほど出てきているだろう?

 

 

参考文献

Nikos Ntoumanis (2010) Empirical links between achievement goal theory and self-determination theory in sport.


失敗を恐れる人は気付く。行動をしなければ失敗しないことに。

2021-10-24 | 旧記事群

1992年に発表された論文によると、「周囲から完璧を求められている」と思い込むほど、行動の先延ばしが悪化するという。この手の話題は「完璧主義者だから先延ばしする」と言われがちだが、実際はそう単純ではない。

完璧主義にもいくつか種類がある。

自分は完璧であり、その思い込みを崩す如何なるものを敵としてみなす自己志向型。他人に完璧を求め、自分の思い通りに動かない他者を敵としてみなす他者志向型。極度に失敗を恐れ、周囲から完璧であるよう指示されていると思い込む社会規定型。この3つが主である。

この3つの完璧主義に共通し、また社会規定型に強く表れる要素に「失敗を極端に恐れる」というものがある

失敗すれば周囲から見放されるだろうと極端な悲観を持つことで、彼らは狂う。誇大な自尊心を見せびらかしたり、極限まで行動を制限したり、または行動を先延ばしし猶予を持たせたりと、狂い方は様々だが。

 

なので「完璧主義者は先延ばしを行いやすい」のは間違いではないが、

「失敗を極端に恐れるがゆえに完璧を求める人は、先延ばしを行いやすい」と言うほうがより適解だろう。

 

ーーー「失敗してもみんなが支えてくれる」と寄り添っても、

「失敗してもいい、そこから学んで立ち直ればいい」と説得しても、彼らは行動することに同意しない。

彼らは失敗しないことと、行動しないことを望んでいるからだ。

 

 

参考文献

Flett, Gordon L.; Blankstein, Kirk R et al. (1992) COMPONENTS OF PERFECTIONISM AND PROCRASTINATION IN COLLEGE STUDENTS.


お金持ちになればなるほど、些細な幸せがどうでもよくなる。

2021-10-23 | 旧記事群

2010年に発表された論文によると、些細な出来事を楽しめるだけの感性や幸福感は、お金持ちになればなるほど衰弱していくという。

また、自身がお金持ちになった場面を想像するだけでも、微弱ながら感性の衰弱が観測されたという。ひらたく言えば「高級フレンチを嗜めるだけの蓄えがある」と想像できた人は、チョコレートを味わう時間が短くなるってこと。

こうなってしまう原因の1つに、行動指標の上限引き上げによる下限以降の凡庸の拡大にあるという。つまり、お金をふんだんに使った超贅沢なことを経験してしまうと、日常で起こる些細な出来事がその経験と比較され、つまらないものとして分類される割合が多くなるということ。

お金をより稼ぐことによって生活の満足度は確かに上がるが、幸福度はその限りではない可能性が浮上した。

高収入であることが天職の要素ではない証拠も挙がりつつある昨今、私たちはなにを目標に、お金を稼ぐのだろうか。職に就くのだろうか。

 

ーーー「人生はお金がすべてじゃない、お金で買えない幸せもあるんだよ」

……なぜあなたは、そう言えるのです? 高収入な身なりでもないのに。

「むかし、私は夜空を見ていた。私の手元になにもなかったから見上げて、そして星々の美しさに見惚れていた」

「だが、お金を手に入れ、私の手元が埋まるようになってからは、見上げることはなくなった」

「そしていつしか、星々を美しいとも思えなくなったんだ。手元に映る光景のほうがよっぽどきれいに思えて、私はとても、虚しくなったんだ」

 

 

参考文献

Jordi Quoidbach, Elizabeth W. Dunn et al. (2010) Money Giveth, Money Taketh Away: The Dual Effect of Wealth on Happiness.