香港ケーブルテレビは12日、中国四川省都江堰市で四川大地震発生10年の取材をしていた同テレビの記者が、見知らぬ男2人から暴行を受けて負傷したと伝えた。地元当局に被害を届け出たが、男らの身元が分からないため「対処できない」と言われたという。
同テレビは四川省などに対し「徹底した調査」を要求。香港記者協会も「記者の身の安全と取材の権利」を守るよう求める声明を出した。
香港メディアによると、暴行を受けた記者は学校の倒壊現場周辺で遺族の追悼の様子などを取材していた。(共同)
香港ケーブルテレビは12日、中国四川省都江堰市で四川大地震発生10年の取材をしていた同テレビの記者が、見知らぬ男2人から暴行を受けて負傷したと伝えた。地元当局に被害を届け出たが、男らの身元が分からないため「対処できない」と言われたという。
同テレビは四川省などに対し「徹底した調査」を要求。香港記者協会も「記者の身の安全と取材の権利」を守るよう求める声明を出した。
香港メディアによると、暴行を受けた記者は学校の倒壊現場周辺で遺族の追悼の様子などを取材していた。(共同)
第3次中東戦争(1967年)でイスラエルが占領したヨルダン川西岸には120以上の入植地があり、世界各地からきたユダヤ人が住んでいる。トランプ米政権が在イスラエル大使館を西部テルアビブからエルサレムに移す14日は、イスラエル建国から70年の記念日。国際的な批判を受ける入植活動に携わる米国出身のユダヤ人入植者に、意義を聞いた。(ヨルダン川西岸エフラット 佐藤貴生)
エルサレムから車で南に30分の入植地エフラット。
米シカゴ出身で85年からここに住むアーディ・ゲルドマンさん(65)は「イスラエルは多くの国境が変更された近代史の中でできた。ユダヤ人国家として存続できる保証などなかった。この70年の出来事は奇跡だ」と胸を張った。
国際法違反とみなされる入植活動は国際的な批判を浴び、イスラエルとパレスチナの和平の障害ともなってきた。米国がエルサレムをイスラエルの首都と認定し大使館を移転させることに多くの国が反対するのは、将来の和平交渉をいっそう難しくし、占領の固定化や入植の是認といったメッセージになりかねないと危惧するからでもある。
だが、米国とイスラエルの市民権を持つゲルドマンさんは、大使館移転は「父と母がエルサレムで出会うような感じで、とてもうれしい」と手放しで喜んだ。移転を見送ってきた歴代米大統領には、「パレスチナ側をなだめるような姿勢で、弱さを示している」と手厳しい。ゲルドマンさんらには、入植も「首都認定」も当然のことなのだ。
入植地といっても、エフラットは緑に囲まれた高級住宅地を思わせる街並み。2000年代初頭にはパレスチナ人の若者が、自爆直前で射殺される事件も起きた。いまは入植地内の建設現場でパレスチナ人たちが働いている。「親しくはするが、友人ではない」。ゲルドマンさんがいった。
北朝鮮の朝鮮中央通信は12日、安倍政権が「既に解決した拉致問題を再び持ち出して世論を形成している」と訴え、「朝鮮半島の平和の流れを阻もうとする稚拙で愚かな醜態だ」と非難する論評を配信した。
朝鮮半島情勢を巡る対話の流れを受け、安倍晋三首相も拉致・核・ミサイル問題を包括的に解決し、過去を清算して日朝国交正常化を目指す方針を掲げているが、論評は拉致問題は既に解決済みとする従来の立場を繰り返し日本をけん制した。
論評は、2008年に途絶えた北朝鮮核問題を巡る6カ国協議でも、日本が拉致問題を持ち出して妨害したと主張。日本が朝鮮半島情勢の肯定的流れに「逆行」して拉致問題を取り上げるのは「同情を集めて過去の清算を回避するためだ」と反発した。(共同)
【ソウル=名村隆寛】韓国の宋永武(ソン・ヨンム)国防相は12日までに、有事作戦統制権の米韓連合軍から韓国軍への移管について「2023年には移管される」との見通しを明らかにした。文在寅(ムン・ジェイン)政権で移管時期が示されたのは初めて。
宋氏は11日、文在寅大統領に23年の完了を見込んだ国防改革案を報告。その後、国防関連の討論会で移管時期に言及した。先制攻撃能力、韓国型ミサイル防衛、報復能力の3軸体系が23年に完成するとし、「周辺国に中堅国家として完璧な国力を示し得る軍事力を持てるだろう」とした。来月の米朝首脳会談を念頭にした発言との見方もある。
米韓は10年の韓国海軍哨戒艦沈没を受け、合意していた12年の移管を延期。14年には無期限延期となった。文氏は就任前に「任期中(22年)の移管」を訴え、就任後も自主国防に基づく移管を目指していた。
非核化は「共同の目標」とうたった南北首脳会談は米朝首脳会談にどんな影響を及ぼすのか。「板門店宣言」を米国はどう見ているのか。歴代米政権の対北政策に関わり韓国政治にも詳しい米ジョージ・ワシントン大のヤン・C・キム名誉教授は「南北合作に基づいた世界の見せ物、宣伝であり、とうてい受け入れ難いと米政府は判断するだろう」と批判した。
(※5月2日にアップした記事を再掲載しています)
米朝首脳会談への影響についてキム教授は、「北朝鮮は『核放棄』の意志を述べなかった。トランプ米大統領が金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に会うだけで、北朝鮮を実質的に核保有国と認めることになるとの警戒感が米側には根強い。しかし一方、4月29日のABCインタビューでポンペオ国務長官は訪朝時『金正恩氏と完全非核化について深度ある協議をした』と明かしていることにも注目すべきである」と概括する。
板門店宣言で南北は「平和」をアピールし和解を印象付けたうえで、北朝鮮の開城(ケソン)に連絡事務所を設置▽鉄道・道路の接続▽黄海の共同水域化-などの具体策を列挙した。これらについてキム教授は、「米政府は人道問題を除くすべての支援は国連制裁決議違反との立場だ。最大限の圧力を継続している米政策を無視し韓国が北朝鮮支援を行えば、米国は韓国にセカンダリー・サンクション(第2次制裁)を課すだろう」と指摘。
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は南北首脳会談を米朝に向けの「橋渡し」と位置づけたが、韓国は北朝鮮の平和攻勢に手を貸した共演者とみなされるだろうとの見解を示した。
キム教授は、金正恩氏が対話攻勢を打ち出した年初からの経緯は、文政権が発足した昨年以来から周到に準備されたもので、「南北による合作であり対米牽制の一環だとみるだろう」とみる。
そのうえで、米政府には文政権の融和的な対北政策に懐疑的な意見が多数だとし、板門店宣言を受けた今後の動向次第で「米韓関係は悪化する可能性が高い」と予測した。
交渉決裂回避が最優先
米朝首脳会談で北朝鮮は「非核化」についてどう説明するのか。キム教授は金正恩氏が米国の求める完全かつ検証可能で不可逆的な核解体(CVID)を「実行する」と言明するだろうと予測する。それは「金正恩氏にとっては対米交渉を決裂させないことが最優先」だからであり、「米国のCVID要求をいったん受け入れて時間稼ぎを行うと米政府はみている。その間に米国の軍事行使へのモメンタム(機運)が落ちると米政府は懸念している」と述べた。
一方、キム教授はトランプ大統領側の受け止め方について、「トランプ大統領は金正恩氏が(米朝トップによる)会談を要望したのは自身の政策が成功したからだと自負している。ロシア・ゲート(ロシアによる米大統領選干渉疑惑)や中間選挙などさまざまな事情があるトランプ大統領にとって、金正恩氏との会談での一定の成果は、有効な生き残りカードになっていると米国の政治エリート層は主張している」とした。
北は核を手放さない
米国の政府内外の圧倒的多数の専門家が「北朝鮮は決して核を手放さない」と確信しているという。
北朝鮮は核保有国として米国を含む世界的核軍縮を協議する用意があると主張している。これに対し米政府は「北朝鮮が過去の米朝枠組み合意違反や6カ国協議でみせた欺瞞(ぎまん)を再度、繰り返して米国を欺いた場合、特定施設の爆撃と海上封鎖、あるいは全面攻撃の準備は現在も継続している」と明言してきた。
トランプ氏は強硬派のボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)、ポンペオ国務長官(前中央情報局=CIA=長官)に加え、南北首脳会談直前に駐韓米大使にハリス太平洋軍司令官を内定。これについてキム教授は「各国は米国による軍事オプション採択に備えた傾斜を示唆する行為と捉えるだろう。まさに地政学的戦略的思惑が入り交じった激動期に直面している」と述べた。(編集委員)
ヤン・C・キム 米ジョージ・ワシントン大学名誉教授。韓国ソウル生まれ(米国籍)。米ペンシルベニア大学政治学博士。バンダビルド大学、ボストン大学などを経てジョージ・ワシントン大教授、1986~96年、北朝鮮・軍縮平和研究所と米朝学術交流を推進、歴代米政府で対北政策アドバイザー。ソウル大、慶応大などでも教鞭をとってきた。